私がデリバリーのバイトを続ける理由

去年の8月に新しいバイトを始めた。ピザのデリバリーだ。始めた理由は二つあって、一つは新型コロナウイルスの影響で、元々やっていた飲食店のバイトのシフトに入れなくなり、お金に困ったから。もう一つは友人に紹介してもらえたからだ。


とっても単純な理由で始めた、デリバリーのバイト。

でも始めてみると、これが案外楽しい。


小さい頃から知らない街をあてもなく歩くのが好きだった。「うわ、この家すごいなあ」と、通りかかる家を眺めてみたり、「今日の夕陽、綺麗すぎだ」と一人ではしゃいでみたり。


デリバリーのバイトは昔の記憶を思い出させた。一人で知らない街を探索するのと似ているのだ。


行ったことのない街を走れば、たくさんの発見があるし、自分が住んでいる街を走るだけでも「こんな場所があったの?」と驚くことがある。

始めて約7ヶ月、週に何度も何度も行ってる街にだって、新しい発見があったりする。これがデリバリーのバイトを続ける理由、その1だ。



家の近くに、とても大きなマンションがある。おそらく私の住む街では一番だ。普段の私では絶対に入ることはできない。でも、バイト中の私には、その権限が与えられる。


「りょう(本名)、次これな」

「了解です」

お客様の住所が書かれた紙を受けとった。「やった!〇〇方面だ」デリバリーを始めて3ヶ月もすると、自分の好きな街、つまり積極的に配達に行きたいと思う街ができる。(私だけかも)


「ここ初めて行くところだ」

スマホのマップに住所を打ち込んだ。

「え?あのマンション」

これが、結構嬉しかった。偶然自分が働いているときに、お目当ての場所から注文が入り、さらに自分が配達に行くことができるというのは、かなり珍しいことなのだ。

ルンルンだった。松任谷由美さんの『ルージュの伝言』でも聞こうかと思ったくらいだ。


着いた先はもちろん、”例の”マンション。しかも、幸運なことに最上階のお客様だった。

最上階からの景色は絶景だった。マンションからの景色とは思えなかった。

「同じ人間でも、日常的に見てる景色がこんなにも違うのか・・・」

玄関の扉にも惚れ惚れした。

「いつか俺も、こんな景色が見れるマンションに住むぞ」


行ってみたかった建物に入れて、しかもモチベーションが高まることがある。これがデリバリーのバイトを続ける理由、その2だ。



そして、最後。デリバリーのバイトを続ける理由、その3。

理由はわかんないけど、「なんか、いい」と思える景色と出会えるから


バイクで街中を走ってるとき、配達を終えてバイクに戻る時、パッと街の景色を見ると目を奪われる瞬間がある。これだ。「出会ってしまった」という感覚。


傍目には、なんともない景色に映っているかもしれない。でも私は、「なんか、いい」と思ってしまう。


そうして、スマホのシャッターを切る。


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平日、夏の昼下がり

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日曜、午前、晴、快晴。休日の朝からファミリーに配達するのは気持ちがいい。

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ねこちゃん

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夏の夕暮れ

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今日。遠くに綺麗な形の雲が見えた。





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