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とき子ファミリーのおもてなし(後編)

ささやかな日常を持ち前の明るい妄想力で怒涛の爆笑に変えてしまうことで名高い、あのとき子さんに会いに行った、一泊二日の広島旅行。
あまりにも楽しくてあまりにも長くなってしまったので、前後編に分けました。
前半の記事はこちらから。

そしてとき子さんサイドの記事はこちらから。

とき子さんと白湯を飲みながら大いにはしゃいで、午前3時に床に就いた翌朝。
布団の中でぼんやり雨の音を聞いていたら、とき子さんの娘さんのSちゃんとお父さんが台所でささやき合う声が聞こえた。
ご飯の炊ける匂いがする。


もそもそと起き出して顔を洗っていたらSちゃんが駆けてきて、「ハム、卵?ハム、チーズ、卵?」と聞いてきた。
うんん?と聞き返したら、「ハム!」と片手を出して、「卵!」ともう片方の手をそこに重ねた。
そして今度は「ハム!」と片手を出し、「チーズ!」ともう片方の手を乗せ、「卵!」とさっきハムだった手をそこに重ねた。
ああ、ハムエッグのことね!
ジェスチャーの明快さに唸っていたら、「おすすめはハム、チーズ、卵!」と言うので、それをお願いすることにした。

新聞を手にしたお父さんが、エントランスから取ってきたという小松菜を見せてくれる。
茎のしっかりした、青々とおいしそうな小松菜。
これが、大家さんのお野菜!
感動して、ついまじまじと見つめてしまう。

食卓には、Sちゃんたちが焼いてくれたハムエッグに、とき子さんのお母さまが仕込んだという味噌、もち麦入りご飯にぬか漬け、たらこや大根おろしとちりめんじゃこが並ぶ。なんという豪華さ。
どれもこれもホッとする味で、そういえば長らく人の作ったご飯を食べていなかったことに気づく。
ちゃんと手をかけてもらったご飯って、こんなにおいしかったんだ。

ゆっくりと食事をいただいたあとそのままリビングで話していたら、Sちゃんがくふくふと笑いながらすみっコぐらしの日本旅行ゲームを持ってきた。
これは昨夜お父さんに「酔っぱらったら10回つき合わせる」ってSちゃんが脅していたやつだ!

一見すると双六に似ているけれど、お小遣いから各地方でお土産を買わないといけないというルールや、そのお土産が他の人と被ってはいけないというルールなど、そこはかとなく「旅行行ったあとの会社ってそういう雰囲気あるよね…?」を感じさせるゲームだった。

「どのコマにする?」
Sちゃんが並べてくれたコマは、しろくま、ねこ、とかげ、ぺんぎんと……この茶色いお方はどちらさまですか?

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https://www.san-x.co.jp/sumikko/profile/#&gid=1&pid=3

「お父さんはとんかつね!」
そっかこれ、とんかつなんだ!?

基本的な操作は双六と同じ。さいころ代わりのルーレットを順番に回して、出たマスの分進んでいくスタイルだ。
お父さんが回す番になると「1出ろ~1出ろ~」と両手のひらをルーレットに向けるSちゃん。本当に1で止まると、もうやんややんやの大喜び。
ごめんなさい、お父さんの立場の弱さに笑いが止まらない。
一方とき子さんはいつもあと一歩でゴールというときにSちゃんに抜かれる、なんとも惜しい役回り。
へっへー!私もうあと一歩〜!」と喜んだのも束の間、「やった!6出た!」とSちゃんが颯爽と追い抜いていく。ゆ、油断も隙もあったもんじゃない……!
このゲームは2回遊んで、2回とも順位はSちゃん、とき子さん、私、お父さんの順だった。

その後もしゃべり続けるとき子さんと私の横で、Sちゃんとお父さんはオセロや、ジェンガ、鬼滅のジグソーパズル、折り紙と、手品のように新たなおもちゃを持ってきて遊び始めた。
それにしても、なんとも懐かしさを感じさせるチョイス。

雨が小降りになってきたところで、とき子さんおすすめのお好み焼き屋さんへ。
「この辺に綾瀬はるかの実家があるらしくて。私たちは見たことないけど友だちがそう言っていたのよー」
途中の道で、とき子さんが言う。
とき子さんの「あれからどこを探しても見つからないマイ綾瀬」を読んだ方は薄々気になっていると思うけれど、とき子さんはたしかに綾瀬感のあるお顔立ちだった。

きっととき子さんが鏡を見た時には純粋に「顔面が綾瀬!」って状況だったのだろうけれど、とき子さんの雰囲気自体もバラエティーで見る「綺麗だけどちょっと抜けてて明るいお姉さん」という綾瀬はるかのそれとかなり近い気がする。
広島にいるうちにもしも綾瀬はるか本人に会ったら、「えっ、親戚の方ですか?!」って展開になるのだろうか。てことは、もはやとき子ファミリーと親戚のような距離の縮め方をしている私も、綾瀬はるかの親戚ってこと……!?
そんな妄想をしていたら、あっという間にお好み焼き屋さんに着いた。

広島のお好み焼きといえば、やっぱり広島焼きだろう。
これまで縁日で時々見かけていたものの、「お好み焼き兼焼きそばなんて贅沢すぎらぁ」と虚勢を張っていたので実は食べるのは今回が初めて。
おすすめのお店ということもあって、そのお店はとにかく大繁盛だった。
店内のソファで待ちながら、とき子さんが「いい感じのカフェ、いい感じのカフェ」と連呼しながらスマホを見ている。
食後にどこかおしゃれなカフェでお茶して、原爆ドームを見ようと話していたのだ。

「S、どっか知らない?」
「〇〇カフェは?」
「いいけど、ちょっと遠いなー」
即答できるSちゃん、すごい。
とき子さんのお家を見ていていいなぁと思うのが、この大人子どもの垣根のなさ。
とき子さんもお父さんも、いい意味でSちゃんを子どもらしく扱わない。
昨日私たちが遅くまで起きていたときも、「車でもウトウトしてたんだから、もう寝なさい」と声をかけていた。「子どもは寝る時間よ」とは、言わないのだ。
そんなふうに育ったからか、Sちゃんは大人同士で話していてもまったく物おじせず入ってきてくれる。
とき子さん、いつか育児書書いたりとか、しちゃいます?

ひそかにそんな夢を広げていたら、ようやく座席に案内された。
やった、待ちに待った広島焼きだ!
店内に入るとムンムンの熱気の溢れる巨大な鉄板の上で、黒いTシャツを着た若い衆が両手で大きなヘラを振るっている。
お腹ペコペコで食べた広島焼きは、本当においしかった。

広島焼き。美味〜!

待ちぼうけタイムがいささか長かったから、おしゃれカフェに行くのは厳しいかも。
バスは20時15分なのだと言ったら、とき子さんは「じゃあうちで夕飯食べてお風呂も入っていきなよ!」と言ってくれた。
ええっ、なんていう至れり尽くせり!
ありがたく、お言葉に甘えてしまいますよ……?

そんなわけで「食事&お風呂タイム」のことを考えて、おしゃれカフェに行くのは見送ってセブンイレブンでコーヒーを買って原爆ドームに向かうことにした。
セブンに入るなり、とき子さんが興奮した面持ちで言う。
なんと今ならアプリで70円で飲めるよ!
「マジっすか!」
こんなお得トークで大はしゃぎできてしまうのが、たまらなく嬉しい。

また雨が少し強くなってしまったので、原爆ドームは車の中から見せてもらうことにした。

原爆ドーム

「見た?撮った?」と言いながら、原爆ドームの周りを何周も回ってくれるとき子さん。
原爆ドームや資料館はいつか絶対に、ゆっくりと訪れたい。

たくさん写真を撮らせてもらったあと、もみじ饅頭屋さんに寄ってもらう。
「ここはたしか、もみじ一個とお茶が無料でもらえたはず!
喜ぶポイントが一緒すぎて、もう笑うしかない(コロナの影響か、もらえませんでした)。

もみじ饅頭とともに帰宅して、お風呂に入れてもらい、またしても腕を振るってくれたお父さんのおいしい生姜焼きご飯をいただく。
そろそろ広島駅へ向かうお時間。
とき子さんがカイロをくれたうえ、めっちゃもみじ饅頭も持たせてくれた。
駅へ送ってもらいながら、再会を約束し合う。
今度はぜひ、埼玉へ!

埼玉ならやっぱり川越かな、ムーミンパークはお好きかしら、自宅に来てもらうなら、最高級の白湯を準備しなくっちゃ。
寝静まる夜行バスの中で、ひとりワクワクとツアーを組みながら眠りに落ちた。

とき子さんは、noteの文章から感じるお人柄通りの、からりとしたサービス精神に満ちた、愉快で朗らかな優しいお人だった。
そしてそのご家族も、とてもはじめましてとは思えないハイテンションっぷりでもてなしてくださった。
もう本当に、ありがとうございました。
とっても楽しゅうございました。
広島にいらっしゃるうちに、お会いできてよかった。

今回はそんな、一泊二日の自慢話。
大好きなとき子さんとの、楽しいひと時は書けども書けども書き足りないんですけど、前半と併せるとすでに8000字を超えている。
続きはきっと、埼玉編にて。

とき子さんからいただいた箸置きと、Sちゃんからのお手紙と折鶴

そして今回とき子さんとお会いするきっかけになった『なけなしのたね』、残りわずかだそうです!
お腹を抱えて笑いたい人、わんわん泣きたい人、一歩前にのめる勇気がほしい人、toccodocco STOREにお急ぎくださーい!!(って書いてたらSOLD OUTになってました!完売おめでとうございます!)

早速いただいた箸置きを使う


お読みいただきありがとうございました😆