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おまえうまそうだな

『おまえうまそうだな』をAmazonプライムで見ました。泣ける。

草食のマイアサウラに育てられた肉食のティラノサウルスのハートは、実に食に問題を抱えていました。
草食の食べ物が食べられない。
ギリギリ木の実だけ食べられますが、極端な栄養不足です。

ある時同じティラノサウルスに兄弟が襲われたことに対抗しティラノサウルスの尻尾を引きちぎり食べてしまいます。
初めて食べる肉はとても美味しかった。
一瞬我を忘れて兄弟に襲いかかるほど、その衝撃はハートを揺さぶりました。
自分が肉食であることに気づき、マイアサウラのお母さんも兄弟も食べてしまう不安に駆られたハートは、群の中に居られなくなり群れを出ていきます。
マイアサウラたちとはそれきり。
さよならも言いませんでした。

ティラノサウルスの群れになんとなく合流し、成長したハートはアンキロサウルスの赤ちゃんと出会う。
「お前うまそうだな」と声をかけるとアンキロサウルスの赤ちゃんは「ウマソウ」が自分の名前だと認識し、ハートを「おとうさん」と慕って付いてきます。

ハートとウマソウ、そして決別した家族との絆と、食糧問題のお話です。

東京喰種(初期)とか鬼滅の刃に登場する味方の鬼っぽいなぁと思います。
この絵本の方が先なのかな?
なんだろうな、人間がペットの豚を食べるか食べないかみたいなことなんだろうか。
思い入れのある近い関係が捕食対象だったら…っていうのは、可愛い絵柄に反してえぐい設定ですね。

ハートがウマソウを可愛く感じてきて、自分が教えられる色んなこと(肉食なので草食に教えることとしては大分ズレてる)を伝授しますが、
その後ウマソウがいるべき場所に戻ることを願い自立を促し突き放すシーンは切ないです。

自立を促された後に、ウマソウは仲間のティラノサウルスからリンチを受けることになります。
ハートは激昂して仲間のティラノサウルスを鍛えた足技のみで半殺しにしてしまうのですが、
不思議と牙を使わずに打撃のみです。
これはかなり非効率。殺さずに留めるハートの慈悲が垣間見えるます。
この部分が他のティラノサウルスと違うところで、ハートはどれだけ怒り狂っていても無益な殺生を決して好まない。
食糧は食べるために仕方なく殺してるんだなって感じです。

紆余曲折あって、ハートは最後にはマイアサウラのお母さんとお兄ちゃんに再会します。
ハートは「今の自分を見られたくない。きっと怖がられる。嫌われたくない。」と
そこでのお兄ちゃんと幼い今日立ち達との会話が正直だけどとても切ない。

「お前、肉は食べないのか?」
「食べるよ。食べなければ死んでしまう。
ただ自分の都合で食べるか食べないか決めているだけ。
俺はお前たちを食べたりなんかしないさ。
だけど俺みたいなやつには気をつけろ」

マイアサウラの群れにはティラノサウルスを警戒する歌があり、
子供たちがすぐに気づくように刷り込んでいます。
この歌をハートが歌うのはとても物悲しい。
育ての親と似た食性だったらきっと「自分と似た見た目のやつらはお前たちを食うだろう」と言わなくてもよかったのに。

だけど、この線引きって仕方ないですよね。
猫の前に無防備にヒヨコを遊ばせておいたりできないしなぁ。
馴染んでしまえば、捕食者を「きっと良いやつだ」なんて思って寄っていって食べられてしまうかもしれない。
どうしても一緒にいるのは難しいのですね。
マイアサウラとか見るからに戦闘力低めで美味しそうですしね。

最後、ハートはお母さんと兄弟達に別れを告げ、ウマソウと共に去っていきます。

ウマソウは成長すればゴツい!硬い!打撃!の食べづらいアンキロサウルスとなるので、
マイアサウラよりは大分一緒に居やすそう。
海にはプレシオサウルスの友達もいます。
プレシオサウルスは魚食なので食性が近い上に、ウマソウを襲う心配もありません。
同種の中では異質で浮いちゃう孤独なハートにも、奇妙な異種族の友達ができています。
もう本当に良かったねとしか…!
ポロリときます。

稀に猫とひよことか子うさぎが仲良しな動画とかありますよね。
あれですね、尊い。
私はみだりに血を見たくないので、我が家の猫にひよこチャレンジはしたことがありません。
互いの生を尊重して、その辺は分けるべきです。
だけどもし、奇跡が起きたらそれは最高に美しく、
激写が止まらず一瞬でストレージがパンクすることでしょう。

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