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takayama
2020年10月6日 16:35
その夜以降ミミが人間の言葉を話すことはなかった。きっと魂をこれ以上ぬかれるのが嫌なんだと思う。地震はぜんぜんおさまらないし、いろんなところでナマズが暴れているみたいだった。でもテレビはナマズのことは言わないでチカクヘンドウについてばかり言っている。ナマズもそろそろお役御免みたいだなってぼくは思う。アミは相変わらず泣き虫だけど、ぼくがお母さんに会った話をしたら急に泣かなくなって、それで毎
2020年10月5日 17:42
ぼくが目をあけるとそこはもとの公園だった。公園はナマズに会う前と変わらずまっくらだった。桜の木だけがまだぼんやりと光っていた。ぼくは光っている桜の木の前でぼんやり立っている。「おかえりなさい」ミミの声が聞こえる。ぼくはあたりを見渡したけれど、ミミの姿はどこにもなかった。「ミミ!」ぼくが呼んでもミミは姿を見せない。ただ声だけが聞こえる。「さあ、まだおわりじゃないですよ。これからが
2020年10月4日 17:38
どすんとおちてぼよんぼよんとはずんでぼくはなにかの上にのっかっていた。それをさわってみるとぬめぬめと濡れていて、それに少し変なにおいがした。ぼくがいつまでもさわっているとそれは小さく震えた。ぼくはびっくりして「わっ」と声をだした。するとそれも「わっ」っと声をだした。「あなたはだれですか?」ぼくはおそるおそる聞いてみる。それはもう一度身体を揺らすと大きく息を吐いた。「待っていましたよ。い
2020年10月3日 18:59
それは地震がきてからずっと経って、庭にツバキの花がさいてるときだった。ぼくは地震のことなんて忘れてたし、アミも泣かなくなっていたし、ミミのなき声はいつものことだから気にしなくなっていた。でもその夜はミミのなき声がしなくて、べつにそれを気にしていたわけではないんだけど、なんだか急に夜目が覚めて、目が覚めるとそれから眠れなくなって、ベッドのなかで目をあけたままじっとしていた。夜はしずかでじ
2020年10月1日 15:42
お母さんがいなくなった次の年の春にトウホクで大きな地震があった。トウキョウにも地震がきて教室がたくさん揺れた。僕は机の下隠れて友達と手を繋いでいたから大丈夫だったけど、アミは保育園でわんわん泣いたみたいだった。学校がしばらくお休みになってぼくとアミは毎日テレビを見ていたけど、テレビはツナミの映像がずっと流れていて、それをみているとぼくはすごく怖くなった。テレビの人は怖い顔をして話してい