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夜の寒さに耐えながら街を歩けば、神の誕生を祝うイルミネーションが、それこそ神々しく輝い…
「で、オレを呼び出したのは?」 ベランダの手すりにもたれかかった彼は呟く。過去の回想を…
大学の研究室のベランダから外を眺めていた。急にやってきた寒さに立ち向かい、色付いた葉っ…
「お前、正気か?」 酒に酔った翔平が僕を責めるように口走った言葉には棘があった。いつも…
「……ありがとう」 沈黙を破った感謝の言葉は、どこか想定の範囲内の言葉だった。その後に…
「やっぱり、時期尚早だったんじゃないかなぁ」 往生際の悪い僕は、隣に座り、講義を聞きなが…
夏の暑さを引きずったまま、秋になった。子供の頃は紅葉を写真に収めていた時期も今は温暖化のせいで夏の延長戦みたい印象を抱く。紅葉なんて見る方が珍しくて、生温い風に当たっていると、近い将来には秋という季節が日本から消えてしまう日が訪れてしまうのだろうと、漠然とした不安が浮かんだ。 これからやってくる繁忙期に備えてバイトを長期で休んだ。コンクールの写真を撮るために。今日もあてもなく、赤いアンカーのロードバイクのペダルを規則正しく踏み続け、写真を撮る場所に相応しい場所を探していた
「ここ、禁煙」 タイミングよく誠治が帰ってきた。もはや狙っているのかと勘ぐってしまうく…
テレビで終戦特集が組まれている夜、美沙に呼び出された。僕は終戦の時期に恒例の終戦ドラマ…
「海だぁー!」 翔平は大声――まるで声出しをする高校球児のような声――を海に向けて叫ん…
湘南にあるキャンプ場は海から近く、潮の香りや時より吹き抜ける海風が印象的だった。べたつ…
「コバルトブルーの……」 翔平がサザンオールスターズの『涙の海で抱かれたい』を熱唱し始…
「やっと、やる気になったか?」 カウンター席で僕の横に座るマスターは、日本酒のお猪口を…
梅雨が明けた。夏らしい晴れ渡った青空が広がる日々が続いている。猛暑日続きで、身体が悲鳴を上げ始めていたが僕の日常は変わりなかった。 午前中に受けた企業面接を終えた僕は、木々が夏の眩しい日差しを僅かに遮る日陰の公園のベンチに座っていた。ぼんやり周りを眺めていると色々な人、建物、生き物などが嫌でも目に入ってくる。 今日も禁煙指定の公園にも関わらずクシャクシャになったタバコを吸っているホームレスらしき人物やサボっているのか、休憩中なのか、判断が難しいワイシャツ姿の中年男性がスマ