【書評】東大の先生! 文系の私に超わかりやすく数学を教えてください!/西成 活裕/かんき出版
東大の先生! 文系の私に超わかりやすく数学を教えてください!/西成 活裕/かんき出版
プチ自慢から。
高校受験の時、数学が好き&得意すぎて、全国模試で偏差値80以上出したり、慶應志木高校に入りたての時に、後ろの席の森本くんに
「きみ、もしかして数学の村田くん?」
なんて言われたこともあったりで、数学大好き人間だった自分だけど、なんで数学好きなの?なんて聞かれた時には、
「国語とか英語は暗記だから意味ないんだ。数学は考えるから面白いんだ」
とか言って、苦手な国語と英語をやらない言い訳をしたりしていた。
始まりは、小学生の頃に友達に憧れて入った公文式で数学を知り、中学入りたてのテストが余裕すぎて高得点ばかりで周りにチヤホヤされたことから、その快感きっかけで面白さに目覚めた。
自分の好きなやり方で答えを導き出していく過程が面白かったし、通っていた塾でも解答へのプロセスを評価してくれる塾だったから、その考えている時間が好きだった
だから数学、好きです。
っていう自分の数学好き論があったりなんかしたけど、
そもそも数学って生きていく上で何の役に立つのかっていうことを深く考えたりしたことはなかった。
ふとラジオを聞いていた時にゲストで話していた著者の西成先生のお話の中で、
「数学は役に立たないではなく、役に立てようとしていないだけ」
という発言を聞いて、自分の中の数学熱に火がつき、Kindleでポチった。
本書の中では、超文系で数学に関してはチンプンカンプンの人が、東大の先生に超わかりやすく数学について説明を受けていく、対話形式。
数学の起源であったり、中学数学のここを押さえておけば大丈夫といった実際の数学の問題を説明付きで解いていったり。
ただ、自分がこの本を読んで面白かった部分は、「何で数学なの?」ってところを言語化している部分であって、数学好きの自分としては、そこをハッキリさせたくて本書を手に取った。
本書の中では、数学によって得られる頭の良さというのは、「思考体力がある」状態のことを言う。
思考体力とは、大きく6つに分類され、
① 自分ごとのように何事にも興味を持って考える、自己駆動力
② 粘り強く考え続けるための、多段思考力
③ 自分の判断や、物事に対して冷静に答えを疑う、疑い力
④ 物事を俯瞰して全体を考える、大局力
⑤ 自分の持つ解決方法の選択肢の中から正しい方法を選ぶ、場合分け力
⑥ 突拍子もないひらめきによって解決させる、ジャンプ力
これら6つによって構成される思考体力が数学を学ぶことによって培われていくことができる、というのだ。
たしかにこの6つ、何事にも置き換えて考えることができる。
ラグビーに置き換えてみると
① どうやったら自分が上手くなるのか考える力
② 失敗しても何度も解決策を探す力
③ このやり方で本当に強くなれるのかと疑う力
④ 自分はこう思うけど、チームメイトはどう考えているだろうと思考を凝らす力
⑤ プレッシャーの中で最適な判断を下す力
⑥ 理屈では説明できない試合中の結果的に正しいと言えるような咄嗟の判断
この6つの思考体力。割と抽象的な言葉で説明されているから本当に何事にも転用できる。そしてそんな力が数学を学ぶ中で鍛えられていたとは、考えたこともなかった。
数学が好きな自分としては、今後、一つそういった部分をラグビー選手としての強みとして理解して臨んでいきたいと感じた。
本書を読みながら、数学の問題を解いていた時の興奮が蘇ってきた。
数学を解くことに特に目的を持たずにやっていたときと違い、これら数学を学ぶメリットのようなものをチラつかされると、思考のトレーニングという具合に久しぶりに数学の問題を解いてみようかなと思った。
数学が苦手な人向けに書かれた本であるため、内容としては自分にとっては非常にイージーであったが、改めて数学とはなんぞや?ということを考えさせられた。