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【読書メモ】『ジョジョの奇妙な冒険(第2部)』(著:荒木飛呂彦)

歴史を楽しみながら学べる漫画『学習まんが 世界の歴史』(集英社 10月4日発売)全18巻が、22年ぶりに全面リニューアルされる。全18巻の表紙イラストは、『ジョジョの奇妙な冒険』作者・荒木飛呂彦、『キングダム』原泰久、『僕のヒーローアカデミア』堀越耕平ら16人の人気漫画家たちが描き、その表紙が公開された。

出典:「『ジョジョ』作者、ナポレオン描き話題 美麗な一枚に「時間操作やりそう」「グッズ化してほしい」」
(『産経新聞』2024年5月1日)

集英社もいろいろと考えるなぁ、なんて少し前のニュースを眺めながら、、歴史に限らず漫画から入るってのはいい事だと思います。思想的にあまり偏ってないことを祈りたいところではありますが。

さて個人的に荒木先生で思いだすのが、連載開始(1986年)から35年が過ぎ、物語としては9部まで進んでいる『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ、個人的には第2部のジョセフ・ジョースターの話が一番好きなシーズンです(『バオー来訪者』とかも好きですが)。

物語の舞台は1938年のニューヨークから始まり、メキシコ、イタリアへと移っていくのですが、第二次世界大戦前の緊迫したヨーロッパの様相を背景に、ナチス・ドイツのキャラを主人公の協力者として描いていたのも印象に残っています(アニメ化された際はそこはボカされた描写になっていましたが)。

主人公は前作(第1部)の主人公ジョナサン・ジョースターの孫にあたるジョセフ・ジョースター、劇中では50年が経過していて、第1部のヒロインであったエリナさんも年相応のお姿に、、誇り高さは変わりませんが。

そしてまた第1部ではラスボスだった「石仮面で吸血鬼化した人間」が、本作では最初の踏み台的な敵役となり、最終的にはモブ的な雑魚になっているのが当時のジャンプらしいといえばらしい展開だったのも覚えています。

なお第2部での主要な敵は、その吸血鬼(正確には石仮面を作成)を生み出した親ともいえる「柱の一族」、カーズ、エシディシ、ワムウ、サンタナの4名。知能的には人間を凌駕し、古代ローマよりも遥か以前から1万年以上も生き続けていて、太陽の光に当たると活動停止してしまうという弱点があるものの、実質的には不老不死ともいえる存在。

かといって、個体数の少なさもあるのか、弱点である太陽を克服したいとの思いは強いものの、世界支配とかを考えているわけでもないといった感じで。ただ太陽を克服するためのアイテム(エイジャの赤石)を「波紋の一族」が守り続けているとの因縁からの戦いとなります。そうみると最近だと『鬼滅の刃』のラスボス・鬼舞辻無惨(様)との共通項もありますね、、「言葉が通じない(対話ができない)」との点でも(特にカーズ)。

物語としては、コミックスにして8冊程度(連載期間は週刊で1年半ほど)で程よくまとまっています。アニメ化もされましたが確か1クール半程度(17話ほど)だったような。個人的には節目のある物語が好きなので、一区切りがついて次世代に、って流れは好きでした。ちなみに第2部のラストでも50年が経過して第3部につながっていきます(第3部の主人公は空条承太郎というジョセフの孫です)。

なお第2部は「波紋」という特殊能力を使うものの、頭脳戦、肉弾戦が主体で、なんとも少年漫画らしい展開で毎週ジャンプを心待ちにしていました(コミックスも揃えてましたねぇ、、今は息子の部屋にあります)。

第3部以降の「スタンド(いわゆる超能力)」を駆使したバトルも面白いのですが、この辺りは世代(『北斗の拳』や『ドラゴンボール』)の影響もあるかと思います。なお、ジョジョが一気にメジャー化したのはその第3部の途中くらいからで、ロードムービー的な航海譚も楽しかったなぁ、、タロットをモチーフにしていたのも魅力的でした、、閑話休題。

そういえば、文庫版?が発売されたタイミングくらいで各部に副題がつけられていて第2部は「戦闘潮流」とのこと。雑誌連載時は「その誇り高き血統」なんてアバンタイトルが入っていたのですが、リアタイしていた身としては後者の方がしっくりときます。

ちなみに個人的に第2部(というか全部を通しても)の好きなキャラは、シーザー・A・ツェペリ、第1部の登場人物でジョナサンの師匠的立場であったウィル・A・ツェペリの孫となり、登場時はジョセフよりも格上とのところまで、共通していました。

若者らしいトガッタ感じは当然のようにあるのですが、青春もまた謳歌しつつ、ジョセフと揃って陽キャ的な属性で物語を彩ってくれます。ただ「誇り高き血統」は、ジョセフだけではなく、シーザーにもつながる副題であると物語中で明らかにされていき、その対比もよく出来ていたなぁ、、と。

それだけにその最期は当時、本気でショックでした、、どうにも美しかったとの点も含めて。

(出典:『ジョジョの奇妙な冒険』より)
(出典:『ジョジョの奇妙な冒険・第2部・アニメOP』より)

で、原作での流れを知っているだけに、アニメ版OPで流れた夜間のこのタッグシーンは、どうにもエモかったです、、OPテーマを買ってしまうくらいに。

なお、シリーズ通してのテーマは「人間賛歌」とのことで、個人的に印象的なのはこのシーンです。

(出典:『ジョジョの奇妙な名言集 part1~3』より)

シリーズ全体の単行本を通してみると100冊以上との結構なボリュームですが、物語は複数に分かれて完結してもいるので、どこか気になったところから読んでみても入りやすいかと。

個人的には第2部をお勧めしたいところですが、今のジョジョの在り様をとの点では、ロードムービー的な要素が好みでしたら第3部、クローズドな日常系の謎解きが好みだったら第4部かなぁ、、なんて思いながら。

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