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春フェスの祝祭感が戻ってきた。「JAPAN JAM 2022」の12アクトを振り返る。

【5/1(日)3(火)4(水)5(木)7(土) 「JAPAN JAM 2022」@ 蘇我スポーツ公園】

2020年は中止、2021年は一定の緊張感が漂う中での開催だったことを踏まえると、3年ぶりに春フェスの祝祭感が戻ってきた、と言ってもいいと思います。

他の春フェスの参加者の方々のツイートを見ても、同じようにピースフルな空気を感じられて、とても嬉しいです。

そして、昨年のコロナ禍における春フェス開催から1年が経ち、フェスの新しいスタンダードが着実に浸透し始めているという実感があります。

2019年以前と比べれば、まだまだ制限されていることは多いですが、そうした制約化の中で最大限にフェスを楽しむマインドと行動様式が、ポジティブな形で広まっている光景は、とても感動的なものでした。

主催者、アーティスト、スタッフ、何より、一人ひとりの参加者たちによる全ての努力や試行錯誤は、今回の成功を次のフェスの開催へと繋げるためのもの。今年の夏、3年ぶりとなる「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」が、蘇我スポーツ公園で開催される予定です。2022年は、フェス復活の年になることを信じています。

今回は、僕が「JAPAN JAM 2022」で観た中から12組のアクトのミニレポートをまとめてお届けします。


5/1(日)

●櫻坂46

「JAPAN JAM」初出演。ただ、2016年からロッキング・オン主催フェスに出演し続けていることもあって、今回もホーム感を味方にした堂々たるステージだった。もともと坂道の中でもフェス映えする曲が多いグループで、その中でも特に「BAN」の必殺アンセム感は凄い。


●ストレイテナー

新旧の代表曲を繋いだ黄金のセットリストは圧巻で、その中でも特に、ラストに披露された「Melodic Storm」の輝きが凄まじかった。やはりロックアンセムは、フェスの場でこそ、何倍も何十倍も輝く。逆境の雨を吹き飛ばすような、とても感動的な名演だった。


●ASIAN KUNG-FU GENERATION

一つ前のスロットでKANA-BOONが「ループ&ループ」をカバーして、そのアンサーとして、アジカンが谷口&古賀を招いて「君という花」を共に披露する、という熱い展開が実現した。アジカンの25年の歴史を共に祝い合うような感動的な時間だった。


5/3(火)

●BiSH

一人ひとりの観客が抱く寂しさや切なさを丸ごと包み込んでしまうような、とても大きな愛に満ちた感動的なステージだった。そして同時に、2023年の解散に向けて、一つも後悔を残さないように、という6人の強い気概も感じた。このグループ、まだまだ大きくなると思う。


●UVERworld

6人が長年にわたり築き上げてきた唯一無二のミクスチャーサウンドは、フェスの場で相対化されてこそ、その強度と洗練度が改めて浮き彫りになる。この日、初めて彼らのライブを観た人は圧倒されたはず。特に「EN」、これを生でくらって刺さらないわけがない。


●SUPER BEAVER

2日目のヘッドライナー、堂々たるステージだった。特に「名前を呼ぶよ」は圧巻。一人ひとりの「あなた」と誠実に向き合うことを信条として掲げ続けてきた4人だからこそ鳴らせる、まさに渾身のロックアンセムだと思う。ポップ・ミュージックって本当に凄い。


5/4(水)

●My Hair is Bad

初のタイアップとテレビ出演、サブスク解禁など、最近いろんな場でマイヘアの音楽に触れる機会が増えてきたけど、やっぱりライブの場で観る彼らが、一番リアルで、熱くて、カッコいい。新曲「歓声をさがして」のロックアンセムとしての爆発力が凄かった。


●マカロニえんぴつ

特にこの1年間の躍進が凄まじいバンドで、瞬く間にして、とても大きな期待に真正面から応える頼もしい存在になった。はっとりは謙遜していたけれど、自信に満ちた堂々たるステージだった。CDJの時も思ったけど、「なんでもないよ、」が素晴らしすぎる。


●THE ORAL CIGARETTES

次々とアンセムが放たれる完全無欠のロックショー、圧巻だった。フェスのトリを任される立場になった今も、相変わらずギラギラとした野心に満ち溢れていて凄い。そして「カンタンナコト」では、盟友のSKY-HIとのコラボが実現。何もかもが破格だった。


5/7(土)

●Vaundy

MCのオラオラ感を含め、ポップスターとしての堂々たる佇まいが眩しい。数々のジャンルを往来するマルチなアーティストではあるけど、その才能をロックに振り切った時の爆発力は凄くて、「裸の勇者」も「怪獣の花唄」も完全に新たなロックアンセムと化していた。


●スピッツ

雨上がりの虹、ゆっくりと落ちていく夕陽、そうした野外フェスならではのシチュエーションを味方にした非常に美しいステージだった。「春の歌」「チェリー」「優しいあの子」など、国民的アンセム多数。結成35年の大御所にもかかわらず、不思議なほど瑞々しい。


●10-FEET

分断だらけの世界で、せめてこれ以上しょうもないことで喧嘩しないために、分かり合えなくても、少しでも分かり合おうとするために、今日も3人はまっすぐすぎるほど誠実なロックを届けてくれた。ヤバTとのコラボも、「RIVER」における光のウェーブも最高だった。



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