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3回目の転職挑戦記 その7

B社最終面接

 一次面接が終わり、昼過ぎぐらいにホテルに戻り、ベットに横になり色々考えてみた。

「午前中の一次面接が45分に対して、夕方の最終面接は15分と言ってたな?それと、確か面接官は午前中の6人に役員2人をプラスした合計8人であるような事も言ってたな?と、言うことは、もしかして、最終面接は、入社の意思確認程度で、相当なヘマをしなければ落ちる事はないということ??いやいやっ、その相当なヘマをしてしまうのが私である。A社の例もあるし、最後まで気を抜いてはいけない!」と自分に言い聞かせて、気を引き締め直した。

 2時からは、今の会社のWEB会議。当然、転職活動は会社に内緒で行っているので、背景や服装に細心の注意を払わなければならない。まだ、バレてしまっては困る。

 4時すぎ、ちょっと早いがホテルを出て、最終面接会場のB社本社へ向かった。不思議と全く緊張していない。そう言えば、午前中の一次面接もあんまり緊張しなかったな?極度の緊張しいの私も、3月から続けている転職活動で、多少は場馴れしてきたのかな?或いは開き直りか?

 午前中と全く同じ方法で、受付をして、14階に上がり、控室で待機。程なくして、案内人の女性が来て、彼女に連れられて、これも午前と同じ面接会場へ向かった。

 面接官は予定通り8人、わたしを囲むようにコの字に配置されていて、私のほぼ正面に役員の方が座られていた。

 午前と同じ自己紹介の後、役員の方との質疑応答が始まった。

役員
「しかし、凄い経歴だな?初めてだよ、こんな経歴書見たの。」


「あっ、ありがとうございます。」

役員
「いやっ、そうじゃなくて。E社(1社目の会社)に色々経験させてもらって、最終的に捨てたんだろ?」


「いや、捨てたというわけじゃ、、、」

役員
「それで今度はG社(今の会社)を捨てるんだろ?」


「いゃっ、まあ、はい、そうです、、、」

役員
「どうせ、うちに入ったとしても、また次に行こうとするんじゃないの?」


「御社以上の会社はこの国には存在しません!これが最後の転職です!」

役員
「公務員とか色々あるだろう?」


「いいえ、私はこの仕事が好きなんです!」

役員
「本当にそうなの?」


「はい!私はこの仕事が好きです!それはどの会社に行っても同じでした。もし御社に入社することが出来ましたら、今まで以上に真摯に仕事と向き合い、御社の利益に貢献していきたいと考えています。よろしくお願いします!」

 決まった、と思った。その後は家族構成や住まい等、事務的な質問があり、最後に私から何か言うことがないかと聞かれたので、「もう一度言います。」と言った後、決まったと思った応答を再度言い、短い最終面接が終わった。

 面接終了の約15分後、O氏が控室に現れ、私に内定を告げた。私は深々と頭を下げた。

 ADHDのポンコツの私が遂に業界最大手の内定を勝ち取ったのだ。

 4ヶ月も引っ張られ、A社に落とされた時は、正直死にたかった。D社のWEB面接でしどろもどろになって落ちた時は、情けなく、恥ずかしく、人間を辞めたくなった。

 それから、よくぞ、精神状態を立て直し、ここまでくることができたと思う。有森裕子じゃないけど、初めて自分を褒めてやりたい、そう、素直に思えた。

 これからが大変なのは分かっている。先ずは今の会社を円満退社しなくてはいけない。今までの経験では、これが転職活動と同じぐらいに、精神と体力を消耗する。はったりをかました英語力は、入社前にトイック700点以上の実力をつけなくてはならない。勿論、業務に関しても今の会社以上に高いレベルを求められる。

 しかし、何はともあれ、3月に開始し、約半年間続いた、私の3回目の転職活動は、最高の形で終焉を迎えたのだ。

                      完



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