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「嘘のない愛は愛じゃない」

し、真理だ…!

映画を見ているとハッとするセリフがさらっと使われる。私の場合、ほぼ字幕で見るので、幾分か聞き取れる英語以外の言語の映画は字幕に頼るしかないんですが、このセリフが出てきたのはフランス映画でした。

「はじまりのボーイミーツガール」

このタイトル、映画館でチケット買うときは結構恥ずかしかったりします。女性はまだいいけど、年配の方とか、男性とかちょっと言いにくいんじゃ…。でもね、そんな羞恥心はひた隠しにして、是非ご覧ください!これは、子ども向けの映画ではなく、まさに私たち大人に向けての映画です。

原題は「Le coeur en braille」。日本語訳すると、「点字で書かれた心」っていう意味だそうです。フランス本国でベストセラーになった青春小説が原作とのこと。

クラスで落ちこぼれの12歳の少年ヴィクトールは、遠くから見つめているだけだった優等生の少女マリーから声をかけられ、彼女との距離を縮めていく。ヴィクトールはやがて、マリーがチェロ奏者を目指しているものの、徐々に視力が低下する病気を抱えているという秘密を知ってしまう。そして、その秘密を守るために自分が利用されていたことに気づいたヴィクトールだったが、マリーのチェリストになりたいという情熱に動かされ、彼女を助けるために2人だけの作戦を開始する。(映画.comより転記)

映画の冒頭から心弾むようなBGMとともに始まるストーリー。マリーが本当にカワイイ。

それにしても、この映画は彼女が薄幸の美少女でありながら前向きで天真爛漫な感じも持ち合わせている以外にも微笑ましいシーンだらけだ。

まず、ヴィクトールの友達がいい。ことわざ大好き、イスラム教徒の父とユダヤ教徒の母を持つアイサム。音楽仲間の双子の兄弟。もう3人ともめっちゃイイ奴!こんなデキた友達を持ったヴィクトールは幸せ者!

あと、なぜか校長がめちゃチャーミング。いいキャラしとるわ〜。脇役で、数少ない出番ながら、彼の役割は結構重要だったりする。

そして、ヴィクトールとパパのやりとりが何ともいい。男手一つでヴィクトールを育ててきたパパは、お世辞にも模範的な父親とは言い難いけれど、男の色気があって、雰囲気がある。彼は出て行った妻の物が捨てられなくて家に置いたままだ。ヴィクトールもそんな父の姿を見てか母のことを言うのはタブーとわかっていてもいつ何時聞いてしまう。そして、パパは息子の恋のお悩み相談にも乗るのだ。その時に出た言葉がコレだ。

嘘のない愛は愛じゃない

マリーが自分の病気のことを隠して、ヴィクトールに近づき、自分の恋心を利用されたと感じて憤る息子に父がかけた言葉。

親と自分の恋バナしたことありますか?親の立場にある方、お子さんの恋愛相談に答えたこと、ありますか?

言葉少なに父が息子に語りかける様子は、朴訥ながらもその言葉は真理なんです。彼は楽観的でも悲観的でもなくて、的確な言葉で息子を導く。人に対して、何をしたら喜ばれるか、その人のためになるか。そういうことって、いちいち教えられながら理解するものではなくて、子供は親の姿を見て、日常的に学んでいきますよね。いくら勉強ができなくてもそういうことが分かる子って、いいなぁって。ヴィクトールの恋のライバルでもある秀才ロマンは、そういうことは一切わかってなかったなって。だからマリーはヴィクトールを選んだのかな…。

少し強引にハッピーエンドに持ち込もうとしたラストまでの展開は置いといて、ラストのマリーの笑顔が爽やかすぎて、音楽の効果も相俟って、もう涙ボロボロでした。ラストで一気に私の心は奪われた。

子供向けだわ、とかフランス映画はむずいよね、とか思わずに、まっさらな心で見てほしいです。ちょっぴり無理のある展開は置いといて、ステキなステキな物語です!

2018年2本目。シネリーブル梅田にて。

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