【8】どんな弁理士や特許事務所に商標登録を依頼したら良いか?(前編)

こんにちは、商標弁理士Nです。
最近、少しずつ暖かくなってきましたね。

さて、前回の記事では、「ラクして商標登録までを完了する方法」について、お話ししました。

その方法とはズバリ、知的財産の専門家である「弁理士」に依頼をすること、つまり、弁理士が働く「特許事務所」に商標登録の依頼をするということでした。なぜ、弁理士や特許事務所に依頼した方が良いかという点についても、細かくお話をいたしました。

では、弁理士や特許事務所に商標登録を依頼するとして、多数いる(ある)中から、どのように選べば良いのでしょうか?具体的に、どんな弁理士や特許事務所に依頼をするのが良いのでしょうか?

今回は、この点について、お話をしていきたいと思います。

まず、「具体的に、どんな弁理士や特許事務所に商標登録を依頼するのが良いのか?」ですが、これは弁理士である私からは、特定の弁理士の名前や特許事務所の名称を挙げることはできかねます。なぜなら、私は他の弁理士や特許事務所に商標登録を依頼したことがないからです(笑)。まぁ、自分でやりますから当然ですね。

ですから、あそことあそこは比較してどちらが良かったとか、どこどこの特許事務所はひどかったとか、誰誰に依頼すれば安心であるとか、そういうのを述べることはできません。というか、弁理士でありながら、このようなことを言っている人がいたら、逆に胡散臭いと思います(もっとも、同業者であれば、良いorダメな弁理士や特許事務所は感覚的にわかる部分もあります)。まぁ、いずれにしても、我々は職業倫理規定によって、他の弁理士や特許事務所のことは公には批評できかねるのです。どうかご了承ください。

じゃあ、特徴において、「どんな弁理士や特許事務所が良いか?」を教えてよということになりますが、これも弁理士自身が語ったところで、あまり説得力がないでしょう。なぜなら、多くの弁理士はおそらく、基本的には「俺(私)が最高」とか「うちの事務所が最高」だと思っているからです(笑)。正直に言うと、「ワイに依頼しなはれ」で終わってしまいます。

そんなわけなので、商標登録を依頼する弁理士や特許事務所は、結局は皆様ご自身で選んでいただくことになるわけですが、今回は、その際に、ぜひとも知っておいてほしい大切なことをお話しいたします。これらを参考として、ぜひとも貴社と相性ピッタリの弁理士や特許事務所を見付けていただき、信頼関係を築いて、最善の結果を出してほしいと思います。

私が一人の弁理士として、皆様が弁理士や特許事務所を選ぶ際に、ぜひとも知っておいてほしい大切なことは、以下の点です。

1.サービス内容や品質は同じではない。
2.特許事務所には、いろいろな規模・形態がある。
3.弁理士には、一般的に専門分野や得意分野がある。
4.担当弁理士の経験・実績の値は重要な検討ポイント。
5.インターネット検索の順位は参考程度に。

1.サービス内容や品質は同じではない。

まず、覚えておいてほしい点は、弁理士や特許事務所によって、サービス内容や品質は同じではないということです。

飲食業、美容室、ホテル、研修講師、デザイン業などを考えてもらえば当たり前なのですが、サービス業というものは、基本的にサービス内容や品質は一定ではありません。「カレーが食べたい」と思ってカレー屋さんに行く場合、美味しいカレーの店もあれば、イマイチのカレーの店もあるわけです。こんなの、誰だってわかることですよね。

しかし、これが商標登録の依頼の話になると、なぜか同じように考えられない人も多いようなのです。おそらく、これまでに弁理士や特許事務所に依頼したことなどないし、どのようなサービスを受けられるのかも予想がつかないからでしょう。

で、なぜだかわかりませんが、弁理士や特許事務所に依頼すると、サービス内容や品質はまったく同じものが提供されると、思われるようなのです。上述のカレーの例で言えば、どこのカレー屋さんにカレーを頼んでも、同じ味の同じカレーが出てくると思われているようなものです。

まずは、この点を誤解しないように注意していただきたいと思います

これを誤解すると、どういうことが起こるのか?

まず、値段だけで弁理士や特許事務所を選んでしまうことになります。
つまり、料金の安さを特に重視してしまいます。
自分の理想とする味の極上のカレーを一食だけ食べたい場合に、料金の安さを重視して、お店を選ぶ人なんているでしょうか?

もちろん、料金というのも重視する要素の一つだとは思います。
ですが、少なくとも、品質と料金のバランスを考慮するくらいは必要だと思いますが、皆様はどう思われるでしょうか。

以上のような誤解はおそらく、弁理士や特許事務所に商標登録を依頼する場面だけに限らず、他のいわゆる「士業」に依頼をする場面全般においても同様なのではないかと、私は推測しています。

2.特許事務所には、いろいろな規模・形態がある。

特許事務所には、いろいろな規模・形態があるという点も、依頼を検討する際には知っておいていただきたいポイントです。

これは、病院に例えると、わかりやすいと思います。
すなわち、総合病院や大学病院のように、大規模で広く業務を取り扱っているような特許事務所もあれば、街のクリニックのように、比較的小規模で運営している特許事務所もあります。また、その中間くらいの医院があるように、中規模の特許事務所というのもあります。

さらに、クリニックの中でも専門特化しているところがあるように、特許事務所の中でも、ある業務分野に専門特化しているところもあります。たとえば、私の事務所も、商標業務に特化している個人事務所です。

つまり、規模にしても、取扱業務にしても、様々な特許事務所があるのです。

そして、これも病院に例えるとわかりやすいのですが、どのような条件の病院やクリニックが一番良いということはなく、患者さんの症状や希望によって、それぞれに一長一短があるはずです。たとえ同じような規模の病院でも、人によって「合う、合わない」もあるでしょう。

特許事務所も、これと同じだと思います

ですから、商標登録を依頼する特許事務所を選ぶ際には、その特許事務所の特徴、専門、方針、理念、具体的なサービス内容などをよく知ることは大切だと考えられます。依頼者側からすれば、正直面倒くさいプロセスだとは思いますが、長い目で見れば、ミスマッチをなくし、満足のいくサービスを受けられる可能性は高まるのではないかと思います。

ちなみに、大きい病院には医師の人数も多い分、あまり経験のない新人医師が担当になる可能性もあるわけですが、このあたりは特許事務所の事情も同じでしょう。

少し記事が長くなりましたので、続きは次回!

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