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「稲森和夫の実学 経営と会計」改めまして名著を読み、誠実に生きようと誓う。

 大変ご無沙汰しております。オオハシです。今年度も大型連休期間に一件上げられたのみとなってしまっていて、読書レビュー投稿が進んでいかないのですが、ひょんな因果で時間を確保できたので一日で読み切って、投稿することにしますね。
 今頃2000年の本を読む、というか、名著と知られた 「実学」に関して、以前のAmazonまとめ買いの際についで買いしてあって、だいぶ積読されていたので、入院の機会に一日で読了。 「会計がわからんで経営ができるか! 大好評のロングセラー」と帯にあり、改めてこういう名著はきちんと押さえておくべきだなと感じさせていただいた本。

それでは行ってみましょう!

稲森和夫の実学 経営と会計

稲森和夫
2020年11月 第1刷発行  2024年3月 第57刷

 京セラ稲森さんの実直な誠実な、一点の曇りのない「実学」。 1対1の原則や筋肉質の経営、完璧主義、透明性、等々。本当に微に細に一点の曇りもなく、人間として何が正しいかで判断をして、一枚の伝票が経営数字に直結していくことを非常にわかりやすく手ほどきいただく。 バブル崩壊直後に原本は記されたこともあり、稲森さんは徹底的に「額に汗した利益」にこだわり、時間当たり採算を追い続けられた。 大会社でサラリーマンをやっていると本当に耳が痛くなるほどの徹底さ、いやでも本来経営とはこうあるべきなもので、そうすることによって 「青カビの存在に現場は気づいていたが」という誠実さに欠けるような行いがないような会社としていく。

 一つ一つは非常にシンプルで、「あたりまえ」のことなんだろうけれど、それを徹底的に100%完璧にやりきることで、アメーバ経営を実現させ、社員ひとり一人の力が結集される炎の集団としていく。 本書後半の経営問答も非常に現実的で勉強になる。 自分の稚拙なレビューに甚だ恥ずかしくなることもあり、感想はこの辺で。

以下、当たり前すぎることかもしれませんが、いくつか抜粋しておきます。


税引後利益

当時の京セラの規模はまだ小さく、1967年(昭和42年)3月期の売上は、6億4,300万円、税引後利益は1億200万円であった。

稲森和夫の実学 P23

これさらっと書かれてますけど、ものすごい高い利益率ですよね。経常とかでなくて税引後利益ですよ。


人間として何が正しいかで判断する

 たとえば幼いころ、田舎の両親から「これはしてはならない」「これはしてもいい」と言われたことや、小学校や中学校の先生に教えられた「善いこと悪いこと」というようなきわめて素朴な倫理観にもとづいたものである。それは簡単に言えば、公平、公正、正義、努力、勇気、博愛、謙虚、誠実というような言葉で表現できるものである。

稲森和夫の実学 P26[

いわゆる 「お天道様に対して恥ずかしくないか」 ですよね。


売上を最大に、経費を最小に

 「売上を最大に、経費を最小に」ということを経営の原点とするならば、売上を増やしていきながら、経費を増やすのではなく、経費は同じか、できれば減少させるべきだということになる。そういう経営がもっとも道理にかなっていることにそのとき私は気づいたのである。
 売上を増やしながら経費を減らすというのは、生半可なことでは達成できることではない。そのためには、智恵と創意工夫と努力が必要となる。利益とはその結果生まれるものでしかないのである。

稲森和夫の実学 P35

あたりまえすぎる内容なのでありますが、本当に経営の本質を突いている。 利益とは智恵と創意工夫と努力の結晶である、と。


会計がわからなければ

 経営者がまさに自分で会社を経営しようとするなら、そのために必要な会計資料を経営に役立つようなものにしなければならない。それができるようになるためにも、経営者自身が会計を十分よく理解し、決算書を経営の状況、問題点が浮き彫りとなるものにしなければならない。経営者が会計を十分理解し、日ごろから経理を指導するくらい努力して初めて、経営者は真の経営を行うことができるのである。

稲森和夫の実学 P42

本書のメインメッセージとも読み取れる箇所ですよね。しっかり肝に銘じていきたいです。


一対一対応の原則を貫く

 経営活動においては、必ずモノとお金が動く。そのときには、モノまたはお金と伝票が、必ず一対一の対応を保たなければならない

 (中略)
 社内に一対一の対応を徹底させると、誰も故意に数字をつくることができなくなる。モノが動けば必ず起票され、チェックされた伝票が動く。こうして、数字は事実のみをあらわすようになる。
 この「一対一の対応」における要諦は、原則に「徹する」ことである。事実を曖昧にしたり、隠すことができないガラス張りのシステムを構築し、トップ以下誰もが「一対一対応の原則」を守ることが、不正を防ぎ、社内のモラルを高め、社員一人一人の会社に対する信頼を強くするのである。

P76 
 「一対一の対応」は企業の中であらゆる瞬間に成立していなければならない。客先に製品を出荷するときはあ、かならず出荷伝票を発行して売上を計上し、以後売掛金として管理し、入金までフォローする。

 (中略)
 モノの動き、お金の動きをともなう事実がすべて一対一で伝票に起こされ、正規のルートで正しく処理されているということは非常に単純なように見えるが、それが健全な経営を守るためにどれほど大切なことであるかは、昨今の企業における不正処理、不祥事の数々を思い起こせば、容易にご理解いただけると思う。

稲森和夫の実学 P65 

社会人一年目で売掛金は入金まで追いかけろと先輩に習ったことが思い出されます。先日後輩にも伝えました。 
 本当に一対一の原則を貫く、凡事徹底です。


ダブルチェックによって会社と人を守る

 「ダブルチェックの原則」を間違いの発見やその防止のためのテクニックであると考える人もいるかもしれない。しかし、このような厳格なシステムが必要な本当の目的は、人を大切にする職場をつくるためなのである。複数の人間や部署がチェックし合い確認し合って仕事を進めていく。このような厳しいシステムが存在することによって、社員が罪をつくることを未然に防ぎながら、緊張感のあるきびきびとした職場の雰囲気が醸し出されるのである。

稲森和夫の実学 P105

本来ダブルチェックの原則は、このように高貴で崇高な概念であったと理解しています。浅慮な乱用が形骸化を生まないように。


時間当り採算

 時間当り採算とは、この「売上を最大に、経費を最小に」という経営の原則を実現していくために、売上から経費を差し引いた「差引売上」という概念を考えたことから始まった。この差引売上は、一般的な経済用語で言う「付加価値」と呼ばれるものに近い。企業が発展していくためには「付加価値」を生み出し、高めていかねばならないのである。

 そこで私は、われわれが日常働く中で生み出しているこの付加価値をできるだけわかりやすく表現するために、単位時間あたりの付加価値を計算して「時間当り」と呼び、付加価値生産性を高めていくための指標とした。そして、「時間当り採算表」を管理部門に毎月作成してもらい、現場で作業している従業員にも採算が簡単に理解できるようにしたのである。

稲森和夫の実学 P118

 この『時間当り採算』の概念は本当にすごいと思った。この概念が結局、末端の構成員の一人一人の一挙手一投足が時間当りの付加価値となって経営に直結していく『アメーバ経営』の基礎を作っていったのである。 時間の概念を取り入れた秀逸な発想である。僕も新入社員時代に一分一秒の大切さを叩き込まれたが、『時間当り採算』、今後とも追いかけていきたい。

以上

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