かつて僕と君が過ごした場所へと運ぶ列車に乗り込んだ。十年経っても変わらない延々と続く田園風景が心の柔い部分を刺激する。気付けば淡い記憶を思い出している僕がいた。もう二人で共有した時間は戻らないのに。青春の欠片を胸に忍ばせて、君の好きな歌を口ずさむ。あの夜の出来事は、二人の秘密だ。

画像1 【140字小説2】

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