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#女子高入学


高校3年生ののり子は就職試験を受けるために寝台列車に乗り、上野に向かった。

当時、新幹線はまだなかったから大都会の東京に行くには寝台列車が主流だった。


のり子の学校からは3人がその会社の就職試験を受けることになり一緒に東京へ試験を受けに行った。

のり子達が寝台列車に乗り込もうとしたら遠くに学生服姿の集団が目に入った。地元でスポーツ校として有名な学校の生徒達だった。

5~6人の彼女たちは

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入学したら部活動は必ず入るもので、入部したら絶対に辞めずに卒業まで続ける事。

のり子の当時の常識はそうだった。
だからのり子は部活に入ることは当たり前だった。


校門に入ると上級生が待ち構えていた。「合唱部に入りませんか?」
漫画でこういう「部員の客引き」の図を見たことはあったが、その光景を実際に目にすることは、のり子は今までなかったので、「へー、高校って大人の世界だなぁ」と感じた。

部活の

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やりたくもないのに無理やり多数決でクラス委員長をすることになったのり子は高校に入学して半年間、迷走しきっていた。

学活の時の議長の時は会の運行をうまくまわせなかった。
話をどう持って行って結論を出せばいいのか分からなかった。

もしかしたらそれを文章にして静かに考えていたらできたのかもしれない。

しかし、人と話をすることが苦手で、ましてや皆さんの前に出て話をしなければいけない状況で、脳内はグ

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高校に進学して初回の授業はどの教科も先生の自己紹介や雑談で終わっていから
「高校ってそういうものなんだ」と、のり子は油断してしまった。


まさか、大好きな数学の初日に授業が始まるなんて思ってもみなかった。先生が自己紹介もせずに突然黒板に問題と解き方を書き始めたのには驚いた。

のり子達は慌ててその数式をノートに写し始めた。先生の説明はもう頭の中で素通りしていた。
とにかく早く書き写さなければいけ

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自分から人に声を掛けられず独りぼっちの中学三年間を過ごし、勉強するしかなかったののり子は地域でも有名な進学校に入学した。


そこは百数十年の歴史がある、地域でも有名な女子高だった。

その学校は自転車で片道45分位の「街なか」にあった。
これまで周りが田んぼだけの小中学校だったのり子にとって、「大人の世界」へ飛び込んだような気がした。


同じ中学からはのり子を入れて2~3人しか入学していない、

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