台湾でバス乗るならGoogle使っちゃダメ!
あちこち台湾を旅するなかで、ガイドブックにもあまり書かれていないことに気づいた。そのひとつが「台湾の路線バスには時刻表がない」。
いや時刻表自体は存在する。するのだが、それは最初のバス停を出発する時刻をのみ示すものであって、途中のバス停を何時何分に通過するのかは決まっていない。交通の状況に応じて、かなり早くなったり遅くなったりする。
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初めて「おかしいな」と思ったのは、台湾入りしてすぐの9月下旬だった。
わたしは台南郊外にある菁寮老街というところを訪れていて、その帰り、Googleマップで調べて15時18分のバスに乗ろうとしていた。
ちょっと早めに…と思ってバス停にたどり着いたのは15時10分ころ。
ところが待てど暮らせどバスは来ない。何度もバス停の名称を確認して、場所が間違っていないことを確認する。
それでも来ない。
結局バスが到着したのは15時55分。これはなんらかの理由で15時18分の便は運休になったのか? それとも、あらためてGoogleを調べてみると15時58分に次の便が来るはずになっているので、こっちが早めに来た?
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2度目に「あれっ」と思ったのはその1週間後くらい。語学学校の仲間たちと、台南の北西部にあるマングローブをみにでかけた、その帰り道だった。
やはりGoogleで調べた到着時刻にあわせてバス停に向かうと、まだ5〜6分は余裕があるはずなのにバスがやってきた。
そのとき私たちはバスの進行方向とは反対側の道路を歩いていた。これじゃあバスが通り過ぎていってしまう。大きく手を振りながら走り出し、バスを追いかける。だが運転手さんはこちらを気づかないのか、それとも気づいているが無視されたのか、いずれにしても止まってくれない。
さすがに2回目となると、薄々勘づき始める。
もしかして台湾のバスって、時刻表を全然守らず走っているんじゃないか。だから決められた時刻よりだいぶ早く走り去って行ったんじゃないか、と。
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ところが本当はそれもちょっと違うのである。
「時刻表を守らない」のではなく「時刻表がない」のである。
もっと正確にいうと、冒頭にも書いたように「最初のバス停を出発する時刻は決まっているが、そのあとは隨便(←便利な中国語)なのである。
それが確信に変わったのは12月上旬の環島旅行だった。
台東の南にある太麻里という、原住民の暮らす集落近くにある街を訪れていた。その帰り道、「大王國中」という中学校前のバス停でバスを待つ。Googleによると次回のバスは16時15分にこのバス停にやってくるはず。
前回までの反省も生かし、わたしは20分以上の時間の余裕をもってバス停に到着した。バス停の説明書きによるとリアルタイムで運行状況がわかるサイトがあるというので、スマートフォンでQRコードを読み込む。すると…
このバス停はすでに「通過済み」と書かれている!
しかも3〜5分の差ではない。私が乗ろうとしていたバスの現在地は、自分がいま立っているバス停の7つ先。少なくとも15分ほど前(=Googleの示す到着時刻の30分以上も前)に過ぎ去っていったことになる。
このあたりでようやく気づいた。Googleマップ上に表示されるバスの通過時刻はまったくもって役に立たない。
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1月下旬に訪れた馬祖列島でおもしろい発見をした。
バス停に貼り出されている時刻表が、どのバス停でも同じなのである。
つまり台湾の路線バスにおいて、時刻表は1種類しか存在しない。それは「最初のバス停を出発するのが何時何分か」を示す時刻表。途中に通過するバス停を何時何分に通過するかは特に決められていない。
じゃあGoogleマップに表示された各バス停の通過時刻は何なのかというと、これはカーナビで出てくる「あと何分で目的地着」みたいな表示と同じで、バス停とバス停のあいだの距離や現地の速度規制などにもとづいてGoogle側が勝手に推定した時刻にすぎないのではないか。
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繰り返しになるが、あらためて整理するとこうなる。
ちゃんとした交通当局の資料を読み込んだわけではない。誰か台湾人にちゃんと教えてもらったわけでもない。けどこれだけあちこちで経験を積んだので、この自説、だいぶ自信がある。
【2023/2/5の日記】
前日に「バー台南公園」で飲みすぎたせいで完全に二日酔い。
机に向かっての勉強時間はゼロ。
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