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【編集後記】 絶望と希望の映画変革史(2010年代編)

こんにちは。音楽/映画ライターの松本侃士です。

先日、有料記事「絶望と希望の映画変革史(2010年代編)」を公開しました。お読み頂いたみなさんへ、この場で感謝の気持ちをお伝えさせてください。本当にありがとうございます。

今回は、この記事についての編集後記を綴りたいと思います。


※30位〜11位のテキストは無料でお読み頂けます。


この10年の間に、いったいどれだけの数の映画が生まれたのか。もはや想像も追いつきません。だからこそ、その中から「30本」を選び抜くという作業は、一人の映画ファンとして、非常に畏れ多いものでした。

それでも、編集者としてのプライドをもって、数ヶ月にわたりランキングの作成を行いました。もちろん、取りこぼしてしまった傑作も数多くあります。少し歯がゆい気持ちも残りますが、しかし、完成したランキングを今から振り返っても、一切の後悔はありません。(特に、10位〜1位は、揺るぎない確信をもってセレクトしました。)


《30位〜11位 タイトル一覧》

【30位】『her/世界でひとつの彼女』(2013)
【29位】『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)
【28位】『万引き家族』(2018)
【27位】『Mommy/マミー』(2014)
【26位】『ブラックパンサー』(2018)
【25位】『悪の法則』(2013)
【24位】『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018)
【23位】『君の名前で僕を呼んで』(2017)
【22位】『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014)
【21位】『ムーンライト』(2016)
【20位】『ヘレディタリー/継承』(2018)
【19位】『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013)
【18位】『1917 命をかけた伝令』(2019)
【17位】『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)
【16位】『ズートピア』(2016)
【15位】『スリー・ビルボード』(2017)
【14位】『インセプション』(2010)
【13位】『ラ・ラ・ランド』(2016)
【12位】『ゼロ・グラビティ』(2013)
【11位】『トイ・ストーリー3』(2010)


ランキングを編纂する中で、2010年代の映画界におけるテーマがいくつか浮かび上がってきました。その中で、僕が最も重要だと思うテーマの一つが「多様性」です。

記事をお読み頂いた方はお気付きかもしれませんが、このランキングの中には、「多様性」の時代を象徴するような作品が数多く並んでいます。『ズートピア』(2016)、『ムーンライト』(2016)、『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)、『君の名前で僕を呼んで』(2017)、『ブラックパンサー』(2018)。このように、特に2010年代後半、「多様性」こそが全世界共通の一大テーマとなり、その必然として、同テーマの傑作が次々と生まれてきました。

よく「映画は時代を映し出す鏡」と言われますが、こうして10年単位で振り返ると、その言葉の意味を改めて噛みしめることができます。そして、映画は、その「時代の記録」としての役割を果たすだけではありません。そこには、この時代を生きる僕たち・私たちの願いや祈り、そして決意が込められています。だからこそ、そうした作品たちは、観客の心を強く揺さぶるのでしょう。

もちろん、時代のテーマとは切り離された地平からも、全く新しい普遍的な傑作が生まれています。10位〜1位の映画は、便宜上、順位を付けていますが、どれも、いくつもの年代を超えて愛され続けていく作品になると、僕は確信しています。


この記事が、STAY HOME週間の鑑賞作品選びの参考になったら嬉しいです。

よろしくお願いいたします!



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