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クレカの話③ 客にバレぬようこっそりと


クレジット決済の第1ツール
電話の前にやること

2000年代以前、クレジットカードを使うときには、まずはカード会社に電話をしなければいけなかった。

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大手のレジなどで、通信機能が搭載されてる場合は電話をせずとも済んだが、それでも「一瞬」で通信できる現代のインターネットとはわけが違う。

10秒程度の通信中、沈黙が。
客のなりによっては緊張が
周りの空気を包む

いずれにしても電話や通信をしないといけないわけだが、その前に無駄足をふまないように1つの確認手続きがあった。
「ブラックリスト」だ。

個人情報という概念が極めて薄いこの時代にあっても、さすがに個人名や信用状況が詳細に記録された「本物」ではない。
「本物」は当然に「門外不出」で各カード会社や業界が握っていて、店に渡されるのは、いわば「お店用の簡易版」だ。
B4くらいで少し厚手の紙に、びっしりとカード番号だけが書かれている。
基本、”不承認”になる
事故カード」のリストだ。

ここに載っている番号のカードは、
電話や通信をするまでもなく”不承認”が確定なのだから、
まずはこのリストを確認することが
クレジットカード取り扱いのスタートだ。

とはいっても、客の目の前でなかなか確認しずらいし、このリストを客に「見せる」、「見られる」のもカード会社から強く禁止されていた。
したがって、なじみの客やわが店に会員登録などしている客のカードはわざわざこのリストを確認することはしない。
一見さんかつ買い物内容や素振りが怪しげな客の時だけ「少々お待ちください」と、客から見えないようにこっそり確認するものだった。
 

居酒屋店長の鉄板ネタ
「少々お待ちください」

私がある赴任先でよく行った、なじみの海鮮系居酒屋を思い出した。
クレジットカードが使えて現金の持ち合わせがない時も重宝した店で、従業員同士、互いに店に通い合う客商売仲間のような間柄であった。
ここの店長が面白いやつで、カードで支払おうとすると、よく「少々お待ちください」と言って、業界内情を当然に知る我々の前で、おもむろにそのリストを広げだす。という「おふざけ」をちょいちょいやってくれた。
 前述からわかる通り、
 職場や連絡先など身元もわかるような
 常連客の決済で
 リストの確認はしないし、
 決して客の前で
 リストを広げたりはしない。

 業界内の小ボケというやつだ。

正しい使い方としては、小規模店など非通信型レジの店舗では、レジ脇の必須アイテムとして4つ折りぐらい畳んで保管されているこのリストでさりげなく目視確認する。
レジの横や後ろにちょっとした仕切りがあったり、厨房の入口などのちょっとした事務スペースのような所で、こっそり確認する。

通信型レジで
このリストが必要か?

クレジットカード対応の通信型レジでも、定期的に更新されたこのデータが格納されている。
都度通信をしているようでその実、レジ内に格納されたこのリストのデータとの照合が第1関門で、リストデータの番号に該当するカードであれば、
通信するまでもなく
「このカードは使えません」等と画面に表示して終了する。

このリストに該当せず、「○○万円未満」などといった自社基準を下回る少額の購入であれば第2関門も突破しレジ処理は終了となる。
これもまた通信はしない。

承認も取らずにレジを通したものは「事後承認」と言って、決済を通したことを、あとからまとめてカード会社に一括通信や郵送などで報告する。
もらったデータをもとにカード会社が事後審査したところ、「不承認」にすべき決済が混じっている場合も当然あるが、回収できなかった場合の負担はカード会社との契約条件によりけりだ。
折半の場合もあれば小売り側が負担する場合もある。

店舗にはやはりそれぞれの顧客属性があり、この店の客層なら間違いないとか、売上規模であったりとかで、契約交渉上のパワーバランスができる。
当たり前のことで、立場の弱いほうが譲歩することとなるのだが、そもそも客数の多い大型店がカード決済「都度」通信しては、お互いにたまったもんじゃない。
回線整備など投資負担も増える。
ある程度の金額で線引きしてその金額以下は通信なしで「事後承認」でやりましょう。事故った場合はこれぐらいの負担割合で、とあらかじめ決めているのだ。

満を持して、初めての通信 
「承認」or「??」

一定金額を超える場合や、カード会社がブロックしている(通信必須にしている)番号であれば第3関門として初めてデータ通信が行われる
通信環境や時代にもよるだろうが、ここで数十秒のやり取りが行われ、承認されればレジに「承認」表示が出て承認番号の入ったレシートが印字される。

不承認であれば、
「このカードは使えません」
「カード会社にご連絡ください」
等、会社のシステム設定によって何らかのメッセージが出て、決済は中断となる。
基本的に「使えません」ならそのまま終了。現金など別の手段で払ってもらうか、購入キャンセルかどちらかだ。 

「カード会社に連絡してください」は通信型レジでも電話での直接やり取りが必要。 

...さあ。
気合を入れなおして電話しよう。

この一言で客の顔色が変わったら、修羅場入りもありえる。
「お客様、カード会社に連絡を取りますので
少々お待ちください」

つづく

最後までお読みいただき有難うございます。
次回作もぜひご期待ください!


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