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短編小説

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【短編小説】ほっとライン

【短編小説】ほっとライン

ーーはい。心と命の〇〇ほっとラインです。
ーー・・・
ーーもしもし。どうされましたか。
ーー・・・
ーーもしもし。
ーー・・・あの。
ーーはい。どうなさいましたか。
ーー・・・。
ーー大丈夫ですよ。わたし、板倉と言います。あなた、女の子ですよね。
ーー・・・はい。
ーーどうしたの。
ーーうまく言えなくて。
ーーいいのよ。思いついたことからで。
ーーあの、お金、かかりますか。
ーーああ、この電話はお

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【短編小説】画鋲

【短編小説】画鋲

「突然ですが、今日は悲しいお知らせがあります」
 帰り学活の終わりに、先生が言った。みんな早く帰りたくて準備万端だったのに。後は机の上のランドセルを背負って駆け出すだけだったのに。"悲しいお知らせ"ってなんだ。興味半分イラつき半分で、先生の言葉を待つ。
「西野くんと、今日でお別れなんです」
 みんな一斉に西野を見る。西野は固くなって下を向いている。
 転校か。察しがついて、急激に興味は薄れていく。

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