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「月面少女と月下の魔女」感想

本棚に好きな本を並べて喜ぶように、好きなオンノベについてぽつぽつ紹介していこうと思います。(タイトルから小説目次にリンクしてあります)

月面少女と月下の魔女 吉田エンさん

マッドサイエンティストを目指す女子高生・水沢茜は、気が付くと遙か未来にいた。月が数十倍の大きさに見え、空の半分近くを覆うほどだった。おかげで地球環境は壊滅的な被害を受け、人類は滅亡の危機に瀕している。それは〈魔女〉と呼ばれる悪の科学者集団の仕業とされ、何とか魔女を打ち倒した人々は科学を恐れることになり、優れた知識を持つ者は魔女狩りにあう始末だった。

これはマッドサイエンティストの卵として、何かをしなきゃならない!

何事も前向きなアカネは機械の修理屋を営むことにしたが、当然のごとく魔女や魔女狩りの陰謀に巻き込まれていくことになる。
(著者による紹介文

マッドサイエンティスト志望の女子高生・茜が目を覚ますと、そこは荒廃した200年後の地球だった。茜は持ち前の機械&電子工作の知識でサバイバルしながら、過去に何があったのか、何故自分は今ここにいるのかを探っていく。むっちゃ面白かった!

地球に接近した月、月と地球とを繋ぐ謎のミハシラ。
2020年あたりの技術を最後に、過去の遺産を使い潰し続ける社会。
高度な技術を有し災厄をもたらすと謂われる魔女。
魔女を見つけては抹殺する謎の組織・魔女狩り。
かつての親友とよく似た少女の助けを得て、茜は世界の秘密を解き明かす。謎と冒険の物語。

マッドサイエンティストになりたいと言うだけあって、茜は実にタフでユニークな精神を持っている。見知らぬ世界に独り放り出されても、めげることなく状況に適応していこうとする姿は頼もしい限りなんだけど、この彼女の思考(嗜好?)が、サバイバルのための便利な要素としてだけでなく、最初から最後まで揺るぎなく物語の根幹に位置づけられていて、読んでいてとても気持ちがよかった。

『あらゆる知識を確保し、保全し、活用する』
これは、作中の某団体が掲げるフレーズなのだが、この文言に心惹かれる人も、是非ともこの物語を読んでみてほしい。

ヘッダ画像:KELLEPICS@pixabay

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