見出し画像

今だからこそ-恩田陸「ドミノ」を読んで

人とすれ違うとき、どうしても気持ちが敏感になってしまう、今。
そんな今だからこそ、家に一人でいると考えてしまう。

毎日何げなく観ているテレビ番組。
今だからこそ、何を伝えるべきか考えてくださる方。
こんなときだからこそ、と、笑顔で出演してくださるタレントの皆さん。
いつもどおりの収録ができず、不慣れな方法であろうに、今できる最大限の方法で番組をつくってくださる方。

食べるものがなくなれば、コンビニやスーパーに行く。
必要なものを選んでレジへ行くと、お会計をしてくださる方。
棚の商品を補充してくださっている方。

映画を観たり、本を読んだりする。
話を考えてくださった方。編集者さん。印刷会社の方。
俳優さん。監督さん。。。

人と会うことが極端に少ない今だからこそ、自分の行動一つひとつの裏に存在する”人”に、注意を向けずにはいられない。

私の行動が、私の知らないところで、誰かに影響を与えることになるかもしれない。
気づかないうちに、私も誰かの行動の影響を受けているかもしれない。

人に会えない今。だからこそ、人のことを考えてしまう今。
人と人は、偶然か必然か、ドミノのように影響し合うものだと気づかせてもらえた。

テンポがよくて、初めから終わりまでずっと、明るい気持ちで読んでいられた。
一日でも早く、人とすれ違うことを楽しめるようになったらいいな。
今度、にぎやかな街を歩くことができるときはきっと、今まで風景だった”通行人”だって、”人”になると思うから。

今だからこそ、より一層”人”を感じられる、明るいお話でした。
読んでくださりありがとうございます。



この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?