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カフェ経営に必要な知識

大学卒業後、進路に悩んでいた私は就職を前提としてカフェを運営する会社でアルバイトを始めた。私が就職活動を行っていた2003年頃、東京ではカフェブームの真っただ中。中目黒のオーガニックカフェを筆頭に、東京では様々な魅力的なカフェがオープンし、カフェ飯、夜カフェという文化ができる時代。まさにカフェ文化黎明期とも言える時代だった。

当時、創業して2年目を迎え、東京のカフェシーンのど真ん中を突っ走る会社に毎日ワクワクし、ジェットコースターのようなスリルを感じ、仕事に没頭した。

最初の飲食店は、到底カフェとは呼べないほどの厳しい料理人やプロのサービスマン、バリスタが働く“飲食店”だった。
新卒入社してとても厳しく育てていただいた。今の礎は確実にその時に授かったものであることは言うまでもない。

私のキャリアは、バリスタからスタートした。入社前にイタリアに行きバリスタの資格をとるほどバリスタに憧れていた。当時はまだ日本で二人しか保有者がいなかったIIAC(イタリア国際カフェテイスティング協会)の資格を取りに行くほどだった。

その後、サービスマン、料理人とキャリアを積んでいくが、このnoteでは主にカフェ(コーヒーを中心としたカフェ)について、今までの経験をもとに書き綴っていきたいと思う。

コンセプトを決める

まず、ひとえにカフェと言っても様々な業態のカフェがある。
ビジネスを考える上で当たり前に必要なことであると思うが、まず、何を、誰に、どこで、どの時間帯に、どのように提供するのか、考える必要がある。

・美味しい豆を仕入れたコーヒーにこだわったお店
・雰囲気やインテリア、BGMにこだわったお店
・しっかり食事が楽しめるお店
・デザートが楽しめるお店
・どんなシーンで利用してもらうのか

美味しい豆を仕入れたコーヒーにこだわったお店
コーヒー中心のお店
コンセプトは、美味しいコーヒーを飲んでもらいたい。
バリスタ、喫茶店のマスターがいるお店。
サイフォン、ドリップ、エスプレッソ、どれも熟練の技術が必要なコーヒーである。

雰囲気、インテリアがいい店
雰囲気やインテリア、BGMにこだわりを持った店

しっかり食事を楽しめるお店
食事を提供するのであれば、どの程度のレベルのものを提供するのか
ジャンルはイタリアン、フレンチ、和食、多国籍
コーヒーはわき役的な意味合いが強い

デザートが楽しめるお店
デザートを提供するのであれば、ジャンルは何か
パンケーキ、チーズケーキ、ショートケーキ、シュークリーム、ティラミスetc...
コンセプトに寄るところが大きい。

どんなシーンで利用してもらうか
朝の至福の一杯を楽しんでもらう
食後のコーヒータイム
デート
おしゃべりを楽しむ
インスタ映え
Wi-Fi完備のオフィス的な使い方
しっかり食事をしてもらう
アルコールが楽しめるetc...

雰囲気=プロダクト

カフェの面白いところは、ここからここまでがカフェであるという明確な区切りがないところだ。
アルコールの提供もできるし、しっかりとした食事の提供もできる。
また、オフィスから、アパレルや音楽関係、インテリア、サブカルチャーと様々な分野に通ずることができる。
飲食店を経営するうえでカフェは最高のコンテンツではないかと思う。
美味しいコーヒーを提供する以外にインテリア、内装デザイン、BGM、スタッフの身だしなみや言葉使いまで全ての要素がカフェの雰囲気を作り出す。
カフェ運営において忘れてはいけないことは、雰囲気もプロダクトの一部であるということだ。

コーヒーかエスプレッソか

どんなカフェを作るかコンセプトが決まったら次はプロダクトを考えていく。
まず、カフェで提供されるコーヒーは、コーヒーかエスプレッソか問題に直面する。
日本でイメージされるコーヒーは、インスタントコーヒーに代表されるドリップやサイフォンタイプのコーヒーである。
いわゆる喫茶店で提供されるこコーヒーである。
サードウエーブの代表格ブルーボトルコーヒーは、こちらに近いから日本人にすぐに受け入れられたという話もある。

そして、スターバックスに代表されるエスプレッソがある。
スターバックスは言わずと知れたシアトル系のカフェである。
もともとエスプレッソはヨーロッパを中心に進化してきた飲み物だ。
ヨーロッパからアメリカシアトルに輸入されたエスプレッソは様々な進化を遂げた。
苦くてとてもじゃないけど飲めなかった飲み物だったエスプレッソは、お湯で薄めてアメリカーノになり、チョコレートシロップやキャラメルシロップを入れられ、ホイップクリームを盛られて提供されるまでになった。
まさにアメリカらしい飲み方の発明である。

コーヒー、エスプレッソどちらも熟練された技術が必要な飲み物には変わりがない。あえて違いを挙げるとすれば、コーヒーは豆の特徴を楽しむことができるもので、エスプレッソはスターバックスに代表されるアレンジコーヒーを楽しむことができるコーヒーである。

どちらが思い描くコンセプトのお店を作ることができるのかを考える必要がある。

Place(場所)

カフェ経営(飲食店経営一般的)に場所の選別は非常に重要な要素である。
ひと昔前に隠れ家カフェが流行った。わざわざ隠れたくて隠れたというよりは、隠れざるを得なかったと言う方があっていると思う。
なぜなら、路面の一等地にカフェを立てることは家賃が高くて難しいからである。
逆にそこが良かった。古いビルの2階をリノベーションして雰囲気を作ったり、家賃の安い場所を求めていった結果、隠れ家にたどり着くのだが、それがカフェの魅力にもなった。
定期借家の物件は家賃が安いこともあり、わざわざ探したものだ。

Who(誰に)

カフェの魅力の多くの要素を占める雰囲気を作り出すために物件探しは慎重になった方がいい。
また、その街に住む住人をターゲットにするのか、外の街からお客様を集客するのか。長く続くお店はリピーター、固定客、ファンが多い。
ビジネスで勝つには他から必要とされることだ。
いくら素晴らしいプロダクトを作っても、自分本位でうまくいくことはほとんどない。

How(どのように)

カフェの良いところは、どの時間帯でもウリにすることができることだ。
朝の時間帯のモーニング、ランチタイム、ランチ後のカフェタイム、そしてディナータイム。
どこで、誰に向けたサービスをどのように提供するかを突き詰めると自ずと正解が見えてくる。
入り口で元気に「こんにちは!」とあいさつをしてくれる店
素っ気ないけど仲良くなると友達みたいに付き合える店
全てがコンセプトにつながる。
どんな店を作り、どんな未来を創りたいのか。
割引や安売りの価格競争は心身ともに疲弊するし、流行るのも一時的に感じる。
飲食店に限らず、これから実店舗に求められるのは、このお店がある理由、存在意義を明確に打ち出し、支持されるお店ではないだろうか。

最後に

コロナ後、飲食業界はひどいダメージを受けています。
売上が回復せず、アルバイトの削減を余儀なくされる、閉店するお店もたくさん出てきています。
ただ、コロナのせいにして前を向けなくなる、悲観的になる必要もないと考えます。
これからお店を出したい、出そうと考えている人もたくさんいると思います。
私の大好きなカフェ業界に少しでも貢献ができればと思い、noteを書きました。
こんなnoteでたいした貢献ができるとは思いませんが、少しでも誰かのお役に立てれればと思います。

#日記 #エッセイ #カフェ #経営 #マーケティング #マネジメント



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