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第三回逆噴射小説大賞ふりかえり会FINALを行いました。

(これまでのあらすじ)
第3回逆噴射小説大賞の二次選考結果が発表されたと思ったら、あっという間に大賞が発表されたので大慌てでふりかえり会を開催した。

今回は逆噴射小説大賞最終選考作品を対象に読みました。挙げられた感想をピックアップしていきます。決勝戦まで来て意外な作品がズビッと参戦してきたり、とても楽しかったですね!!

コロナ獲得おめでとうございます!

それでは振り返り会の記録にいってみしょう。

ルースター・マン

《少しでも笑ったらその場で「何がおかしい」とぶん殴られるような迫力》(選評より)
何と的確な表現か。逆噴射先生の講評そのものも読ませるなあ
好きな作品だったけど中々意外な選出、選考にある通り、照れや笑いをせず全霊で"ふざけている"例だと言えるでしょう
ルースターマン、生の破壊力ですもんね…
ルースターマン、彼処まで破壊力があるとは全然思ってなかった…
それにしても、「読みやすい文章」とソーイチロー先生の言う「文章力」とはまた別モノな感がする
逆噴射特化の(と個人的に考えて書いた)やつが落ちてるのは相当ガッカリ。やはり理性でアウトプットされたやつはブレーキ掛かっちまうんだやはり理性でアウトプットされたやつはブレーキ掛かっちまうんだ
そういう意味ではルースターマンはそうとう示唆的ですね
理外の殴りかかってくるようなセリフってなんだろうなあ
「脊椎反射と熱意と狂気」それを冷めた文章でぶっ放しているのが多かった印象ですね、最終候補作。冷めたというか、抑えた、だな
(最終発表後のDHTラジオより)
俺はいつも「ルースター・マン」のことを考えている。
「ルースター・マン」をどんな顔して書いているかわからない。すごい。

(逆噴射小説大賞を狙うということは)出来る限りの事をして100点に近づけていくようなものじゃないって感じがするんですよね。ルースターマンとか見てると。


鷹の眼は神を狙う

初日0:00組だ。
初日00:00組が生き残ってるのは開幕前からテンションがきちんと高い証拠ですよね。
《読者の脳内に、洋ドラのようなリアルな俳優たちの息遣いが感じられる映像を描かせたいのか、それとも少年マンガのような映像を描かせたいのかで、評価が大きく異なる。》(選評より)
俺だったら千里眼の説明入れちゃうな
僕だったら完全に少年漫画になりますね、これ。
この選評を読んでいて気がついたんですが、逆噴射先生(ということにしておく)は、鮮明にイメージして読むんですね。
戦闘の中で設定出しと話が進んでればいいかもしれない
少年漫画作法は逆噴射小説大賞と食い合わせがちと悪いんですよね
作者コメント:自分は少年漫画=能力バトルの素養がないので、続くなら必然洋ドラ方面になるかと思います。

『無限大穴』

色、状況、気付き、この先
素直に上手いですよね。悪く言うとソツがない。でもこういうのをスッと出せるのもまた才能です。
無駄なものがなくて、この先何が争点になるかわかりやすい
選評でも「安心」という言葉が使われてますね。
安定して続きが書けそうな力みのなさがある。
ほんチも「続きが書けるかどうか」はかなり重視していたポイントでしたね
もっと大きな声で、から登場人物の声を想像させるのがうまいなって
あー、なるほど! > 大きな声で
印象的なアクションが状況状況の間に挟まってるのは完全に上手さですよね
こういうのが出来ると空気が一気に出る
僕は「腐葉土の匂い」がタイトル含めてバシッと決まってるなと感じてました。
、よかったですよね。ラストの視線がグッとつかまれた。
初参加でめちゃくちゃ文章力高いなーと腐葉土読んでビビったんですよね 
まさに、エラーの出力されない文章というべきか
作家買いできるタイプだ。

奨励会を抜けてアヴァロンへ

めちゃくちゃ好き。 > アヴァロン
アヴァロンは普通に良かった
衝動と不穏さがあって、描写が不足かなと思うけど登坂する力を感じた
葛藤が書けている好例として挙げられていた作品
「だけど僕は」ですよ。
《この投稿者は基礎的な文章力が高く、複数の候補作が選考に残った。》(選評より) 
「ジャンル=作者」になりうる魅力と基礎的な文章力と世界観が評価されたんですね。
これ世界観描写に文字数使ってるのに勝ってるのがすごい
これは大賞は無理でも言及はされるかなと思ってました。この場で淡々とゲームの説明がされる勇気。
世界観描写が最強レベルに強いと最終残るんだと希望になる
不利になりかねない分野で勝つのは素晴らしいが、自分が真似をしても上手くいかなさそうでもある
(やや脱線した話題)
「世界観をよく描けていた作品」としては、バラァジ・オブ・ソナチネはめちゃくちゃ好きですね。コメントされてない最終選考対象には残っているのでは……と思います。
確かに逆噴射的ではないですが相当にすごいですよ、ソナチネ。
これで作者が普段書いてるのが本格ハードファンタジー戦記ですからね

降洋量を測る

これが残れるっていうのは完全に福音ですよ
降洋量を測るは密度が凄いですよね……!
アヴァロンもそうですが、世界の色や雰囲気までイメージできてしまう強さがある。
ハヤカワじゃなく創元なんだよな。
誰悪さんは、もう普通に出版すればいいのにってちょっと思う
パルプSF短編集作っても全然いいと思いますよ
異形から見た人間が異形、という描写がストンと腑に落ちてくる感覚
(人間じゃねえのか……?)→(人間じゃねえ!)
いかに見慣れぬワードをこういうものだと説得力をもたせるのがすごい
気付いたらその世界の空気の中にいる。メキシコに連行されるとはこういうことか
来年の逆噴射SF勢はこれと戦わねばならぬ
タイトルである程度の予測を無意識に立てちゃうあたりですでに誘導されてるのが恐ろしいよ
昨年の「リョコウバト殺すべし」にしてもよかった。
ガラ爺は逆噴射のアイドル
なんでこんなに空気感が出るんだろう
ただ今年と去年とでは、誰悪さんは出てくるキャラクターの厚みが違う気がするんですよね。
諸悪さんは、すべてのエンタメはミステリー性を含む理論で、すべてミステリになる。
だからぐっと引き込んでくる

 『蘭之助、もう吠えないのか』

《攻略本的な思考は、この作者のように地力のある者には必要ない》(選評より)
これはもう実質優勝です
白蔵主さんはシンプルに文章巧いですよね。流れるように書かれている。
「葛藤」ですね
この絶妙に「心ない」文章が内容と完璧にシンクロしてるんですよね。いやぁすごいです。
こんなにも分かりやすい「葛藤」が、地獄のような文面で迫ってくる。逃げ場がどこにもない。
「犬の鳴き真似をすると相手が爆死する能力」こんなの思いつくの山田風太郎かハクゾ天狗か
基礎が烈海王ぐらいあるので、あとは作者の蛮勇を振るうだけなんだよな
ジャンル:作者の性格の悪さ
これも作者の表情をうまく隠してるんですよね
むしろ作者が作中に入り込んでしまってるとも言える
文章にベットリとした怨念みたいなのがあるのに距離がある三人称なのが怖い

腐道剣士

これ!新しい風を吹き込んだ!
選評にもある通り「ありそうでない」ですよね。
これはノーマークでした。「シュールなコントのような光景だ」だけちょっとアレですが、面白いですね……
こういうの(ふざけすぎてないか?)でもいいんだ、という
剣豪小説の出だしですよね
根っこのところは王道ということだろうか
お前の推しは許さないが、ヲタクのよしみでたすけてやろう。葛藤ですよ。仁義がある。
こんなナマクラで斬れるとでも?みたいなのをDX玩具に置き換えている
こう、読んでて「こういう角度があったのか」って思う部分はありますね
やはりREALの知識と経験は強い
「リバ✕でも、命は助ける」という剣士の道が見える。こういう知らない文化圏から投げ込まれる価値観には「おっ」ってなります。

丙午の包丁

ライナーノーツ版に比べて、マイルド描写になっててよかった。
これ、続きがいろんなパターン想像出来るのが良い
読んだ。連載じゃん。
痺れる会話だ……
作画フクイタクミでしょこれ
夏目友人帳みたいになる可能性もある
うしおととらの枠で各少年誌にあるやつじゃん
《あとは今後、ヴィランをどれだけ邪悪で恐ろしく説得力ある敵として描けるかにかかってくる。》(選評より)
逆噴射先生、明らかに続きを期待してる。
未来が広がる。これがパルプか
棺桶六さんは和風味の伝奇ものがすごくうまいですよね。
「続きが書けるか」が審査ポイントのウェイト大きいので無限に書けそうなこれは当然評価高いですよ
事件の解決と主人公自身の問題解決を重ねてるのがうまい
事件の謎解きと爺の秘密の開示が重なると完全に出版待ったなしですね
Netflixあたりに目をつけられて実写連続ドラマ化してほしい
作者コメント:ソーイチロー氏にヴィランを頑張って書けと言われましたが、一番のヴィランはロクデナシはジジイです。

カッパのハロウィン

意外とペンネームが物騒。
わりと最近変更されたんですよね > ペンネーム
これは本当基礎体力を感じる
今年はこの一発の弾丸だけで突き抜けてるから凄いよなあ……。
児童書なんだけど不穏という。去年もそうでしたね。完璧に作家性。
目の付け所がいい。ハロウィンフェスとか見て(この中に非人間が混じっててもわかんねえよな……)と思う+子供ですよ
リアルがあるんだよね。水筒の件とか。
表面上は可愛い、ほんわか系なのに物凄い不穏「ここにこれがある」という不穏
これキツネの扮装をした人間の子供、ですよね? 児童書の王道、百鬼夜行巻き込まれ話。
かつて神社のまわりにあった建物がなくなってるから終末説
がんこちゃん世界とかピクミン世界みたいな背景がありそうですよね
まんがタイムきららでも不穏枠でしょこれは
不穏枠ってなに。
子供向け作品と不穏の取り合わせはある種王道な感がありますが、不穏を下手にひけらかさず絵本的な細かく和やかな描写をキッチリやっているのは強い 
投稿最終日(10/31)にハロウィンネタを出してくれるのは、滋味がある。季節ものは味が濃く感じる。

さよなら世界征服

無限に好き
こういうのは強いですよね
こういうキラーセンテンスの才能は中々ない
ちょいと間違えると寒くなりそうな言い回しを乗りこなしていて、sense……ってなります
実はこれ最後の錠剤の描写いらないのかもな
でも錠剤の存在でグッと具体的な怖さが出ると思います。
錠剤で具体性が出てますよね。
薬学部、からの錠剤だもんなあ
ある意味で破滅的ジュブナイルは始まった時点で完成してて、後はどう落下するかの話なんですよね
ここからX-MEM始めることもできちゃうよな
「ここからどう展開するか」がいちばん読めない作品かも

大賞:そしてあの子はいなくなる

大賞:英雄の証明

>殺るなら今/まだ。ここがオブザイヤー。
去年の大賞作からさらに「何か」が高まりましたね。
英雄の証明はルパンとターミネーターで頭に?浮かべてその後怒涛に飲まれる
今回、大賞作品の味がうまく分からなかったので味が分かるようになりたい。
たぶんこれ、味がわからない人は映像として脳内で展開すると凄く感じが変わる気がする!
「あの子」のチャイムとか、「英雄の照明」の警告灯とか、そのタイミングで音と映像をイメージできると臨場感が全然違う。
文章がフラッシュするんだなこれ
ああそうか「こっちの中にあるもの」を喚起させるんだ。だから余計なものがいらない。
筆者の参考文献の豊富さに舌を巻いた。
「あの子」は平山夢明の雰囲気もあるように思いました
作者コメント:夢枕獏と平山夢明と馳星周を読むのだ
今作は、平山夢明氏の感じわかります。
夢枕獏は小説書きにとって殆んど必読書のレベルですね……
どちらの作品も空気が緊張している。これは普通は出せない。そして一文字たりとも見逃せないような情報量がある。全部の文字がしっかり意味を持っているという……。
これだけ短い文で作ってるのに映像が出てくるのはやっぱ凄い
多分、アップが上手いんですね
登場人物が自身の心に裏切られる瞬間を描くのもう、凄いよ
「黒いジャケットを着た大男」の圧迫感と「立ち塞がっていた」の不穏から、「絞り出すような声で」にちゃんと繋がるんですよね。
別にアリアは玄関の外に行こうとしたわけではないから塞がってはいないですね。
普通はここでは「立っていた」なんですよ。しかし「立ち塞がっていた」にすることで脅威/強さ/恐怖に化けさせることができる。
作者コメント:え、間違ってるの。あーそうか。でもカッコいいから問題ない

前回も語った3作品に関しては時間の都合で読書会にかけられませんでした。申し訳ありません。前回をご参照ください。

フランドルの獅子たち

さよならだけを人生にしたい!

ロケット

未来へ

今回紹介できたのは、DISCORDで語られた一部です。空気感とか脱線するうちに本題へ帰って来るところとか、そういうところも面白いので是非チャンネルまで遊びに来てくださいね。

パルプDISCORDチャンネルは常時開放中です。いつでも読書会やパルプ語りが可能ですので、ぜひぜひお越しくださいませ。

さあ来年もがんばるぞ!
それまでに腕をさび付かせないようにいろんなことをやっていこう。

それじゃあまたね。良いお年を!!


いつもたくさんのチヤホヤをありがとうございます。頂いたサポートは取材に使用したり他の記事のサポートに使用させてもらっています。