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第15回積読読書会レビュー+クリエイティブ司書小宮山の書店めぐり@福岡

クリエイティブ司書の小宮山剛でございます。

(📚これまでの積読読書会関連の記事はマガジンからどうぞ↓)

さて、いつもは「前回の積読読書会レビュー+次回の積読読書会参加者募集」をいう記事構成にしているのですが、

1ヶ月も先のオンライン読書会の参加なんぞ申し込みできん。

※自分で気づいた

ということに気づきましたので、本記事ではまず第15回のレビューをご紹介しまして、後日第16回積読読書会募集記事をアップするかたちにいたします。

ちなみに2022年6月の積読読書会は、6月25日土曜日の21時から開催します!久々の21時開催です(ドキドキ)。

📚第15回積読読書会レビュー

初めて参加される方(ありがとうございます)、入院中にもかかわらずご参加くださる勇者(お大事に!)、参加したはいいものの寝落ちされた方(お疲れ様でございます)、今回も元気に「積読と向き合う時間」にお風呂に入られた方(サッパリ)、積読協会会長(ほぼ皆勤賞)・・・。などなど、6名の方にご参加いただきました。毎度毎度のとおり、自由で楽しいメンバーでお届けした積読読書会でございました。

その代わり(?)話題はいたって真面目に、公共図書館の新設・移転の裏話や、『ゴールデンカムイ』をめぐる狩猟・民俗学分野への興味関心の拡がり・・・などなど、けっこう他では聞くことが少ない貴重なお話があれこれとなされていました。

『鬼滅の刃』、『呪術廻戦』、『ゴールデンカムイ』、『SPY × FAMILY』などなど、ヒット漫画からいろんな興味が生まれその分野のヲタクが生まれ、新たな本の需要や研究熱が生まれていくのって素敵ですよね。そんな沼落ちを招くために、椎葉村図書館「ぶん文Bun」では『鬼滅の刃』も「鬼本」と並べてあります。。。

楽しく愉快なメンバーが今回の積読読書会に持ち寄った+会話の中で登場した積読さんたちを次のパートにおまとめしました!気になる本があれば、書店さんで買って自宅に積みましょう!

※アフィリエイトしているわけではないので、下記のリンクから買っていただいても小宮山は儲かりません。地元の書店さんや、皆さんの推し書店さんでお買い求めください

📕積読読書会に登場した本たち

・子ども当事者研究 わたしの心の街には おこるちゃんがいる

・じゅうぶん豊かで、貧しい社会 ――理念なき資本主義の末路

・やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ

・ウマし

・う

・ゴールデンカムイ

・偶然と必然―現代生物学の思想的問いかけ

・なんといったって猫

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いかがでしょうか。

特に終盤は、うなぎ漫画の『う』などグルメ本の話で盛り上がりました。グルメ本っていいですよね。

話題の中でも一番盛り上がった(ような気がする)のが「この前すごいまずい鰻屋をみつけたんですよ。あんまりないじゃないですか、まずい鰻屋」という話。なんでしょうこのすがすがしさ(?)笑。大人が何人も集まって、まずい鰻屋の話で盛り上がっている世界線のシュールさに感動すら覚えました。

・・・そんなルースさで展開している積読読書会。「楽しそうだな」と思ってしまった方は、どうぞ6月25日の第16回積読読書会(21時開始)にお申し込みくださいね!
(申し込みフォームを掲載する募集記事は追って小宮山剛のnoteにアップいたします)

📚クリエイティブ司書小宮山の書店めぐり@福岡

さてさてそんな第15回積読読書会でしたが、ちなみにクリエイティブ司書小宮山から紹介した本はドリス・レッシングの『なんといったって猫』です。

ノーベル文学賞を受賞したレッシングの本なのになんだか抜けた感じのある装丁で・・・また、積読と言いつつ、実は熟成期間(自宅に積み置きした期間)はわずか2日という新しい本なのです。

そんな浅い熟成にもかかわらず紹介したのは、私が『なんといったって猫』を手に入れた経緯をご紹介したかったからです。できればその経緯にあたる書店めぐり@福岡の話を積読読書会で披露したかったのですが、図書館談義と「まずい鰻屋」の話にもっていかれてしまいましたので、ここに書き留めておくことにいたします・・・。

📕1軒目:MINOU BOOKSさん

5月の半ばに実家がある福岡へ帰福したクリエイティブ司書・小宮山。居住している宮崎・椎葉村から福岡までは車で約3時間の道のりです。当初の目的は「スタッドレスタイヤをノーマルタイヤにはきかえるため」。お世話になっているディーラーさんが福岡なので、たまの帰福には車のあれこれがつきものです。

「タイヤをかえるだけじゃなくて、何かしたいな~」と漠然と福岡での楽しみを探していた5月初旬。私が目にしたのは、その理念に崇敬の念を抱くバリューブックスさんの「本と出会う場所」特集の記事でした。

記事を読んだら皆さまも思うでしょうが「めっちゃいいやん・・・」とため息が出ました。もともと福岡・うきは市には会いたい方が数名いらっしゃったので、一斉にアポをとりつつMINOU BOOKSさんにもインスタグラムを通じてご連絡。「お待ちしております」とお返事をいただき、嬉しくなって意気揚々とうきはへ向かったのでした。

ちなみに「MINOU」とは、うきは市が誇る耳納連山の「耳納」とのこと。こういう、土地のルーツに根差したコンセプトがある御本屋さんはいいですね。。。

うきは市は、福岡市中心部から車で約1時間。MINOU BOOKSさんはその吉井町という歴史風味が満載な街並みのなかにあります。倉庫だった建物をリノベーションしたとかで、いで立ちがとても素敵でした。

「街の日常を支える場」を標榜されているだけあって、広範にかつ繊細に選ばれた本たちが本棚に飾られている店内でした(撮影は遠慮しました)。

店主さまには事前にメッセージをお送りしていたので少しお話を伺うことができたのですが、うきはの街が表面的にだけではなく骨身から栄える(≠一時的ににぎわう)ことを願っておられる様子がうかがえて、私が椎葉村図書館「ぶん文Bun」の役割として意識している「10年・20年先の読書文化の成熟」にも通ずるところがあるな・・・と思いました。こういうお考えの方が築く文化拠点(書店)がある街は幸せだな、と胸に刻みながら、カフェコーナーで耳納ブレンドの美味しいコーヒーをいただいたのでありました。。。

さて、こちらでげとした御本はこちらの2冊。

『のどがかわいた』は、可愛い表紙と内容もさることながら「コーヒー飲みてぇな」という私の心情にもダイレクトに訴えかけてきました。

酒井駒子さんの『みみをすますように』は、「耳」納連山を臨むこの土地で出逢ったからには購入せざるを得ないようなタイトルです。前から欲しかったのですがお値段もなかなか・・・と煮え切らなかった私を、耳納マジックが前後不覚に陥れます。

ちなみに椎葉村図書館「ぶん文Bun」の横を流れるのは「耳川」。椎葉村には「ミミスマス」という元地域おこし協力隊が立ち上げた法人もあります、という耳より情報も併記しておきます。耳の奇跡。

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なお、お隣の朝倉市を通って福岡市へ行こうとした際、ニホンミツバチ養蜂の盛んな椎葉村民としては見過ごせない施設がありました。

なんとなく狂喜を感じるキャラクター。椎葉村図書館「ぶん文Bun」の「コハチロー」といい勝負です。

・・・ちなみに、藤井養蜂場さんが運営するこちらの資料館。とっても参考になるセイヨウミツバチの養蜂に関する資料館でした。突然の訪問にもかかわらず、創業家の方が丁寧にご案内くださりました。

はちみつを使ったたくさんのスイーツも美味しいですよ。

福岡近郊のうきは市と朝倉市。耳納連山を臨みながらのドライブがてら、土地の文化や土地の名産にふれる旅となりました。

📕2軒目:テントセンブックスさん

うきはからの帰り道、博多もほど近い香椎で立ち寄ったのが「テントセンブックス」さん。ツイッターにてフォローさせていただいていました。

「テントセン」は言わずもがな香椎が舞台となった松本清張の『点と線』から。「8坪の小さな本屋ですが、香椎・福岡・九州に縁のある本を中心にそこから見える世界は広い事を伝えていければと思います」というインスタグラムの紹介文どおり、自宅兼御本屋さんというコージーな店内から九州の姿を一望するようなブックセレクトでした。

撮影のご許可いただきました

九州の民俗学等に関する選書では、柳田國男が日本の民俗学研究を開いた地とされる椎葉村の司書として「もっと勉強しなくちゃよ~~~」と思わされました。

テントセンブックスさんでげとした御本はこちら・・・

福岡出身の大御所、夢野久作さんの文庫2冊。椎葉村図書館「ぶん文Bun」の夢野久作全集(三一書房)の前に並べてみました。

「本の本」コーナーがテントセンブックスさんにて充実していて、その中から『彼岸の図書館』をセレクト。椎葉村図書館「ぶん文Bun」の図書館本コーナーに並べてみました。

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以前と比べると街並みががらりと変わった香椎の地。そんな土地で新しく生まれたテントセンブックスさんにて、どんな人の出会いが刻まれていくのか楽しみです。香椎は東福岡高等学校卒業の小宮山にとっても縁深い土地です。またお伺いさせていただきたいと願います・・・。

📕3軒目:吾輩堂さん

最後に訪れたのは、小宮山のInstagramでフォロワーさんから教えていただいた「書肆吾輩堂」さん。名前からしてカッコイイ。。。そして、なんと「猫本」をセレクトされる御本屋さんだというではないですか。

「猫本専門」というと私の中では太子堂の「キャッツミャウブックス」さんだったのですが、福岡にも素晴らしい猫本屋さんがあるとしたら行ってみねば!

・・・吾輩堂さんがあるのは、我が青春の地大濠公園の近く。エリアとしては護国神社やNHKがあるあたりです。一方通行の道をタクシーで入っていくと、スンと静かになる住宅地がありました。本当に、フッと「街→町」になるような空気の変化があるんですね。

眼を巡らせれば、お洒落なカフェや雑貨屋さんがちらほら。私以外にはカップルだらけ。住民の方の静かな暮らしの中に、洗練されたショップが溶け込んだ六本松の要チェックエリア・・・。う~ん、来てよかった。

😸😸😸😸😸😸😸😸

吾輩堂さんの店内の写真撮影は控えました(というか、基本的に書店は撮影しないようにしましょう)が、古民家の1階に重厚な猫本コレクション+2階に出口かずみ個展「一家はうろおぼえ、仲良しはニセ」(会期は終了済み)をはじめとする展覧と雑貨ディスプレイ・・・と猫好き、いや「いいもの好き」にはタマラナイ空間が広がっていました。

椎葉~日向市エリアの住民としてピンとくるのは、美々津の古民家カフェ「民」さんだろうか。宮崎・海際の街並みとは全く異なるのだけれど、家屋の内側にどこか似た雰囲気があるように感じたものです。

私は当日運転があったので横眼でしか見ないようにしておったのですが、なんだか「ビール飲めます」という類の看板も見かけました(クラフトビールやワインをいただけるそうです)。

吾輩堂さんのホームページをご覧いただくとわかるのですが、店内に入るとすぐに大きなテーブルがあり、その傍に猫本棚があるという具合。店主さまと語らいながらビールをいただけるのかな・・・?と想像してみたら、運転しなくてはならなかったのが惜しいように思います。

ちなみに、猫さんはいらっしゃいませんでした。しかしいらっしゃる日もあるのかな・・・?またお伺いしてみる日に、お尋ねしてみようと思います。

いい雰囲気の路地をついついと進んだ先に、書肆吾輩堂さんはあります。

こちらでげとしたのはレッシングの『なんといったって猫』です。

いや~~~。椎葉村図書館「ぶん文Bun」の猫本コーナーに飾ってみましたが、完全に吾輩堂さんでディスプレイされている時の方が輝いていました。

📚本屋さんで本を買うということ

別に高尚なことを語りだすつもりはない(もうすぐ5,000字いくしな)のですが、今回素敵な御本屋さんを3店巡り本を買い思ったのですが。。。

本屋さんには、本を輝かせる魔力がある

・・・んですよね。

あえて計算していないのですが、今回の書店巡りにいくらお金をかけたんだろうと考えるわけです。酒井駒子さんの『みみをすますように』とかね・・・。なかなかホイと購入できるお値段ではない。

でも「耳納連山」「MINOU BOOKS」「みみをすますように」
→ 買う~♪

・・・となるわけです。

その他の本たちも本のディスプレイ状況や偶然の出会い(セレンディピティ)に導かれるままに購入した本たちばかり。これって、その本屋さんに行くたびに新しい出会いが生まれて、また素敵な買い物をするんだと思うのです。

そしてもう一個思ったのが

こんなに素晴らしい本を棚から抜いても大丈夫なんだろうか・・・

という要らぬ心配です笑。

図書館の棚づくりをしていると、その棚の「キー本」みたいな、背骨となる本を意識します。僕は御本屋さんから棚の中枢に位置する古本(ときには新刊本)をもらい受ける(購入)度に「あぁ・・・あの棚はどうなってしまったんだろうか」などと結構申し訳ない(でも本は欲しい)思いになったりします。

これは間違いなく杞憂であって、先ほども申した通り「その本屋さんに行くたびに新しい出会いが生まれて」いくものなんだと思います。また、人によって棚の輝いている方角は違うので、僕が好きな本を抜いたところで御本屋さんにとってのダメージなど無いんだと思います。

・・・そうは思いつつも、素晴らしい棚の一冊を抜くという行為にはどこか後ろめたさも感じてしまいます笑。

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今回巡った御本屋さんたちは、それくらいに素晴らしい本屋さんたちでした。

皆さんも自分の「推し本屋」をみつけてみませんか?

推し本屋にどんどん貢いで、もっともっとイイ本が流通する世の中をつくりましょう。

たとえそれらがすべて積読になろうとも・・・。

(壮大な締め)

↑最後まで読んでくださったあなたへ「耳」より情報!

私が運営を手掛けている「椎葉村図書館「ぶん文Bun」に、第166回直木賞受賞作家の今村翔吾さんがやってきます!6月17日金曜日にサイン会も催していただけますので、ぜひお申し込み・ご予約のうえご来村くださいませ。
(詳しい内容は上記Katerieウェブページにて)