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「なぜ、その言葉に傷つくの?」~ひと言をめぐる、さまざまなイメージ。

「言われて嫌な気持ちになる言葉」。あなたなら、どんな言葉を思い浮かべますか?
 

否定や頭から批判などネガティブな気持ちを引き起こす言葉は、できればあまり聞きたくはないものですよね。


でも、もしかしたら、その言葉を使った相手は、悪意を込めたわけではないかもしれません。いたってフラットに、場合によっては褒めるつもりで言った可能性も。


以前、北海道新聞空知版で、携帯電話・スマートフォンの所持年齢が低下し、メールやSNSでのコミュニケーショントラブルが増えているという記事がありました。そうした傾向に対応すべく、ある小学校では「文章による気持ちの伝え方を学ぶワークショップ」を開催したそうです。


そこに参加したという小学生の反応が興味深かったので、シェアしつつ、考えたことなどを記します。

まず、どんなワークショップを行ったか?

6年生47人が6~7人のグループに分かれ、「まじめだね」「個性的だね」などと記した5種類のカードから、言われて嫌なものを選び、理由を話し合うのだそうです。新聞では「『おとなしいね』と言われて嫌な気持ちになる人がいるなんて」という女子生徒の感想が紹介されていました。

記事の中では、5種類のカード全部が、どんな言葉なのかわからないのが残念なのですが、「まじめだね」「個性的だね」「おとなしいね」のほか、2種類あったのでしょう。


さて、前述した「おとなしいね」という言葉の捉え方のギャップについて。使う側は、「元気ないね」「もっと、あなたの意見聞きたいな」「おしとやかだね」という善意(励まし、関心、褒め言葉)の意味で使うケースもあるように思います。しかし、言われた側は「喋らないから、つまらない」と評価を下されたと感じる場合もあるでしょう。


「おとなしい」という言葉について、言われた本人がどうイメージするかによって、傷つく、傷つかないの差が生まれるのです。これは、他の言葉に対しても同様でしょう。

対面でのコミュニケーションなら、相手の表情という言葉に込めた意味を読み取るヒントがあります。でも、文字だけだと、ノーヒントになるため、自分が言葉そのものに抱いている印象に強く引きづられて解釈してしまう傾向がありそうです。


また、言った側にしても、相手が「傷ついた」「不快に思った」などの反応を示したという情報を得ることができないため、フォローする言葉をかける機会を失うというのもあるでしょう。そうして両者のすれ違いが起こり、溝が深まってしまうというのは、人間関係の経験値が低い年齢なら十分ありえることです。いえ、大人であっても、十分注意が必要と言えます。

「言葉」に対して抱く印象は人それぞれ。一般的にポジティブと思われている「愛」という言葉にしても、正面から肯定的に捉える人もいれば、わざわざ言うのは偽善や独善っぽいと感じる人もいるでしょう。

その人のこれまでの経験、育ってきた環境、普段過ごしている人間関係によって、好む言葉、選んで使う言葉は違ってくるもの。さらに言えば、その感性が近いと思った人に、親近感や共感を抱く。言葉とは、そういうものです。

短く、軽く、素早く。SNS隆盛の時代、コミュニケーションにおける言葉の質が変化してきているのを感じます。ツールに合った言葉を使うことがビジネスにおいては成功の秘訣となりますが、それをそのまま個人的な人間関係に置き換えるのは適切でないケースもあります。


想いを込めて、言葉を尽くす。勘違いや無用なトラブルを防ぐためにも、文字によるコミュニケーションは、対面以上に配慮が必要だと改めて思った新聞記事でした。


ちなみに、このワークショップを行った自治体の携帯およびスマホの所持率は小学6年生で60%、中学3年生で83.9%にのぼるそうです(2017年度全国学力・学習状況調査より)。今は小学生でも、もっと高い所持率になっていそう。うーん、こちらも考えさせられますね…。ちなみに我が家は、高校生になったらスマホデビューです。

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