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もうすぐクリスマスですね。

これまで仕事をしてきて、たくさんの患者さん達と出会ってきました。心に残る、忘れられない思い出もたくさんあります。

もうずいぶん前のことですが、ずっと記憶に残っているクリスマスの思い出があります。

薬局に、ご主人の薬のことで、ご相談に来られた方がいました。
ご主人は精神系の病気でした。

服用している薬を見せてもらうと、とてもたくさんありました。
ご相談というのは、薬の副作用がひどくて、続けてよいか迷っているということでした。

確かに、強い薬も処方されていて、これではかなり眠けや倦怠感、ぼーっとしている時間が多く、生活や仕事には辛いだろうと思いました。

でも、さらにお話を聞いてみると、緊迫した状況であることもわかりました。
つまり、副作用よりも治療が優先される状況であるということです。
その時は《今は、副作用をある程度は我慢せざるを得ないでしょう》としか、答えられませんでした。

それからしばらくして、そのご主人は亡くなりました。
ご家族の心中は察するに余りあります。


半年くらい経った頃

毎年12月になると、薬局でもクリスマスツリーやリースなどを飾ります。クリスマスに病気で薬局に来なければならない人達の気持ちを、少しでも和やかにできればと思い、昨年は初めて、私はサンタクロースの帽子を被って仕事をしました。(意外と好評でした🎅)

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クリスマスも近いある日。もうそろそろ営業時間も終る頃。一人の可憐な高校生の女の子が来局しました。

あの時の、亡くなった方のお嬢さんでした。
華奢でたおやかな、可愛らしい女の子でしたが、薬をお渡ししながら話をすると、しっかりしていて、意思の強さを感じました。
母親に対して、少しわだかまりがあるようでした。

彼女が、帰り際にふと、クリスマスツリーに目を留めて言いました。

「少し見ていってもいいですか?」

(私は、彼女の事情を知っていました。
彼女はそのことを知らなかったかもしれないけれど。)

「どうぞ、ゆっくり見ていってね」と応え、もう他に誰もいなかったので、待合室の電気を消しました。

部屋が暗くなると、クリスマスツリーの色とりどりの明かりが、鮮やかに輝きました。
彼女はしばらく、ソファーの端に座って、静かにクリスマスツリーを見つめていました。

彼女は何を思いながら、クリスマスツリーを見ていたのでしょう。
その時の光景が、彼女の憂いを帯びた横顔が、いつまでも私の頭から消えませんでした。


それから何年か経って、外出先で偶然に、元気に仕事をしている彼女に会いました。
彼女も私のことを覚えていました。

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美しい大人の女性になり、明るく元気に仕事をしている彼女を見て、本当に嬉しかったです。
目頭が熱くなった私は、一緒にいた友人に、「目が赤いけど、疲れてるの?」と言われてしまいましたが、事情を説明できないので、話を合わせておきました。

《人間て強いな。いつまでも同じ所に留まってはいない》
そう思いました。


それからまた数年後、彼女はお母さんになって、赤ちゃんを連れて現れました。

赤ちゃんの可愛い笑顔と彼女の優しい笑顔が、幸せに溢れて輝いていました。

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あの時の彼女の幸せな姿は、私がこの仕事を続けていく上で、今でも心の支えになっています。

私は勝手に彼女を心配していたけれど、彼女は、強く、明るく、幸せに自分の人生を生きてきて、
その瞬間に触れるたびに、幸せと喜びをもらっていたのは、私の方でした。

出会った人達の元気な姿に励まされ、支えられて、私はこの仕事を続けてこられたのだと思います。
だから、もしもこれから、辛いことや苦しいことや悩むことがあったとしても、それ以上の喜びを感じながら、ライフワークとして、この仕事をこれからもずっと続けて行くだろうと思います。


✨あなたの幸せを、いつまでも願っています✨

🎄Merry Christmas 🎉


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