ちゅーりっぷ

23歳です。 いつか、書くことを仕事にできたら。

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最近の記事

無責任な「辞めてもいいんじゃない?」を大切にしたいと思った話

何かを変えたいと思うとき、 どうにかしたいと思うことにぶつかったとき、 本当に大切にするべきなのは、 無責任に「辞めてもいいんじゃない?」って言ってくれる人だと思う。 とりあえず生きていくためとか、 安定して収入を得るためとか、 今の生活を崩さないためとか、 「気持ち」に反して、すぐに動けない事情は誰にでもある。 イヤ。だから辞めます。 他に好きな人ができた。だから今すぐ別れて。 そんな風に勢いよく生きていくことには誰だって一度は憧れる。 けれども、そう簡単にはいかない

    • ファンファーレ

      人 物  重本那月(17)高校二年生  坂下悠有(17)那月の幼馴染み  生徒A  生徒B  教師 *************** ○河原(夕)    田舎の町の住宅街の外れ。    川の向こうは田。さらに奥には紅葉した山が広がっている。    重本那月(17)がトランペットを吹いている。    足元には楽器ケース。ケースの上には週刊誌。    風が吹いて、めくれ上がる週刊誌。開かれたページには、〈河原の天    才トランペット少女、奇跡のシンデレラストーリー〉の文字。

      • 『“誰かのために”が持つ強さ』―平手友梨奈「ダンスの理由」の“私“に触れて

        平手友梨奈のソロデビュー曲「ダンスの理由」。グループとして向き合っていた「僕」とは、似ているようで違う存在の「私」と向き合う彼女。そんな彼女に、「角を曲がる」以来、再会することができた。 『みんなが期待するような人に 絶対になれなくてごめんなさい』と憂いた「私」が、『私にできることなんて』『何もない』と高らかに叫びを上げる。 『独り占めしてたはずの不眠症が 私だけのものじゃなくて落胆した』「私」が、『らしさって一体何?』ともがき苦しんだ「私」が、『誰かの悲しみを癒やす その

        • ショートショート「次世代のコンタクト”オトミル”」

          「お前が全部ぶち壊してるのだよ!邪魔なだけだ」  今日もまた、叱られてしまった。音程をそろえる。縦をそろえる。大人数で演奏しているのに、まるで大きな一つの暖気に包まれているような、そんな一体感が、吹奏楽がもつ独特の良さだ。あの頃は、ただただ楽器を吹くことが楽しかった。好きだから続けてきたけれど、迷惑をかけているだけかもしれない。どれだけ練習をしたって、一向にみんなと同じように吹けるようにはならない。  ”音楽は時間の芸術”って言葉、初めて聞いたときは心の中に何かが染み渡ってい

        無責任な「辞めてもいいんじゃない?」を大切にしたいと思った話

          金木犀の便り

          金木犀の香りが、好きだ。 毎年、秋のほんの少しの間だけ、街の至るところからふわっと香ってくる、あの香り。毎年、いろんな気持ちを運んでくれる。 二年前の秋、受験生だった私は、金木犀の香りが怖かった。 時の流れが速すぎて、まるで自分だけが置いてけぼりを食らっているようで、大好きなはずの香りが、怖かった。 去年の秋、無事大学生になって地元を離れた私は、人生で初めて地元以外の金木犀の匂いを知った。ああ、都会にもちゃんと金木犀はあるんだなあ、というのが正直な感想だった。 そして今年

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          【異世界の交差点】ーYOASOBI「夜に駆ける」に欅坂46「避雷針」を聴いた日のこと

          YOASOBIの「夜に駆ける」。 きっかけは、何となく見ていた朝の情報番組だった。 どうしようもなく耳から離れなくなって、MVを何度も何度も観た。 なぜか分からないけれど、ふと気づくと頭の中に流れているのに、ふとしたきっかけで、何かの拍子にぱっと消えてしまいそうな気がする。それと同時に、どこか懐かしい感じもした。 ほぼピンクと青のみで描かれているMVの世界。 中学生の頃の美術の教科書の、補色残像の説明のページにあった、青いいちごのイラストを思い出した。 青いいちごのイラスト

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          今だからこそ-恩田陸「ドミノ」を読んで

          人とすれ違うとき、どうしても気持ちが敏感になってしまう、今。 そんな今だからこそ、家に一人でいると考えてしまう。 毎日何げなく観ているテレビ番組。 今だからこそ、何を伝えるべきか考えてくださる方。 こんなときだからこそ、と、笑顔で出演してくださるタレントの皆さん。 いつもどおりの収録ができず、不慣れな方法であろうに、今できる最大限の方法で番組をつくってくださる方。 食べるものがなくなれば、コンビニやスーパーに行く。 必要なものを選んでレジへ行くと、お会計をしてくださる方。

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          当たり前な特別

          西加奈子「i」を読んで ”幸せ”に、後ろめたさを感じることがあるか。 ”幸せ”に浸っている自分を、恥ずかしいと思うことがあるか。 今、自分の手の中に”幸せ”があるのは、どこかの誰かが手に入れるはずだった”幸せ”を横取りしてしまった結果だと、そう思うことがあるか。 毎日めまぐるしくいろいろなことが起こる世界の中で、ときに、自分の無力さが嫌で嫌で仕方なくなることがある。 突き詰めていけば、結局、誰しも一人で生まれてきて、一人で死んでいくのだということ。 でも、だからこそ、「

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          「音楽文 powered by rockin'on.com」というサイトに、文章を投稿してみた。 今まで投稿した3つとも、どれも自分の想いをことばにしたくて、「書きたい」と思って書いたもの。 自分の手元に置いたままにしておいてもよかったのだけれど、もしかすると、誰かが読んでくれたらいいな、と思って投稿してみたのである。 私の文章を読んでくださる方がいらっしゃって、暖かいコメントをしてくださっている方を見つけたりもして……。 嬉しかった。本当に、本当に嬉しかった。 私

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