ただ、今日、なすべきことを熱心になせ
先のことを考えて人生の筋道を立てたり、過去を振り返って自らの歩みを省みることはとても大切なことです。けれど、まだ来ていない未来を想像して苦しんだり、過ぎ去った過去に立ち止まって後悔しているだけの状況には、肝心の「今」がどこかへいっているようにも思えます。
私たちの人生は「今」の積み重ねです。二度と訪れることのない、たった一度限りの今を生きています。そんな今を、どこまで丁寧に歩めているのだろうか、ちゃんと向き合って生きているのだろうか。そう自問自答せざるを得ない毎日を送っているのが、他でもない私の姿でもありました。
「ただ、今日、なすべきことを熱心になせ」。このお言葉は、今を忘れがちに生きている私に大切なことを教えてくれています。何もしていないのに、突然何かを成し遂げたり、目標が叶うということはありません。今できることの積み重ねによって、過去や未来の意味は変わっていくのです。
今あるご縁の中で、私にできることは一体何なのだろうか、そのことを自分なりに考え、今をおろそかにすることがないように、努めていきたいと思います。
(本願寺新報2022年5月20日掲載)