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デザイン経営が、 ローカル企業の未来を拡張する ㈱FISH

経済産業省・特許庁が2018年に発表した「デザイン経営」宣言。GAFAをはじめとする先進企業の成長エンジンのひとつが「デザイン経営」にあると示され、日本でも採用する動きが加速しています。

こうした潮流をローカルにも根付かせたいという思いから生まれたのが、伴走型のクリエイティブサービスを得意とする㈱FISHです。業務領域はブランディングから新規事業の開発支援、商品デザイン、人材育成まで幅広く、クリエイティブの力で経営課題を解決することを目指しています。

アイデアで他社と差異化できるデザイン経営には、過度な設備投資をかけずにイノベーションにつながるという期待があります。自社に活かすためには、どうすればいいのでしょうか?

「デザイン経営のポイントは自走」と語る、代表の白川 淳さんにデザイン経営が描き出す変革とビジョンをうかがいました。

このインタビューは、かがわ経済レポート2021年9月5日号のトップインタビューより一部抜粋・再編集してご紹介しています。

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代表 白川 淳さん/愛媛県西条市出身。大阪市の広告代理店を経て、2002年にセーラー広告㈱入社。2020年、㈱FISHを設立。

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瀬戸内海から世界に泳ぎだす

四国には、人口減少や産業の衰退といったさまざまな地域課題が存在しています。しかし同時に、素晴らしい地域資源があり、優れた技術や情熱を持った企業や人がたくさんいます。海外も含めた広い市場に目を向ければ、真の成長はまだこれからだと思っています。

クリエイティブの力で企業と市場をつなぎ、地域課題を解決し、社会をより良くしたいと、セーラー広告の出資を受けて㈱FISHを立ち上げました。

FISHという社名は、船乗りを意味する”セーラー”に関連して、「瀬戸内海から世界に泳ぎだす」という意味をもたせています。

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私たちが提供するのは経営者のかかえる課題を発見し、その解決方法を一緒に考えて実行する、伴走型のクリエイティブサービスです。パートナーとともに事業ビジョンを共創し、飛躍のためのコンセプトを考え、必然性と質の高いものづくりをかたちにします。

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近年は、モノからコトへといわれていますが、私は「コト」つきの「モノ」を考える必要があると思います。ストーリーの前に、商品自体のクオリティが大切だからです。

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石鎚酒造の純米吟醸シリーズのラベルを制作

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石鎚酒造と取り組んだスーパープレミアム酒の商品作りについて、デザイン思考の観点から紹介 [100万社のマーケティング Vol.22 | 宣伝会議]

史上初、四国の酒蔵をつなぐプロジェクト

「四国銘酒88 おへんろ絵巻」の企画やクリエイティブをお手伝いしました。

四国遍路の世界遺産登録をサポートするプロジェクトとして、霊場の数にちなんだ88種の日本酒セットを、セーラー広告と企画開発。希少な銘柄もふくむ四国の銘酒が8本✕11回届くという頒布会形式の商品です。

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このラベルはおへんろ仕様の特製イラストデザイン。88枚を並べると1本のへんろ道がつながった絵巻になる仕掛けです。

四国全体の酒蔵をつなぐのは、初めての試みかと思います。結果的に50蔵も参加してくださり、四国らしい取り組みになりました。

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ローカル企業✕デザイン経営

コロナ禍により、多くの企業が難しい局面に立たされています。各社が新しい試みを考えるなか、弊社にも「ネット販売がしたい」、「BtoBだけでなくBtoCも始めたい」といったご相談をいただきます。

私たちはコンサル会社であり、デザイン会社です。課題解決からアウトプットまで寄り添う会社は、ローカルには稀な存在であるため、少しわかりにくいかもしれません。

例えばデザイン会社ですと、「どんなHPをつくるか?」から話が進みます。しかし、「何をどうやって売るのか?」という部分から考えなければ、根本的な課題解決につながらないのです。

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デザイン経営を考える人は、中小企業の場合は経営者です。一方の大企業には専門部署があり、階層があり、さまざまな人が関わりあって考えていきます。

逆にいうと、中小企業のほうがフラットな組織がつくりやすい。さらには、デザイン経営の反響を実感しやすく、その反響をすぐにフィードバックできるというメリットがあります。

クリエイティブ・ファシリテーション

経営者の方々は、ゴールは見えているものの、その取り組み方が課題になることが多いと思います。よくいわれることですが、答え自体は経営者のなかにあります。

私たちが提供する「クリエイティブ・ファシリテーション」には、「ともに考えともに走り、クリエイティブの力でパートナーの未来を拡張したい」という想いを込めています。

人を動かすのは、正しさよりも「好き」の気持ち。生活者の目線を忘れず、経営者が好きと感じる感覚や、言語化しえない直感を大切にしながら、プロダクトやブランドツール、広告など領域にとらわれない多様なアウトプットをデザイン思考でかたちにします。デザイン人材の講師派遣をおこなうケースもありますよ。

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宮地醤油醸「旨み薫る燻製醤油」ネーミング、商品デザインなどを担当

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フジワラ化学の「ベルデン」シリーズ、第二弾商品「生のケールのオイルソース」のデザイン開発を担当

デザイン経営のポイントは”自走”

私たちがブランディングをお手伝いしたあとは、パートナー企業が自走していくのが理想です。クリエイティブ・ファシリテーションを通して、デザイン経営の方法をインストールしてほしいのです。

例えば、えび天ぷらを中心とした冷凍食品メーカーの㈱姫生水産では、妥協ゼロの商品をお届けする初の自社ブランド「HIMEJIRUSHI」の起ち上げをお手伝いしました。その後、「次の商品は自分たちでやってみよう」と自走されています。

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もうひとつの事例は、家具などの製造を手がける三豊林材工業㈱との新規事業開発です。若手社員とともに、自社技術を生かした商品開発および事業開発を行っています。社員が主体的にものづくりに関わり、消費者に直接届ける経験が、次世代の幹部育成や自走につながります。

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DEAIからIDEAを

消費の中心地・高松市丸亀町にあるオフィスのミーティングスペースは、「新しいアイデアが生まれる場所」をコンセプトにしたオープンスタジオを兼ねています。クリエイターとクライアントをはじめ、自治体に学生、そしてアーティストたちが集い、DEAIからIDEAを生み出していきます。

今後もデザイン経営やデザイン思考で、四国の企業をサポートし続けたいですね。熱い気持ちが皆様に届けばいいなと願っています。ローカルで挑戦したいという方がいらっしゃいましたらぜひお声がけください。

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取材協力:FISH

制作・発行:「かがわ経済レポート」(香川経済レポート社) 

取材・構成:おおしば


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