詩編10:溺れたがりの期待はずれ
最初はその刺激は適度だった。
痛みの無いように気を遣いながら、
気を遣われながら生きていたのだから。
それが当然だとか、当たり前だとか、
抽象化した時点で根腐れは始まっていた。
だってそうでしょう、人を捨象するなんて
失礼きわまりないじゃないですか。
当人の悦びだって、地獄だって、
他人が否定していいものなんかじゃない。
性格や性質っていう言葉に甘えて、
共感を忘れた幼子は
自分の感情に潜って、溺れて、
掬い上げられる楽に気付きました。
水際で沖を眺めている自分の背中を押す。