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《エピソード8・街金からの150万円。親への電話が最悪な事態を起こす・・》弱冠20歳で1000万超えの借金、鬱、自殺未遂、親との確執。からの逆転人生を実現させたリアル話。

闇金から街金へ

パチンコ雑誌の裏に書いてあった誘惑の言葉。即日融資、担保不要。そんな甘い言葉には必ず裏が存在する。僕は電話をかけた。電話口で怒鳴られたあとその余韻はなかなか消えることなく、現実として起こらない恐怖に身を震わせていた。と同時に、返済期日が刻一刻と迫る中でさらに身を震わせていた。そんな時みつけた次の広告。僕はまた懲りずに電話をかけることになる。

街金という場所

明らかに違法な営業をしているであろう雑誌の裏に書いてあった金融業者。しばらくはいろんなことが起こるかもしれないという恐怖に

震えていた。それでも、時間が経てば着信はなくなりドラマで起きるような出来事が幻想だったと知る。もちろん、法外な場所でもしも借りることになっていれば法外な取り立てを受けているかもしれないけど、僕は都合よくその出来事を忘れ始めていた。人間は本当に良いことも悪いことも忘れる生き物だと感じた。

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それでも、返済がなくなったわけではなく期日には相当な額を払わなきゃいけない。取り立ての電話が職場や自宅に来ても困る。そんな時、あの雑誌の裏に書いてあったような広告が目に入った。新聞を開いたところにあった“街金”とよばれるような金融業者の広告。街金は大手消費者金融とは違う中小の金融業者。全国チェーンの消費者金融と違って地域密着型の金融会社だ。

金利も法外なことはなく、法定内ギリギリの(民事上は無効にもかかわらず刑事罰は科せられないグレーゾーンとよばれる金利で、近年過払金請求で話題になっている)金利で融資を行う。

僕は消費者金融だろうが街金だろうが、法定内であって融資を受けることができるのならなんでもよかった。

金利の知識なんかまったくなくて、目の前に迫る返済日ばかりが気になり将来の損得なんか考えられなかった。知識もない。精神状態が悪いと目の前も未来すらも何も見えなくなる。

震えながら僕は新聞の広告にあった電話番号に電話をかけた。

そして初めて、親に・・・

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「もしもし、新聞の広告をみて電話したんですが」

そんな会話からスタートした電話口で一通りの個人情報を明かし、後日、神田にあったその街金の事務所に行くことになった。

僕はこの時少し安心していた。というのも、基本的に融資が不可の場合電話口で断られることがほとんどで、事務所に赴くとなると融資が受けられるが条件が必要の場合が多い。個人情報がブラックな場合(「ブラックリスト」と言われるものは存在はしない。存在するのは個人信用情報というもので、有名なものでいえばCICやJICCなどがある。個人の貸借状況が記録されていて、滞納や金融事故などすべてが書き込まれている)は電話やネット審査の“一次審査”的なものですべて弾かれる。

そんな経験を持つ人は多いと思うが、延滞や不払いがあれば期限の損失を受けクレカが作れなかったりローンが組めなかったりするわけだ。

だからこそ、“一次審査”をパスできた僕は浮かれていた。この後に起きる大問題も知らずに・・

予定日。

神田の事務所に伺うと、あの闇金の対応とは大違いな温和で優しそうなおじさんが現れた。スーツに身を包み優しく語りかける。

「○○さんですね。お待ちしていました。」

パーテーションで区切られた場所に案内された。他にも数人のお客さんがいる中、椅子に座り契約書類のような紙に必要事項を書き込む。

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「場所、すぐわかりましたか?」お茶を持って戻ってきた担当のおじさんは、終始にこやかに対応する。

「は、はい・・・」

融資は受けることができそうだったとしても、何度行っても慣れることがない。本当なら借りたくないのに借りに行くのだから当たり前である。緊張はするし、その場から早く逃げたくなる。何度も経験しているはずなのに、それを断ち切ろうとせずにまた繰り返し契約書に名前を書くことに情けなさは感じていたものの、その状況を変えるという勇気はどこになかった。

広告の番号に電話をかけ、契約書に名前を書く勇気があるのに、だ。

場所にも慣れ、おじさんにも慣れ始めた。書類にも記入が終わり、雑談のように話していた時おじさんが表情を変えずにこう話した。

「随分と借り入れがあるんだねぇ。融資希望は150万だけどまとめるか何かかな?」

「はい、そうです」

「まとめる」というのは、何社も借り入れがあってそれぞれに返済日があると大変なので、一社にまとめて返済を1つにするということ。この時点で相当な借り入れがあった僕は、150万を借りてもまとめきれなかった。それでも力なく「そうだ」と返事をした。

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その直後、想像もしなかったことを担当のおじさんが言う。僕は一気に血の気が引いた。

「融資をすることはできるんだけど、お父さんお母さんに今この場で電話できるかな?保証人が必要になるから。お父さん、勤めてるよね?」

今まで借り入れていた場所は、原則保証人は必要がなかった。車やバイクのローンには必要だったけど、お金の借り入れには必要がなかったんだ。

車やバイクなら「買うために保証人が必要」というのは親に言えた。目的がはっきりしているから。でも、お金を借りるとなると話が変わってくる。「なんで?」「何の借金?」と言われるのは確実で、ギャンブルや遊びで作った借金があるなんていうのは、死んでも言えないでいたのに目の前に大きな選択をいきなり迫られたことになる。

借りずに震えるか?親に電話して震えるか?

この時、僕にはこの2つの選択肢しか選ぶものがなかった。どっちを選んでも道は暗い。深い。解決ではない苦しい解決しかない。

もちろん僕は、自分の今までがそうさせていることには気づきもしない。まだまだ自分本位で楽なことしか考えることができないクソ野郎だったからだ。


選択を迫られた僕は、、、

続きはまた








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