【指導日誌】卓球選手のスキル向上

たまに指導日誌を残していきます。

今回の受講者は30代の卓球選手です。
ご希望のテーマや課題は2つありました。

・フォアハンドのドライブで決めきれない
・バックハンド(特殊なラバーを使用)は完全独学なので学んでみたい

今まではトレーニングのみのご受講でしたが、2週間後(受講当時)に迫る東京選手権本選に向けて卓球の動きも一度見てほしいとのことでした。

実は私がマスター級資格を取得する前からトレーニングしており、長座のリポーズや正しく立つ・座るのトレーニングを毎日続けたり、技術の再現性や物理の側面から卓球を理解していたりと志のある選手です。

軸が崩れてもすぐに戻す方法

まずは試合中でも軸のある状態をすぐ取り戻せるような内容を指導し、軸のある立位からいつも通りの構え方をして打ってもらいました。
すると次の3点の変化が現れました。

・頭がブレずコントロールが良くなった
・球の弧線が出て深く入るようになった
・いつもより台に近いところで打てるようになった

1つ目の頭がブレなくなるのはプロ選手の動きや野球のバッティングでも見られるピンニングです。4スタンス理論は脳と骨格の理論なので自然に脳が安定します。

2つ目は力のロスが減って起こった変化です。がんばってないのに「球が上がる」感覚になったとおっしゃっていました。

3つ目は体幹の動きが自由になって懐が深くなり、詰まりが解消したためです。メリットとして試合中に台から下がらされることが少なくなります。

身体の安全領域を知る

次に面の入れ替え(軸シフト)の動きを実践しました。普段のバックスイングとフォロースルーが動きのブレーキになっていることを体感していただきました。

すると、トレーニング後は軽い動きなのに突然ぶち抜きドライブに変わりました。強く打てないのはアクセルではなくブレーキの問題だったのです。

面の入れ替えの感覚をつかんでからは1つの動きでいろいろな球種が出せるようになりました。

・回転量の多いループドライブ
・威力のあるぶち抜きドライブ
・クロス方向かストレート方向か
・思った球が来なかったときの対応

体幹の動きがそろったことでこれらすべてを自由に選べるようになりました。

さらにバックハンドの異質ラバーも身体のブレーキを外す指導をおこない、並の選手では返球できないほどの強烈なバックスピンを安定して出せるようになりました。

体幹の眼(心の眼)で見る

いくらボールやコースを見ているつもりでも目で見るだけでは「狙い」が足りないことがよくあります。コースワークが甘くなったり微妙なずれでミスに繋がったりしていたので、体幹の眼と顔にある眼の両方の関係について指導しました。

ここまでくるとフォアハンドもバックハンドももう簡単にはミスしません。体幹が打ちたい方向を「狙って」いることで思った通りの打球ができます。

さらに派生するとダブルターゲッティングという概念に進むのですが、このトレーニングの副産物として「どっちに打つかバレにくい」というメリットがあります。

自分にとっては打ちやすくなる
相手にとっては分かりづらくなる

特にレシーブのフェイクモーションが一切見分けがつかなくなるというコスパの良い効果が得られたことにかなり驚かれていました。

まとめ

今回は指導内容のうち3点のみピックアップして書いてみました。実際には個別の技術についても話しているのですが、どんな選手にとってもいちばん基本となるのはこの3つだと思います。

タイプ別指導で突然解き放たれたように動きが良くなるのも4スタンスの良いところですが、理想は自分本来のうごきはトレーナーが教えるものではなく、プレーヤーが実感を持って見つけた方が圧倒的に定着しますし応用も利きます。

上記のようなトレーニングをする中でやりやすい動きを見つけてもらい、それがタイプの動きであることに気付けると、モノマネや押し付けではない本当の意味での自分の「型」が見えてきます!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?