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4スタンス理論をネットでは学べない理由

実はネットで「4スタンス理論」と検索して出てくる情報はほとんどウソです。

いきなり厳しいことを書きました。
今回は、価値ある情報はネット検索では見つけにくい、というお話です。時間がない人は目次から 正しい情報の在り処 の項目だけでも読んでもらえると嬉しいです。

※この記事では一般の方に分かりやすいように骨理学・REASH理論全般を指して4スタンス理論と呼んでいます。



■はじめに

じつは「4スタンス理論」で検索して上位に出てくる情報はほとんどウソです。正確には、正しい情報の中に間違った情報がちりばめられた記事ばかりです。
ちなみに「REASH理論」「5ポイント理論」で検索するとちょっとましになります。

もちろん、部分的には正しい情報を載せています。
でもどこまで正しいか判断するのは至難の業ですし、「人をだますコツは7割のホンネの中に3割のウソをまぜること」なんて言われるように、中途半端にウソとホントが入り混じるせいでたくさんの人が騙されています。

卓球と4スタンス理論

4スタンス理論はこの記事でも触れたとおり、REASH理論(骨理学)という大きな理論の一部分です。注意すべきは4スタンス理論はメソッドやテクニックがメインではないということです。

例えば「Aタイプは手首が可動ポイント」とは、意識的に手首ばかり使いなさいというメソッドではなく、動作の中で手首が自由に動くという現象を説明しています。

ちなみに手首を無理に意識すると反対にBタイプの動きになりますのでご注意ください。

「Aタイプは手首を動かしましょう」のような説明は無意味ですから、私たち公式トレーナーはあまり言いません。なのでこの書き方をしているホームページは4スタンス理論をあまり知らない人が書いているということになります。

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公式サイトの一例


■不正確な情報の見分け方

公式トレーナーは資格所有者であることを明らかにしています。正式なカリキュラムを修了した証明になるので隠す意味がないのです。

ですから、情報元が次のような場合は安易に信じない方がいいと思います。

・発信者の身元が分からない情報
・レッシュプロジェクト公認のトレーナーでない情報

実は公式トレーナーはネット上で無秩序には情報発信できません。先日規約が改訂されて発信できる内容が広くなりましたが、こまかい理論解説は誤解をさけるために基本は対面の必要があります。

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公認トレーナー規約

ネットで4スタンス理論を調べてみると、テクニックとして4スタンス理論を説明したものがたくさん出てきますが、ほとんどは非公式記事です。

ウワサやネット記事のコピペをさらにコピペして…のようにくり返された結果、かなりむちゃくちゃな内容も多いのです。


■正しい情報の在り処

では、正しい情報はどこから見ることができるのでしょうか。公式セミナーや公式トレーナーのレッスンで直接きくのが難しい場合、比較的おさいふにやさしいのは大きく分けて次の3つです。

1. 一般社団法人レッシュプロジェクトの発信
2. 書籍からの情報
3. 公式トレーナーが規約範囲内で公開している情報

1つ目はレッシュプロジェクトのHP(4スタンス倶楽部)。
4スタンス理論を公式に普及・育成活動をしている、世界でただひとつの機関です。タイプチェック法の記載も少しありますが、セルフチェックは主観が入るので参考程度にしておきましょう。

ちなみにマスター級トレーナーは別の精密なチェック法で判定します。受けてみると分かりますが、動作チェックとは違いごまかしの利かない方法なので驚くと思います。

2つ目は公式の発行している書籍。
4スタンス理論は登録商標なので、4スタンス理論やREASHといった言葉が使われている書籍はほぼ公式です。「廣戸聡一」教授の著書を検索するのも正確です。これ🔗はネットの情報の寄せ集めで書かれた非公式書籍なのでご注意ください。

いきなり何冊も買うのではなく、KindleUnlimitedの無料期間に試し読みして、内容が良かったものを購入するという買い方がおすすめです。

3つ目は公式トレーナーの発信。
4スタンス理論の公式トレーナーは各種目のプロが多いこともあって、内容も専門的でおもしろいです。種目ごとの話を調べたい場合はおすすめです。

デメリットは公式トレーナーの発信を見つけるのがすこし難しいのと、規約の範囲内に限られるのですこし物足りないことです。
※書き方に配慮をしているのは私の投稿が典型例ですが、規約の関係上、個人レッスンや講習会を受けてくれた方にしか分からない書き方をしていることが多いです。

もっと気軽に受講できるようにしたい

当たり前ですが資本主義社会では全員が高レベルな指導を受けられるわけではありません。

たとえば強豪校や強豪チームではとっくの昔に4スタンスのトレーナーを呼んでいるところがいくつもありますが、私も公認トレーナーになるまでその情報は(呼んでいるという事実すら)手に入れられませんでした。

また公認カリキュラムを修了した有資格者がマンツーマンまたは少人数で指導するという性質上、ある程度お金に余裕があるかそれだけの価値を理解している人でないと受講しづらい側面もあります。

今後こどもたちを主な対象としてもっと安価な企画をつくりたいと考えています。


■軸を大事に

実はどんなタイプの人も「軸」をきちんとつくれば、意識しなくても4タイプの動きが自然と現れてきます。タイプ別の動きを意識的につくるのではなく、自然な動作中に無意識にタイプが現れるのです。

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廣戸教授のダンベル上げ

では正しい軸はどうやって作ればいいのでしょうか。

すべての動作の基本は「立つ」という行為です。ですから立った状態で全身が自由に動かせること、瞬時に素早く動き出せること、そのうえで安定していることなどが大切です。正しく立てば動作中も身体の安定を保つことができます。

"正しく立つ手順は、まず足幅を首幅に揃えるために両足の間を指2本分くらい空けて真っすぐに揃えます。そして両足の土踏まずの上に頭を乗せ込みましょう。から土踏まずを結んだ鉛直の円柱のうちに骨盤と肩甲骨がしっかり立つイメージを持ちましょう。土踏まずに頭を乗せ込んだまま、地面を真上からしっかり真下に踏んでください。
すると全身が機敏かつ柔軟に可動するのが分かるでしょう。ぜひ、動き出す前に『正しく立つ』を実践してみてください。"

公式サイトより

文字にするとむずかしく感じるかもしれないですね。

レッスンでは実際に体を押してみて安定感がどれほど変わるか確かめたり、可動域チェック柔軟になることを確かめるなどで簡単に理解できますのでご安心ください。


■再生産数という概念

ここから先は本題とはあまり関係ないのでながし読みで。

基本再生産数という言葉を聞いたことがあるでしょうか。感染症に関係してよく使われる言葉です。

ものすごーーーく簡単に表現すると、ほっといたらひとりの感染者が何人に病気をうつすかを数字で表したものです。この数字が大きいほど拡散力が強いということです。ちなみにほっとかずにちゃんと対策したらどうなるか考慮して計算した場合は実行再生産数といいます。

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日経新聞より

この考え方は、4スタンス理論に限らず医療系のガセ情報にはよく当てはまります。(ちなみに4スタンス理論は骨理学という医療分野の学問で研究されています)

私たち公式トレーナーは直接指導するのが基本なので、1回あたりせいぜい数十人~数百人にしか情報を伝えられません。対してネットのガセ情報は一気にたくさんの人が目にします。しかも無料なので簡単にたどりつけます。

これは最近おおきな問題になりました。医者や薬剤師は医療倫理に縛られるためネットに安易に情報を流せないのに対し、素人は間違っていても関係なくいくらでも書き込めてしまいます。

アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり

参考記事:WELQの問題で改めて考える、信頼できるネットの医療情報とは?

■トレーナーの役割

医療系の他の情報とおなじく、4スタンス理論は正しい情報よりもガセ情報のほうが広がりやすい構造です。公式トレーナーの多くがこの問題で困っていますし、本部も対策を考えています(冒頭の規約改正など)。

今どき情報を囲い込むのは時代遅れなので、近い将来に4スタンス理論の知識はオープンソース化されるといわれています。

情報そのものの価値はどんどん低くなる世の中ですから、専門的な指導テクニックを提供できる公式トレーナーの役割がどんどん大きくなっています。

ご質問などありましたらお気軽にご連絡くださいませ。



ところで、卓球関係の方が多いので補足すると、2023年4月現在、Youtubeで4スタンス理論と卓球をテーマに公式トレーナーが紹介したものは残念ながら1つもありません(私もそのうち出さないとと思いつつまだ出せていません)。

個人的には4スタンス理論が一般層まで伝わればケガやイップスも減るので、商標さえ気を付ければ非公式でもいいので発信が増えてほしいです。雰囲気をつかんでから専門家に話を聞くのもありだと思っています。

とはいえYoutube動画やブログで非公式情報を見る場合は、まちがった説明が含まれていても自己責任ですのでお気をつけて。



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