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今日は、ウェス・アンダーソン監督の誕生日! もう一度、あの大傑作を観よう。


『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014)


これまでウェス・アンダーソン監督は、潜水艦、列車、島など、限定された空間における寓話を描いてきた。ホテルを舞台とした今作は、彼の集大成にして一つの到達点といえるだろう。

混沌としているようで徹底的に統制されたビジュアルイメージ。リアリズムからの解放を謳うような破天荒なストーリー。そうしたウェスが創り上げる世界で、精一杯に躍動するキャラクターたちは、いつだって懸命に、そして上品にチャームを輝かせている。

奇想天外なアクション、ピリッとした風刺の効いたコメディ、一瞬の油断さえ許さないサスペンス、そして、ハートウォーミングなドラマ。その全てが渾然一体となった時、あらゆるジャンルの差異を超越した「映画」そのものが豊かな実体をもってして立ち上がる。

「映画」の原初的な存在意義を、これほどまでに過激に、美しく、そして華麗に証明できる監督、2010年代において、他にいないだろう。

ウェス監督の狂気的なこだわりが、次の時代も不変であり続けることを信じたい。



※本テキストは、「【永久保存版】 絶望と希望の映画変革史(2010年代編)」の一部を抜粋・再編集したものです。



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