見出し画像

労働者を敵視する風潮を生んだイギリスの政策

最近、他の国は給料が増えてるのに日本だけ減ってるとする記事が増えてます。でも、経済格差が拡大すると平均の給料が見かけ上、増えて見えることを、前回、記事にしました。インフレ率より高い賃金上昇率となってるのは富裕層だけで、どこの国でも庶民は苦しいのです。。今日はイギリスの話。

オーウェン・ジョーンズ著「チャヴ 弱者を敵視する社会」という本の内容が衝撃でした。。
イギリスの格差拡大や新自由主義に基づく金融の膨張については事実として知ってましたが、この本はその歴史的文化的背景についてがよくわかる本でした。イギリスという国は、日本とは比べ物にならないくらい、社会階級に格差がある国なんですね。。(日本のは社会階級じゃなくて、会社階級なので、会社を辞めたとたんに、ただの人ですから^^;)

その格差社会に新自由主義を広めたのは80年代に首相だったサッチャーさん。彼女の改革の目的は、「労働者階級の価値観、組織、伝統的な産業を一掃すること」「社会における労働者階級の政治的、経済的な力を削ぎ、個人か起業家の集合体に置き換えて、自己利益追求のために競わせること」だそうで(!)、工業と労働組合を徹底的に攻撃した結果、5年で工場の3分の1がなくなったそうです・・!

オーウェンさんによれば「ほかの西欧諸国でこれほど短期間に製造業が一掃された例はない」。サッチャーさんは、製造業は過去の産業で、今後は金融業とサービス業に将来性があると考えていたそうです。

彼女が破壊したのは、工場と組合だけでなく、人々が誇りを持って働きながらお互いに助け合っていた労働者のコミュニティでした。
サッチャーさんが言うには、「社会などというものは存在しません。個人としての男と女がいて、家族があるだけです」・・!

そして「この国に根本的な貧困は存在しません」と言い、「いま残っている問題は、個人のごく基本的な性格の欠陥だけです」つまり、貧困が問題なのではなく、問題なのは、貧困に陥る個人の性格だと・・! 強烈な自己責任論です。

その結果、中流と呼ばれる人たちでも300万円くらいの年収しかない、格差が大きな国ができあがり、労働者階級はチャヴという蔑視表現で呼ばれ、人格に欠陥があると見なされ、人々から敵視されるようになったそうです。

最近、他の国は給料が増えてるのに日本だけ減ってるとする記事が増えてると冒頭で書きました。でも、上記のイギリスの例を見てもわかるとおり、それは見かけだけなんですよね。それぞれの国にそれぞれの事情がありますが、確実に言えることは、どこの国でも庶民は苦しい、ということです。イギリスは物価の上昇率が日本とはけた違いです。それで300万円の年収とは本当に大変と思います。。

よろしければサポートお願いします。協力型経済の実現に使わせていただきます。