当たり前な特別
西加奈子「i」を読んで
”幸せ”に、後ろめたさを感じることがあるか。
”幸せ”に浸っている自分を、恥ずかしいと思うことがあるか。
今、自分の手の中に”幸せ”があるのは、どこかの誰かが手に入れるはずだった”幸せ”を横取りしてしまった結果だと、そう思うことがあるか。
毎日めまぐるしくいろいろなことが起こる世界の中で、ときに、自分の無力さが嫌で嫌で仕方なくなることがある。
突き詰めていけば、結局、誰しも一人で生まれてきて、一人で死んでいくのだということ。
でも、だからこそ、「大好き」ということばが、計り知れない大きなパワーを持つこと。
”想像”には限界があって、自分以外の誰かになり代わることも、その誰かの苦しみを代わりに背負ってあげることも、私たちにはできないのだということ。
でも、だからこそ、「知りたい」という気持ちが、こんなにもお互いの存在を確かなものにするということ。
あなたは、存在しているよ。
誰がなんと言おうと、あなた自身がその存在を疑ってしまうことがあったとしても、あなたは、存在しているよ。
そんなこと当たり前だと言ってしまえばそれまでだけれど、そんな当たり前のことに気づかせてもらえたことは、私にとって少しだけ、特別なことなんだ。
素敵なお話でした。
読んでくださってありがとうございます。
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