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スピッツ「チェリー」は林間学校のテーマ曲だった

中学2年生のとき、林間学校のテーマ曲がスピッツ「チェリー」だった。
理科のS先生が決めた。
キャンプファイアーで歌う曲として。
「君たちが大人になって、喫茶店なんかに入って、懐メロとしてこの曲が流れたときに思い出せるように」
と言って。
 
私の中学校時代は暗黒の日々だったので、
林間学校も何も、楽しかった思い出は全然ない。
でも、「チェリー」が林間学校のテーマ曲だったこと、
教室でぼそぼそと気まずげに歌ったことだけは、今でも覚えている。
 
S先生の慧眼よ。
……全然いい思い出ではないにしろ……
 
もちろん、そのころは「ロビンソン」大ヒット直後だったし、
スピッツはトップ中のトップアーティストだった。
「チェリー」は毎週、CD売上ランキングの上位につけていた。
流行に疎めな私でさえもCDを持っていた。
とにかく、大人気だった。
(1990年代後半は、J-POPが本当にみんなの共有財産だった時代のように思う。
週間ランキングの10位までは、掛け値なしに誰もが知っている曲だった気がする。)
 
でも、中学生の私には、「チェリー」が懐メロになる日が来るなんて、想像できないことだった。
ただ、ひたすら繰り返し、家で、車で、CDを聴いて、くちずさんでいた。
 
まだ、「二度と戻れない」日も、戻りたい日もなかった、
「想像した以上に騒がしい未来」を想像もできなかったころのこと。
 
「曲がりくねった道」を歩くしかないんだ、そういうものなんだ 
ってことだけは、感じていたように思う。
 
最後の、大サビ?っていうんですか?
あそこのオーケストレーションが本当に本当に好きで涙が出るほど好きで。音楽に詳しい方に、分析してどうなってるのか教えてほしい。精緻な企みがそこにあるはずなんだ。
弦楽器? バイオリン? が弾いているメロディ。単なる伴奏じゃないんだよ。隠れた、裏のメロディというか。
これが最後だけ入ってるのがまたいい。そこまでの音楽を全部包み込んで、ふわっと広がる・深まる感じ。
 
「君を忘れない」、もう戻れない美しい過去への哀切な思いを秘めつつ、
「いつかまたこの場所で」、と未来へ向かっていくような終わり方をするんだね。
 

最後だけ入る歌詞、
 「ズルしても真面目にも 生きてゆける気がしたよ」
 
ここ、中学生のころ「わからない」と思ったし、今もわかるって言えないけど、
でもわかる気がする、ようになった。
いつかまたこの場所で、君にめぐり会うその日まで、
「まっとうにまっすぐに生きていこう」と力まないところが、
生活の実感だなあ、本当の意味で正直だなあ、と。
 
 
「チェリー」は1996年(27年前!?)の曲なのに、令和の10代の子たちにも刺さる楽曲として紹介されている。
これは理科のS先生も、想像していなかったかもしれない。
 

(トップ画像は私の中学時代にもそばにいてくれた猫ミーヤ様)
 

 
(頼む「ハチミツ」のMVを見てくれ草野さんがあまりにもかわいいんだ)

 
 
(↓深刻にお暇な方向け 歌の話なのかなんなのか↓)

 

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