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【roots】少年期 《序章》光るランプと伸びる影

家具の無い暗い部屋。
アンティークの赤い壁紙。
壁にタペストリーか何か布が掛かっているみたい。
真ん中に小さなスタンドランプの灯りが着いていた。
あまり中まで入る気になれずにドアのすぐ横の壁に背中をつけて足を抱いて小さく座った。

大きくため息をつくと、ランプから影が伸びて来て少年の頭上で喋り出した。
黒いマスクとベルベッドのマントだけがうっすら光って見えた。
「やっと会えたな。…オイ!聞いてるのか?」
縮こまる少年に向かって偉そうに口をきき、
少年は、ただただ怖く頭を下げて見ないようにした。
「お前、用心深くてつまらねぇな。あんなライオンやふざけたペリカンも避けてばかりで」
見てたのか…。
「ぼ、僕に何か用?」勇気を振り絞り聞いた。
「お前が用があるんじゃないのか?」
探る様にいやらしい口調で聞き返された。
「ぼ、僕は、別に…」
ますます体を小さくして座った。
「なんの考えもねぇとは。これは!これは!
チャンスだな。俺と組んで世界をかき混ぜようぜ!」
「な、なんで?」
「つくづくアホそうだな。お前は言う事を聞いてりゃいいのさ。簡単だろ?」
いやらしく言って。ドアを開け細い光が廊下に伸びた。
「ホラさっさと行け!出来るだけこの世界が狂気で溢れるようにかき混ぜて来い!!」
終始偉そうに怒鳴り散らし少年の返事も聞かず部屋からつまみ出した。
訳がわからない。かき混ぜる?なんの事だよ!
とにかくここにはいたくない。
気味が悪い。なんなんだ?なんなんだよ!!

どこにも身の置き所がない。
どうしたら良いんだ!
戻れない。ここにもいられない。
行くしかない。
そうか…行くしかない。

to be continue…

ワクワクとドキドキと喜びと幸せを🍀
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