至福の弛緩。映画「オーシャンズ」
敏腕詐欺師もメカニックも資産家もベガスも出てこない、「オーシャンズ」。波の音、海洋生物たちの美しさに身をゆだね、体の芯をゆるませる。至福の時間を過ごせる映画だ。
この映画は音が、素晴らしい。
沖合の波は重く圧力があり、ズザザザザーと波が崩れると、重低音の心地良い圧がかかる。水中映像では、コポコポコポ、カポカポポポ、トプゥントゥプン、と耳に優しい音のなか、海面の日差しに照らされた魚群が踊り、水鳥たちが矢のように滑り込み、蛸や深海生物たちがグロテスクにうごめく。
波の音に揺られながら体は大海原と同化し、とけていくかのよう。
オーシャンズは、史上最高のリラクゼーション映画だと思う。周りへの配慮や情報に身を固くしがちな今、体も心も思い切り解き放つことができる。
ちなみに字幕版は音声がフランス語で、リエゾンの柔らかな響きと特有の有気音のリズムが気持ちよかったりする。こちらも良き。
本文の画像は映画.comより。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?