見出し画像

読書日記|0417-0423


20230417 晴れ

朝から『町でいちばんの素人』。「俺は長男だから我慢できたけど次男だったら我慢できなかった」と某アニメの有名なセリフからはじまった日記に頬が緩む。そこから金髪ジェンダー意識最悪泣き虫野郎などという言葉が続き、月曜日のはじまりかたとしては最高だった。それでこの日の日記の最後にも長男ネタが引用されており、扱い方が完璧で気分が高揚する。なんというか、とても健康的。

労働は、新しい店長と顔あわせ。物腰の柔らかな、真面目で責任感の強そうなお人だった。まあわからんけど。

家に帰り、夜ご飯を作ろうとおもうのに、気づけば横たわっていて、限界だった。夫帰宅の15分前から支度をはじめ、間に合う。夜は、生いちご大福と万能茶をいただきながら、短歌を読みたくなって『100年後あなたもわたしもいない日に』が読まれた。土門蘭さんの文章もすきだけれど、短歌もすきで、それで『死ぬまで生きる日記』を読みたくなっては、買ってすぐだし、もったいなくてやめた。

100年後あなたもわたしもいない日に
今日とおんなじ朝陽がのぼる
『100年後あなたもわたしもいない日に』



りなさんから手紙が届く。手書きのぬくもりと、私のいないところで、私を思い出してくれたことの喜びに浸り、うっかり泣きそうになった。




0418 晴れのち雨

できるだけ、きちんとしていたいのに、できるだけもなにもなくて、だけど朝から西加奈子さんの『くもをさがす』のPOPが届いていることを確認して喜んだ。河出書房新社さんありがとうございます、担当さんありがとうございます、の気持ち。あんなにも素敵な本なんだもの、たくさん売れるに決まっている。島にある小さな書店には数冊しか入荷せず、だけど、なるだけ、気持ちをこめて展開をする。

記念


夜、マリヲさんの『世の人』を読もうとしていたはずが、気づけば19時から1時まで眠っていた。それで外は大雨で、頭が痛い。歯磨きをして、漫画を読んで、また寝た。猫たちも私と一緒にずっと寝ていたらしいけど、彼らもまた寝ていた。




0419 雨

朝から雷が鳴って目が覚める。昨日のカレーを食べた。食べて、本を読もうとして、また寝た。寝ているあいだに、夫が食器洗いや洗濯などを済ませてくれていて、ありがたいなあと思って、口に出していう。寝ても寝ても眠たいので、とにかく本を読もうとおもい『町でいちばんの素人』を。それから父の誕生日なのでケーキを買いに。

調子がよくなくてつまらん気分のときでも何でもなく楽しかったり嬉しかったりすることができるから、読書というのはやっぱりそう簡単には手放せないものなのかもしれない。
『町でいちばんの素人』P.75


気づけば今日が終わっていた。





0420 晴れ

暑い。雨上がりだから、湿気もあって、なにもかもがうざったい。足は浮腫んでいるし、頭も痛い。昼休みに金原ひとみさんの『腹を空かせた勇者ども』のプルーフを読もうと開くも、脳みそがまるで動かなくて、どうかしていた。しかし近頃の日記はずっと鬱々としていて、こんなもの誰が読みたくなるのだろう。しかし、こんな時代もあったね、といつか話せる日が来るわ、というようなもので、まわるまわるよ時代はまわるといった具合で、夜の私は比較的調子が良い。昼間のあれはなんだったのだろう。


『月と散文』は、54ページまで。もったいないのに、読んでしまう。読んでしまって、ひきずりこまれて、泣きそうになって、猫を触る。これ以上はだめとおもい、本を閉じた。

僕だけでなく、多くの人が嘘みたいな日常を生きている。誰とも話さなかった日の夕暮れに「ああ」などと一人で声を発し、自分が生きていることを確認したくなるのはそのためかも知れない。
『月と散文』P.16


明日は通院。なるようにしかならないのに、なにかを願う。願って、泣きたくなって、失われたもののことや、失いたくないもののことを想う。どうか、どうか。今はただそう願うことしかできなくて、私という人間は、あまりにも無力で、今夜も猫のそばで眠る。





0421 晴れ

朝から通院。採血などもあるので早めに行き、待ち時間には『町でいちばんの素人』を読まれた。日記本はちまちまと読みたいという思いがあるのに、100ページ以上読んでしまう。読む本があると、待ち時間なんてものは平気なのだけど、読み終わりたくない本を持ってきてしまったがために、待つことがどんどんと嫌になる。それで検査結果でちょっと息をすることを忘れるくらい悪い結果がでてしまい、再検査をすることに。すると、すべて陰性だったという、嬉しいけれど、どうしてくれよう、この疲れ。私、死にたくないんだな。


書店によって、本を買った。




0422 晴れ

寒い。とにかく寒い。仕事終わりに車屋さんへ行き、半年点検と、諸々の手続きをする。寒い。底冷えが酷い。足はきんきんに冷えている。昨日のことを反省し、ヘミングウェイの『移動祝祭日』を鞄にいれてきたはいいものの、今じゃない。土曜社の本は素敵だなあと、机の上に置いた本をみて思う。それで本を見ながら、こうして日記を書いている。寒い。




0423 晴れ

姉と甥っ子ふたりが昨日から来ていた。中学生になった甥っ子は、小学生の頃からエドワード・ゴーリーが好きで、そこから柴田元幸さんの翻訳小説を読むようになり、それで今は海外文学へと歩を進め、『ペスト』を読むようになっていた。日本文学は読まず、海外文学ばかりが気になるようで、ちょっと羨ましかった。

姉達が帰った後、内田洋子さんの『モンテレッジォ小さな村の旅する本屋の物語』を読みはじめる。

昨日のSANBONRADIOで紹介されていて、あ、そういえば、と積読していることを思い出したのだ。それでページを開いてみたら、はじまりから素晴らしく、心はすぐに掴まれる。

 いつか読もう、と積んだまま忘れられている本はないだろうか。
 ある日ふと読み始めてみると、面白くてページを繰る手が止まらない。玉手箱の中から、次々と宝物が飛び出してくるような。
 モンテレッジォ村は、そういう本のようだ。本棚の端で、手に取られるのを静かに待っている。
『モンテレッジォ小さな村の旅する本屋の物語』P.10



SANBONRADIOは今回もとても良く、紹介されていた「あいだで考えるシリーズ」二冊をtoi booksさんのオンラインで購入。届くのが楽しみ。




それでは、また。


この記事が参加している募集

習慣にしていること

眠れない夜に

よろこびます。