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読書メモ 「あしたの君へ」柚月裕子


【1.概要】


 家庭調査官補である望月大地が、家庭裁判所での実務修習で出会う人々との物語を描いた全5話からなる短編小説集。

心がほっこり ⭐️⭐️⭐️⭐️
読み易さ   ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
オススメ   ⭐️⭐️⭐️


【2.詳細】


 家庭調査官には、離婚や相続問題を取り扱う家事事件担当と少年犯罪を取り扱う少年事件担当に役割ごとに分けられる。大地は担当となった事件で家庭調査官補として少年・少女の罪を犯した背景や、離婚問題の夫・妻の双方の意見の真偽を調査する。
少年事件の場合は、相手がまだ未成年ということもあり、罪を犯した少年・少女の証言が真実を示しているのかどうかの調査を行う。一方、家庭事件の場合は夫・妻それぞれの立場があり、その双方の主張を客観的に見ることができるように、双方の意見のみではく間にいる子供、近隣住民、近親者の話から真実を導きだす。


【3.考えた事】


 人にはそれぞれの立場があり、立場ごとの物の見え方がある。同じものを見る場合でも左側からその事象を見る時と、右側からその事象を見る場合で大きく受ける印象が異なる。事象というのは一方の立場からすべて見れるわけではなく多面的なものである。この事象の多面性の存在を本を読む事で再認識することができる。
本としては短編集ということもあり1編づつ独立しており読み易い。本の帯にある「柚月裕子は正義が似合う。」という一言が腑に落ちる小説です。


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