第201回 人間は神になれるのか

1、読書記録 16

ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来 / ユヴァル・ノア・ハラリ #読書メーター https://bookmeter.com/books/13006062

話題の本、ようやく上巻を読み終えることができました。

宣伝帯にあるとおり、前作のサピエンス全史よりも読みやすく、示唆に富んでいるように感じました。

何より、人類がどこに向かうのか、を考えさせてくれる知的興奮は計り知れません。

2、ホモ・サピエンスからホモ・デウスへ

20世紀までの人類史は飢饉・疫病・戦争に苦しめられて来ました。

著者のハラリ氏に指摘されるまでもなく、歴史上の死因のトップはこの3つであることは疑う余地もありません。

それを現代では克服しつつあるといいます。

なぜなら、現代の我々はこの3つの災厄が起こった時に、神の慈悲を乞うのでもなく、自然の力にひれ伏すのでもなく、

なにが原因だったのか考察し、解決しようという発想をするからだといいます。

だれかがどこかでヘマをしたから犠牲が出たので、次はもっと上手くやれる、という考え方。

それを繰り返していったことで、事実この三つの原因による死の確率は減り続けています。

そうすると、次に人間が求めるものは不死と幸福だと著者は語ります。

平均寿命は伸び続けていますし、生命工学の発達でブレイクスルーが起きて飛躍的に健康寿命が延びる可能性もあります。

しかし、その果てには体を作り変え、心をも別な形へと変容させてしまうでしょう。

そうして我々のと異なる種類の心を持つのがホモ・デウスである、と解説されています。

3、張り巡らされては解ける意味のウェブ

上巻では中世の人々が神を信じていたように、現代人が人間至上主義とどのような契約を結んでいるかを解きほぐして解説されています。

その解説ために示されている例が一つ一つ面白いんです。

一つだけ紹介すると、人とそれ以外の動物がなにが違うのかということ。

それは物語を信じるということ。

人間が把握できる組織の規模には限界があり、それを超えるためには、同じ物語を信じさせることが必要だと説かれています。

キリスト教徒が十字軍の遠征で異教徒と戦うのに、戦死したら天国に至ることを信じていたことも

わずか30年前に共産主義の天国を信じていたがために核戦争による人類の破綻の危機を招いたことも

現代の感覚からすると信じられませんが、当時の人々はその物語を信じて行動していたということになります。

今から100年後の未来人からみると、民主主義や人権の価値を信じる我々が理解不能になるかもしれない、

と指摘されると、ゾクッとします。

歴史を学ぶ目で未来を見通すとなにが見えるのか、

下巻も早々に読んでみたくなりますね。

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