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心理的柔軟性?「ACT」が目指すもの


注意

・本記事の執筆者は専門家ではありません。
・本記事は精神疾患(適応障害)当事者が書いたものです。
・必ず専門家が書いた関連書籍をお読みください。
・本記事の内容は体験談及び書籍等の知識を執筆者自身が利用しやすくするために解釈したものをシェアするものです。専門性を担保するものではありません。
・本記事の内容をご利用する際にはご自身の責任においてご利用ください。
・「心」が辛い時は精神科や心療内科、カウンセラーなどの専門家を受診してください。

人間は心理的な痛みを避けられない?

人間は生物の世界では極めて例外的な特徴を持っています。
それはシンボル(特定かつ一貫性のある”音”や"イラスト”、”ジェスチャー”など)を用いた活動つまり「言語」を用いた活動が可能であるということです。
この「言語」により、人間は常に心理的な痛みと隣合わせになることになるのです。

言語の特性

「シゲキックス!!!」

どうですか?
シゲキックスを食べたことのある方なら唾液が分泌されませんか?
私はこれを執筆しながら唾液が出てきています。
(シゲキックスを食べたことのない方はレモンや梅干しを食べることを想像してもらえればと思います。唾液が分泌されませんか?)

これって不思議じゃないですか?
だってシゲキックスを食べているわけではないのにシゲキックスという文字を見ただけで食べている時と同じような身体反応が現れるのだから。

これは言語の特性の一部分に焦点を当てたものですが、このように言語というのは今、現実で経験していないことをまるで今、経験しているかのように感じさせることができるのです。
そう、言語により人間は過去を振り返り、未来を予測し、様々な物事と物事を結びつけ、あたかも「今、この場所で、その物事」が起こっているのと同じ反応ができるのです。

しかし、この言語とは厄介なもので時々、過剰に働きすぎてしまうのです。

皆さんも経験ありませんか?
家に帰ったのにふとした拍子に仕事のことを思い出して不安になること、そして、ソワソワし始めて、全然気が休まらないなんてこと。なんなら頭の中では仕事しているなんてこと。
これらは言語の特性によるものです。(今度、このような時があったら観察してみてください。頭の中ではたくさんの言語が飛び交っているはずですから。)

このように言語はいつでも心理的な痛みを経験させる可能性を持っているのです。
(言語行動について詳しく知りたいという方は記事下部の書籍「関係フレーム理論(RFT)をまなぶ」をご参照ください。)

「ACT」でいう心理的な健康とは

「ACT」では人間が行う言語行動の特性により、心理的な痛みは避けられないということを前提としています。
そのため「ACT」では快い思考や感情と不快な思考や感情を同時に持っていることは心理的に健康でありそれらと共に望む方向へ人生の歩みを進めていくことを狙いとしている。と、解釈するのが私は一番しっくりきました。
(書籍によって書き方は意外にも異なっています。が、いずれも趣旨は同様でした。)

心理的柔軟性モデルとは

「ACT」では心理的に健康であり、望む方向へ人生を歩むことを狙いとしています。
その狙いを達成するために人間の機能と適応に関する統合的なモデル「心理的柔軟性モデル」という構成概念が打ち出されています。

心理的柔軟性モデルは6つのコア・プロセスから構成され、それらが相互一体となって、働いている状態、心理的に柔軟な状態を目指していきます。

心理的柔軟性モデルの6つのコア・プロセス

心理的柔軟性モデルの6つのコア・プロセスは以下の通りです。

  • 脱フュージョン

  • アクセプタンス

  • 「今、この瞬間」への柔軟な注意

  • 文脈としての自己

  • 価値

  • コミットされた行為

ただし、心理的柔軟性モデルはいわゆる”心”の中にあるものではなく上記の6つの行動が示されている状態を心理的柔軟性があると呼んでいるだけ。と、私は理解しています。
つまり、6つの行動を自ら起こして心理的に柔軟性な状態を作っていくのです。

6つのコア・プロセスの各概要

  • 脱フュージョン

思考との新たな関係の持ち方をすることにより、厳しい自己批判などの不快な思考が持つ行動への影響力を弱めること。

  • アクセプタンス

不快な感情や感覚を抑圧したり、追い出したりするのではなく、それらのために居場所を作ってあげること。
他の呼ばれ方としてウィリングネス(積極的な姿勢)やエクスパンション(拡張)とも呼ばれる。

  • 「今、この瞬間」への柔軟な注意

「今、この瞬間」に起こっていること、行っていること、経験していることに対し、自発的かつ柔軟に注意を向けること。
他の呼ばれ方として「今、この瞬間」との接触やコネクト(接続)とも呼ばれる。

  • 文脈としての自己

心理的柔軟性モデルでは3つの自己の側面を強調する。

・概念としての自己
 様々な評価や歴史などから構成された自己
 例「私の長所は協調性です。短所はズボラなところです。」

・プロセスとしての自己
 「今、この瞬間」に起こっていることに絶えず注意を向けている自己
 例「今、私はキーボードをタイプしている。そして、文脈としての自己をまとめるのが難しいと考えていることに気づいている。」

・文脈としての自己
 上記2つの自己ではない何か。

  • 価値

 自分が人生で何を大切にしたいか、どんな風に生きたいかなど”自分”がどのように行動したいかという指針を立てること。

  • コミットされた行為

 価値に動機づけられて、価値に向かって行動すること。
 いわゆる望む方向へ人生の歩みを進めること。

と、6つのコア・プロセスについて理解すると私はわかりやすかったです。

まとめ

まとめは以下のとおりです。

・人間は言語の特性により心理的な痛みを完全には避けられない
・「ACT」では快・不快な思考や感情と共に望む方向に向けて行動することを狙いとする
・狙いのために心理的柔軟性モデルが打ち出された
・心理的柔軟性モデルの6つのコア・プロセスに基づき行動することにより、心理的柔軟性が生まれる

私はこれら心理的柔軟性モデルの6つのコア・プロセスに基づいて行動することにより、徐々にメンタルヘルスを持ち直してきました。

次回からは各プロセスについて私なりの理解と解釈そして、取り組んだ経験についてシェアしていきたいと思います。

参考書籍

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