第2回「官能句会」作品集
「さっぽろ俳句倶楽部」では、定例(といいつつ不定期vv)の夏雲システム活用の句会の他、時々に応じて「スピンオフ企画」の句会も開催しています。
この「官能句会」も、そうした中のひとつ。昨年、過去のイベントへのテレビ取材をきっかけに句会を開催し好評を博したので、今年の「初句会」として定例句会+αで行ないました。
第一回については、こちらでも書いています。
第2回はテーマ詠「姫始め」(ベタ💦)と、「大人のエロスを感じさせる自由詠」の2句投句としました。
高得点句ほか、印象に残った句を掲載しますのでご堪能ください。前回の記事はアレコレ分析しましたが、こういうタイプの句は純粋に手ざわりを味わったり、発想を楽しんだりしていただけると良いのかなと思いますので(笑)
尾鰭から濡らす人魚の姫始め 眞紅
ひめ始めサイフォンの湯の沸き立ちぬ 昼顔
水鳥になれぬ一夜を抱き交わす 優理子
狼の番となりしひと夜かな 千秋
パトカーの音とほざかる姫始め すずめ
常温の声で誘われ姫始め 和弘
寒の月晒すうなじと指の傷 紀宣
初鶴となりて啼く君の静脈 月波
還暦の不要不急の密事始 一路
二日に抱かれ鎌倉夫人となれり 美髯
何もない大平原に春の川 凡夫
象徴としての動物(生き物)が登場して幻想を誘う句、日常の中にもちょっとした「異界」の扉が開く瞬間を描いた句、異性の肉体の存在感によって性的な感覚が開いていく句など、それぞれの魅力があると思いました。
驚いたのは、「何もない大平原に春の川」(凡夫)の句。これは「無毛の少女」を描いた句とのこと。そう読むと、あっけらかんとした、原始的な神話の世界で描かれるエロスが漂う句に見えてきます。
「二日に抱かれ鎌倉夫人となれり」(美髯)も国木田独歩が自身を翻弄した妻をモデルに描いた自伝的小説を踏まえ、機知を効かせたお洒落な句です。
自身の「体感」を思い出しつつ、想像(妄想)力を広げて、言葉で世界観を表現する「官能俳句」。ひとときの夢を見るような詠む時間は楽しく、他者が詠みあげた作品を堪能するのも楽しく。
こういうのは「たまに」が楽しいので、半年~1年に一回くらいのインターバルでまた開催したいと思っています。
「さっぽろ俳句倶楽部」のオンライン句会に興味がある方は、こちらからお問合せどうぞ。次回の夏雲システム活用の通常句会は3月開催の予定です。(Twitter @yurikoseto でも告知しています)