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商標弁理士と振り返るファミコンソフトのタイトルネーミング ~その7 「繰り返し系」編~

こんにちは、横浜市の商標弁理士Nです。

さて、商標弁理士である私が、ファミコンソフトのタイトルを総チェックし、それらのネーミングについて、独自にカテゴリー分けをした上で語るついでに、商標実務の観点からもちょこっとコメントをするという、本(謎)企画も7回目

相変わらず特に反響もありませんが(苦笑)、まだ少し続きます!

前回は、「ドラゴン」を含むタイトルについて考察しました。
今回は、引き続き「繰り返し系」のタイトルを見ていきましょう!

~閲覧にあたってのご注意~
※商標弁理士Nがチェックしたファミコンソフトは、1983年~1994年までに正規のルートにて「カセット」で発売されたものとなります。ディスクシステムのソフト等は含まれません

アニメ、漫画、特撮、映画などの原作があるもの、元ネタとなるキャラクターがあるものなどのタイトルは、原則として除外しています

※タイトルの解釈や、そこから生じる意味合いの理解が間違っている場合もあるかもしれませんが、あくまでネーミングを独自にカテゴリー分けしてコメントすることが本題となりますので、その点はどうか温かく見守っていただければと存じます。

インパクト絶大!? 「繰り返し系」ネーミング

ネーミングの手法の一つとして、「ある言葉や語を繰り返す」というものがあります。最近の身近なネーミング例としては、「PayPay(ペイペイ)」が挙げられるでしょうか。

私が愛用している液体せっけんにも、「キレイキレイ」がありますね。そういえば、わりと近所に「土間土間」という居酒屋さんもあったかと思います。

こういった「繰り返し系」のネーミングは、何となく「口に出したくなる」という特徴があるのではないでしょうか。つまり、「言いやすい」ということですね。また、繰り返すことで造語的にもなるため、インパクトがあって印象に残りやすい。そして、「覚えやすい」という特徴もあるでしょう。

言いやすい」、「印象に残りやすい」、「覚えやすい」といった特徴は、まさに「良いネーミング」であるための一条件とも言えるでしょう。

なお、今回述べる「繰り返し系」のネーミングというのは、まったく同じ言葉や語を繰り返すものだけでなく、似たような語の韻を踏むようなケースも含む概念です。たとえば、作家の「有栖川有栖(ありすがわありす)」さんのようなネーミングも、「繰り返し系」ネーミングの一つと考えます。

さて、それではファミコンソフトのタイトルにも、こういった「繰り返し系」のネーミングのものはあるのでしょうか? 調べてみたところ、それほど多くはないものの、いくつか発見することができました

やはり、こういったタイプのネーミングはインパクトが絶大なのか、いずれも「一度は聞いたことがある」ような、比較的有名どころのタイトルが多い印象です。

「繰り返し系」ネーミングのファミコンソフトタイトルの一例

では実際に、「繰り返し系」ネーミングのファミコンソフトのタイトルの一例を見てみましょう。

・ドアドア   (エニックス)
・ロットロット   (徳間書店)
・ソンソン     (カプコン)
・JJ(ジェイジェイ) (スクウェア)
・ぷよぷよ  (徳間書店インターメディア)

・けっきょく南極大冒険 (コナミ)
・スターラスター    (ナムコ)
・エグゼドエグゼス   (徳間書店)
・スパイVSスパイ    (コトブキシステム)
・キングオブキングス  (ナムコ)
・麻雀RPG ドラドラドラ(ナツメ)
・バブルボブル2    (タイトー)

私の大好きな、「ドアドア」や「けっきょく南極大冒険」なんかもありますね。ちなみに、あまり知られていないようですが、あの有名な落ちものパズルゲームの「ぷよぷよ」も、実はファミコンソフトとして発売されています(ただし、現在では若干のレアソフト扱いのようです)。

スターラスター」、「エグゼドエグゼス」、「バブルボブル」などは、韻を踏んだ「繰り返し系」ネーミングと言えますが、個人的には非常に秀逸なセンスのネーミングだと思います。

商標実務的にはどうか?

上述のように、「繰り返し系」ネーミングには一般的にインパクトがあり、言いやすく、覚えやすいという特徴があると考えられます。よって、商品・サービスに関する商標としても、このようなネーミングが採用されることは決して少なくないでしょう。

商標実務において問題になりやすいケースとしては、その商標が、「繰り返さない構成の商標」や「もっと繰り返す構成の商標」と「似ているかどうか?」が判断される場面が、一例として挙げられるのではないかと思われます。

たとえば、「ぷよ」と「ぷよぷよ」は似ているのか?
ぷよぷよ」と「ぷよぷよぷよ」は似ているのか?
ぷよぷよぷよ」と「ぷよぷよぷよぷよ」ならどうか?
といった具合です。

どちらと言えば、まれに起こるようなケースだとは思いますが、いざ遭遇すると、専門家である弁理士でもなかなか判断が悩ましいのではないでしょうか。基本的には、商標全体での比較ということになりますが、繰り返す数が増えれば「似ている」と判断される余地もあるように思われます。特許庁の審査においては、「とりあえず、引っかけるか」みたいに判断される可能性も低くはない気がします。

ちなみに、事例としては少し異なりますが、わりと最近、「ウイルスコロリンコンコロリン」、「ウイルスコロリンこんころりん」、「Virus corolin concorolin」を3段で表した商標と、「ウイルスコロリ」の商標が似ているかどうかが特許庁で争われた事件がありました(不服2022-006906)。結論としては、両者は「似ていない」と判断されました。

「いやまぁ、ここまで違えば似てないよね」という気もするかもしれません。しかし、実際には特許庁の審査で一度、「似ている」という最終判断がされている点には留意する必要があるでしょう。審査結果の不服申立てとなる「拒絶査定不服審判」まで争って、やっとこさ「似ていない」という判断がされているのです。

「繰り返し系」ネーミングの商標を採用する場合は、事前に商標調査を実施して、他人の「繰り返さない構成の商標」や「もっと繰り返す構成の商標」が存在していないかを確認しておきたいところですね。

という感じで、今回はここまでとなります。
次回は、「ワールド・ランド」のネーミングについて見ていきましょう!

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