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西武 内海哲也投手の「安定感」を、指標上から巨人時代と比較

8月22日のオリックス戦で708日ぶりの1軍登板を果たし、9月2日のロッテ戦では743日ぶりの勝利を遂げた埼玉西武ライオンズ 内海哲也投手(38)、これまで3試合に登板し、西武の先発ローテーションに定着しつつあります。(※2020年9月10日時点の情報です。)

今回はそんな内海哲也投手を、「安定感」という観点から「BB/9」と「WHIP」という2つの指標をもとに、巨人時代と今季の比較を行うと、非常に安定した投球をしていることが見えてきたという話をしていきたいと思います。(もちろんどのような指標なのかも詳しく説明もするのでご安心いただければ幸いです。)

内海哲也投手とは?

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まずは内海投手の簡単な紹介から。2004年から2018年までの14年間巨人に在籍し、その間計7回二桁勝利をマークし、特に原監督の第1次政権下で多大な貢献をしています。ちょうど9月9日には原監督が巨人の監督通算タイ記録である1066勝を記録しましたが、原監督政権下の投手勝利数では、内海投手が圧倒的です。まさに巨人の黄金時代を築いた投手と言えるでしょう。

原監督政権下の投手勝利数
① 113勝 内海哲也 投手
② 54勝  菅野智之 投手
③ 51勝   上原浩治 投手
④ 50勝   山口鉄也 投手
⑤ 48勝   高橋尚成 投手

今ではいわゆる技巧派という印象も強いかと思いますが、2007年には最多奪三振を記録しています。そして今シーズン、8月22日には通算1500奪三振を達成しました。

2018年12月20日には、巨人にFA移籍した炭谷銀仁朗捕手の人的補償として、埼玉西武ライオンズに移籍しましたが、故障などもあり西武での一軍登板は8月22日が初だったので、やはり巨人時代の印象が強いかと思います。

内海投手の西武での復活登板

そんな内海投手、今季1軍登板を果たし、そのテンポよく投げる姿から西武ファンからTwitter上などで、まさにお手本のようなピッチングだと評価されています。西武は球団の防御率としてはパ・リーグワーストなだけに、その安定した投球に目が行くのでしょう。

いわゆる「安定感」を2つの指標上で比較

では、そのいわゆる「安定感」、指標上はどうなっているのか。今回は、安定感を「四球を出さない」、「ランナーを出さない」という観点に読み替えて、「BB/9」と「WHIP」という2つの指標をもとに、内海投手の巨人時代と現・西武時代の比較を行いたいと思います。なお、あくまでまだ今季15イニング投げての数字ということで母数は小さいので、目安として認識いただければよいかと思います。

BB/9(与四球率)の説明・比較

まずは「BB/9」という指標の紹介から。与四球率という名称のほうが一般的かと思います。つまり、その投手が9イニング投げたとして、いくつ四球を出したかの数字です。

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もちろん低ければ低いほど出す四球の数は少ないので、低いほうが好ましい指標です。一般的には、平均が3前後で、2前後だと優秀だと言われています。

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なお、あくまで「四球を与えない = 相手を抑えられる良い投手」とつながるわけではない点、注意が必要です。例えば、四球を出したとしても結果的に後続を抑えたならば失点は生まれませんし、四球を出さないけれども、四球を恐れてストライクゾーンに球を集めすぎてヒット打たれてしまうということであればそれは悪い傾向です。つまり、あくまで投手の特性の一つと認識すべきでしょう。

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その「BB/9」、内海投手の今季の成績と巨人時代の通算を比較するとこのような数値になります。巨人時代は「2.31」と優れた数値を残しています。現在のところ、今年度も「2.40」と比較的それに近しい成績を残しています。今季一軍登板をしている西武の投手陣の中でも24人の中でも5番目に良い数字です。(ちなみに1番は増田達至投手の1.08、なんと25回を投げ3つしか四球を出していません。) 

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WHIPの説明・比較

続いて、WHIPを見てみましょう。WHIPは、1イニングあたり何人の走者を出してしまったかを表す指標です。単純に考えると値が大きければ大きいほど「走者を背負う場面が多い=失点するリスクが高まる」ということになりますので、もちろんこちらも低いほうが好ましい指標です。(もっと感覚的に言うならば、これが高い投手、特にクローザーは見てて胃が痛くなる投手です、、、)

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一般に先発投手であれば1.00未満なら球界を代表するエースとされ、1.20未満ならエース級、逆に1.40を上回ると問題であると言われています。(なお、さらに抑えは、ランナー1人出すだけでも大きく試合の行方を左右するので、これよりも低いことが求められます。)

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ただし、問題点がある指標とも言われており注意が必要です。なぜかというと「被安打は野手の守備の影響を大きく受ける点で、真に投手の力を示す指標ではない」という点や「WHIPの上では、四球という結果が与える影響と本塁打のそれがイコールとして扱われてしまっている (本塁打は点を失ってしまいますが、四球はランナーを一人出すだけ。それを同じ価値としてカウントして割るのはおかしいのではないかということです。)」点などで批判があります。

やはりその指標の特性を理解した上で、あくまで投手の一つの特性を示すものと認識した上で読み取ることが好ましいのでしょう。

「WHIP」を巨人時代と今季を比較するとこのような数値になります。巨人時代は、通算ではありながら「1.23」と優れた数値を残しています。現在のところは、それを上回る「1.13」を記録しています。こちらは、今季一軍登板をしている西武の投手陣の中でも24人の中でも3番目に良い数字です。ちなみに1番は森脇亮介投手で0.83、2番は増田達至投手0.96です。西武の代表的なリリーフに次ぐ数字というのはすごい安定感ですね。

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※森脇投手の動画もぜひ

まとめ

内海投手の安定感を「BB/9」「WHIP」という2つの指標をもとに巨人時代と比較をしてきました。あくまでまだ15イニングを投げての数字ですが、とても安定感のある投球をしていると指標上からは言えるでしょう。「お手本のようなピッチング」と言われて然るべき数字です。38歳と大ベテランの内海投手、果たして今シーズン、今後もどのような活躍を見せるのか注目していきたいですね。

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