教授のプロジェクト ~被験者②夏樹~
小春のみでプロジェクトを開始してから7ヶ月が経過した頃、ようやく次の被験者が見つかったのじゃ。2回生の男子学生が2人。小春は3回生になったので、彼女の一つ下になる。
2人の男子学生はプロジェクトが行われている、外周のフェンスを外側から補強するアルバイトに来ていた学生だった。そこでこのプロジェクトに興味を持ち、2人で相談してプロジェクト参加を決めたようじゃ。
2人は友人どうしだと言うことじゃった。いかにも活発そうな背の高い青年の方が、プロジェクトにより積極的だった。彼には夏樹とワシは名付けた。
夏樹は実際にプロジェクトに参加するとよく働いた。特に力仕事には率先して動いていた。女の子の手前、はりきったという事もあるのじゃろうが、元来、生真面目で明朗快活な性格のようじゃった。
ワシは新しい被験者が加わったお祝いに3人に1種類づつ、好きな野菜の苗をプレゼントした。メンバーが増えたので食料にも困るじゃろうとした親心じゃ。本来の研究のためには全て自力で食料の調達をさせる方が良かったが、食べる事ができず、死んでしまったら元も子もないからのう。まあ、このくらいはヨシとしようじゃないか。
彼らはまず、小屋の修復と増築にとりかかった。小春がリーダーとして、2人に指示を出した。小春ひとりで作業をしていたときよりも遥かに作業効率が上がった。
しばらくすると、小春が夏樹に少し気があるように見えたのじゃが、気のせいかのう。度々、夏樹が作業している姿を遠目に眺めていたりした気がするのじゃが。
夏樹の方は特に気にする様子もなく、明るく楽しそうに作業に励んでいたのじゃった。どちらかというと、柴犬とよくじゃれて遊んでおったわい。
そうそう、面接の際に一応、訊いておいたのじゃが、夏樹はまだ恋愛経験がないようじゃ。そのうち性欲が爆発せねばいいと心配しておったが、とりあえずは大丈夫だったようじゃ。全てを観察できていた訳ではないので、わからんけどの。ふぉっふぉっふぉ。
ああ、そろそろ疲れてきたので、もう1人の男子学生については、また次回にするぞ。それでは諸君、ごきげんよう。
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