冬深く~2018年「ペガサス」錬成20句より


冬深く   
    
              瀬戸 優理子

1 鶴であることを忘れて凍てる鶴
2 凍鶴の吐く息声にならぬ息
3 どこに佇ちても神獣に逢う凍滝
4 凍傷の花びら落とし冬薔薇
5 迷い猫凍土に鼻をなすりつけ
6 行列が無口に進む風の凍
7 凍返る人工知能研究棟
8 凍天の仮予約する宇宙葬
9 凍星や夢を削ってねむる母
10 閉じてもう開かない目よ凍星よ
11 凍月夜湯の沸く音のからころと
12 葱凍てるからだの一部甘くして
13 ほんとうの言葉出ぬペン先の凍
14 流氷の押し合っている凍曇
15 冱つる夜の安心させる低い声
16 凍窓や今朝のごはんの炊ける音
17 恋人が出て行ったきり冷凍庫
18 徹夜明け口漱ぐ凍解の水
19 涙吸い尽くしハンカチ凍て返る
20 凍蝶のかたちに朽ちてゆく記憶

※俳句同人誌「ペガサス」では、1年に1回、各自でテーマを決めた自由連作20句を作成、合評するという企画があります。誌上では、3回に分けて抄録として反映。ひとり8句と、作者が希望する1句についての短評を掲載しています。

↑と書きましたが、2018年は2回やっていたんですね。毎年少しずつ季節をずらして開催しようということで、調整したような記憶が…(笑)

この回は、12月締切だったでしょうか。ゆえに、北国の寒ーい気分で「凍」の一字詠み込みで連作にしています。バックナンバーゆえ、季節外れの俳句のアップになりますが、ご容赦ください💦

その他の錬成20句もアップしていますので、よろしければ覗いてください。


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