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二段給電式ミグ溶接プロセスの検討を読んで

 久しぶりに論文検索して目についたのがタイトルの論文であった。 大学の研究では珍しく施工に寄り添った研究に思えた。  超簡単に言うと二段給電式というもの使うと溶接ビードが滑らかになるということ。通常溶接はその溶接部の性能を満たすために溶接材料やシールドガスは決められており、このミグ溶接というのは溶接ビードが凸型になりやすい。ただし、性能満足が大原則なので、形状が悪い場合は後で削ってねって感じである。  しかしながら、この削ってねって言うのが誰にでもできるものだが非常に面倒

    • 日本の溶接技術の発展と将来

      タイトルの論文は1986年の某学会誌に記載されたもので2000年頃を予想した文章があった。 それでは、答え合わせしてみましょう。文中に2000年の中国の粗鋼生産量予想があり、8000万㌧とあった。粗鋼生産量とは、鋼の生産量でありその国の経済力を示す指標の一つである。実際には、1.5倍程度であり、現在は10億㌧を超える。 つまり、当時の予想に対して大幅に中国の経済が上昇したということが分かる。 また、当時日本や欧米は造船業が盛んであり、互いの先進技術の交流が重要とあるが、現在

      • 極寒冷地のコンクリート施工

         合成床版工における極寒冷地による耐寒剤を使用した寒中コンクリートの施工という資料があり、専門外であるが読んでみると面白いので紹介する。  ちなみにタイトルの写真は関係のない橋です。  内容をとても簡単に述べると、材料の納期遅れにより、極寒期に現場施工が必要になった。北見市の2月の平均気温は-15℃(もはや日本の気候ではない)ということで、とても外で作業できる環境ではない。そこで、特別な防寒対策が必要とのこと。スペシャルな防寒対策にはそれなりのコストが必要であるがそこに施工

        • モーリシャス事故から1ヶ月

           2020年7月、モーリシャス沖で起きた座礁事故は大変大きなニュースだ。大量に流出した重油は今もなお回収作業が行われている。 #COMEMO #NIKKEI  さて、今回は船舶の事故に関連して表紙の写真のリバティ船という船の事故について紹介する。溶接の業界では大変有名な事故である。  リバティ船は1941年頃からアメリカで大量生産された輸送船で、当時としては画期的なブロック工法+溶接工法で製造された。2708隻も製造された内1/3以上が損傷または沈没したという事故が起きた

        二段給電式ミグ溶接プロセスの検討を読んで

          溶接ビードから見える情報

           タイトルの写真はあのホリエモンさんが出資している会社のロケットの溶接ビードである。私の故郷である北海道の企業であるため、応援しており、Twitter等でチェックしている。その中でロケットの溶接部の写真があり借用させて頂いた。  溶接に関する仕事をしている人ならわかると思いますが溶接ビードからは下記のような様々な情報を得ることができる。   ひとまず、①溶接方法はTIG溶接であること。 これは言葉に表すのは困難であるが、表面にツヤがあり、大きなウロコのような波を形成している

          溶接ビードから見える情報

          中学校教育における溶接

          中学校・技術科金属加工用機器(簡易スポット溶接機)の開発という論文をみた! 私が溶接に出会ったのは社会人になってからなので中学校で溶接に出会えることは良いことに思える。多分私が中学校時代に溶接に出会っても興味を持たなかったと思うが刺激的な出来事になるだろうと思う。 論文の内容は溶接というより機械系である。しかしながら、スポット溶接という選択は良い。アーク光は出ないし、用途が説明しやすい。自動車で使われていると言えば興味が湧くだろう。 溶接屋としては、こういう教育が増えて

          中学校教育における溶接

          シビれる工法紹介①

          ドライチャンバー工法による海底配管補修工事 今回紹介するのはこれ! #COMEMO #NIKKEI 本工事はオイルタンカーから陸上の製油工場までを繋ぐ海底配管の補修工事。海底配管は当然海底にあるため、施工箇所は当然海底(水中)。一般的に水中で溶接する方法として水中溶接があるが、水中溶接は溶接部の強度を得難いのであくまで補修や止水として使われている。一方、本工事は高い溶接品質を要求されるため水中溶接は不適。大気中(ドライ)で溶接する必要がある。そこで海底にチャンバーと呼ぶ

          シビれる工法紹介①

          溶接の技術屋さん

          T.WESです。 金属通しをくっつける溶接のエンジニアのpage。 工場や建設現場で使われる溶接について普段から論文検索しているので面白い情報の共有及び論文考察をoutputする。 溶接管理技術者試験や技術士試験についてもUPします。 T.WESの保有資格/international welding engineer /技術士

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