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【読書メモ】『賢い人がなぜ決断を誤るのか』(オリヴィエ・シボニー著)

▶今回の書評本『賢い人がなぜ決断を誤るのか』

・『賢い人がなぜ決断を誤るのか』
・オリヴィエ・シボニー著
・日経BP

▶読後メモ

◆バイアスの5つのグループ

1.パターン認識バイアス
●確証バイアス(ストーリーテリング)
自らの仮説を支持する情報に注目し、否定する情報を無視しようとする。特に仮説が首尾一貫した物語として語られるときに顕著になる
●経験バイアス
すぐに心に浮かんでくる過去の自分の経験からの類推によって理解しようとする
●王者バイアス
情報の価値よりも、その情報をもたらした人の評判を重視する
●帰属の誇り
成功や失敗を個人の性格や特徴のせいにして、その時の状況や運が果たした役割を過小評価する
●後知恵バイアス
過去の決定の良し悪しを、意思決定時点では得られなった情報や、実際の結果に基づいて判断する
●ハロー効果
いくつかの顕著な特徴だけで(人や企業などの)全体の印象を持つと、その特徴とは本来無関係な事柄についても、その印象をもとに評価する
●生存者バイアス
失敗した人を除外して、成功した人だけを含むサンプルから結論を導き出す

2.アクション・バイアス
●自信過剰
自分の相対的な能力、つまり、ほかの人よりどれだけ優れているかを過大評価する
●計画錯誤(非現実的な楽観主義)
計画を遅らせる可能性のある要素を十分考慮しようとせず、完成までにかかる期間と費用を楽観的に見積もる
●過度の正確性(オーバープレシジョン)
自分の見積りや予測に、過剰なほどの信頼を置く
●競争相手無視
計画を立てるときに、ライバルの反応を見落とす

3.惰性バイアス
●アンカリング
何かを見積もるときに、本題と無関係だったとしても、利用可能な数字に影響される
●資源配分の惰性
優先事項が変わった場合にも、資源配分をフレキシブルに変えようとしない
●現状維持バイアス
何かを変える決定を下すことを避けて、現状を維持しようとする
●関与の泥沼化(サンクコストの誤り)
既に投じたコストをサンクコストとみなさず、失敗した行動にさらに投資する
●損失回避
利益から得る満足より、同額の損失がもたらす苦痛の方が大きい
●不合理なリスク回避
何かを選択して失敗した場合、馬鹿にされたり不当に非難されたりすることを恐れて、取ってしかるべきリスクを取ろうとしない
●不確実性回避
(不確実な、あるいは曖昧な)未知のリスクより、危険度が高くても定量化されたリスクを取ろうとする

4.社会的バイアス
●集団思考
グループで議論するとき、メンバーは疑問点や反論を口にせず、多数派に賛同しやすい
●集団極性化
グループでの議論は、メンバーの平均的な意見より極端な結論に達しやすく、それに強い自信を持つ傾向がある
●情報カスケード
グループでの議論では、個人の意見が差し控えられ、共有された情報が強調されるため、発言者の順番が結論に影響する

5.利益バイアス
●自己奉仕バイアス

自分の経済的な利益や、その他の利益(感情的な愛着も含む)と一致する視点を信じる
●現在バイアス
現在と未来の価値比較で、偏った割引率を用いて、現在を過大評価する
●不作為バイアス
作為の誤りより不作為の誤りの方が許せる、不作為の誤りによる利益の方が道徳的に受け入れやすい、と感じる

◆よりよい意思決定のための40のテクニック

1.対話を指揮する
・認知に多様な(物事の見方・考え方が多様な)メンバーを集める
・真の議論をするために、十分に時間を割く
・対話を議題にする。「決定」のためか「議論」のためか、議題ごとに区別する
・パワーポイントの使用を制限し、代わりにメモを使うことを検討する
・誤解を招くたとえや、ストーリーテリングを禁じる
・冷却期間を設けて、性急に結論を出さない
・各参加者の「バランスシート」を尋ね、異なる見方を奨励する
・「悪魔の代弁者(あえて反対する人)」を議論に参加させる
・提案者に二つ以上の提案をする(「代替案」)
・検討中の選択肢を実行できなくなったらどうするか、自問する(「選択肢を消す」)
・提案者に異なるストーリーを語らせる(「別のストーリー」)
・プレモータム(最終決定前の、意義や懸念がまだ表面化していない段階で実行される、プロジェクトが失敗した未来を予測し、失敗原因を特定するために「事前の検死」を実行すること)を行う
・臨時委員会を編成する
・難問をリストアップしたメモを、意思決定の時に読み返す
・忘れてはならないのは、議論にデッドラインを設けること

2.意見の相違を促す
・非公式アドバイザーのネットワークを育てる
・フィルターのかかっていない専門家の意見を聞く
・コンサルタントに自分の仮説を教えない
・正式な任務として「社外のチャレンジャー」を置く
・最初の提案をした「ブルーチーム」と反対意見を擁護する「レッドチーム」による「ウォーゲーム」を活用し、競合他社の反応を予測する
・見積り(単純平均、予測市場)や新規アイデア募集の際に「群衆の知恵」を利用する
・資源配分の決定に「リアンカリング(アンカーの引力と戦うため、反対方向に引っ張ってくれる別のアンカー)」のモデルを活用する
・様々なアナロジーを用いて、確証バイアスを抑制する
・デフォルト(初期設定)を変更して現状維持バイアスと戦う(例えば、ポートフォリオ審査を実施する)
・繰り返し行う意思決定で、標準化されたフレームワークとテンプレートを使用する
・一度限りの意思決定には、意思決定の基準を前もって決めておく
・計画の土台になっている仮説を「ストレステスト」にかける(特に、最悪のシナリオを設定する)
・過去の同様のプロジェクトの参照クラスに基づく「外部視点」を取り入れる
・新しいデータが届いたら、考え方をアップデートする(可能なら、ベイズの定理を利用する)
・忘れてはならないのは、謙虚さを育む方法を見つけること(例えば「アンチ・ポートフォリオ」)

3.素早い意思決定の風土をつくる
・友好的な雰囲気を育む
・「声を上げる」文化を育てる
・報酬システムと組織の利益を一致させる
・無料で学ぶ方法を見つける
・実験を行い、失敗を恐れない
・成功についてもプレモータム(事前検死)する
・いきなり大きな賭けに出るのではなく、徐々にコミットメントを増やしていく
・ミスを犯す権利ではなく、失敗する権利を認める
「テキサスの狙撃兵(適当に銃を撃った後、銃弾の穴が最も密集している部分に後から丸い的を描く)」のような戦略を立てる。結果が出るまで戦略を外部に漏らさない
・事実と議論に基づいて主張を変えることを奨励し、そのロールモデルになる
・意思決定する権限を2人(またはそれ以上)でシェアする
・中立の立場にあるメンバーからなる少人数の「側近集団」を築く
・そして、忘れてはならないのは、意思決定を下し、その責任を負うこと――一晩寝かせてから決断する

▶感想

意思決定をゆがめる5グループ24種類のバイアスと、バイアスと戦い、よりよい意思決定をするための40のテクニックが書いてある。
あとは書いてあることを実践するだけだが、それが難しい…。

以上です。

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