【実験小説】Case1:雨宮雪子の場合 6
「まあでもやっぱり、すごいよな、そういうの」
寺原直樹はコーヒーカップをテーブルに置くと、右手で頬杖をつき、まじまじと雨宮雪子を見つめた。
「そういうのって?」
雨宮雪子はもう一度コーヒーを啜る。
「やっぱり人と違うところがあるんだよ、ユキは」
「べつに、特に変わらないよ」
コーヒーは少しずつ苦みを増していく。この苦みをおいしいと思うようになったのはいつからだろう、雨宮雪子はぼんやり考える。
「いや、やっぱり違うよ。ユキの絵が人から認められて、オレの小説が人から